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Channel: 吉田豪 | miyearnZZ Labo
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吉田豪と里咲りさ 少女閣下のインターナショナルを語る

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里咲りささんが『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』に出演。少女閣下のインターナショナル時代を振り返っていました。

(里咲りさ)だからその店ガールの時のお金、中間がなくなればこんなにお金がもらえる! みたいなのを曲解して当時、たぶん豪さんとかに話した時に……。

(吉田豪)曲解なんですね。大人の気持ちもわかってきた?

(里咲りさ)はい。大人になってきた(笑)。その30人のアイドルの生活を抱えて、レッスンもしっかり用意して、曲もよかったじゃないですか。曲を発注して、衣装をやってあげたり、先生をつけたり……無理ですよ。だから、それでギャラを求めていた私がおかしいと思って。たまにTwitterとかで「本当にこの人はファンが何人入るんだろう?」みたいな人が「ギャラがどうのこうの……」とかって。

(吉田豪)地下アイドルのトラブルは気持ちがわかることはあるんだけど、ちょっと「そもそもあなた、いくら稼いでいるの?」問題っていうのはありますよね。

(里咲りさ)そうなんですよ。そこが難しいですよね。会社がでも、本当に投資できるぐらいの余裕があって、そういう可能性がある子を抱えているっていうのはありだと思うし、それならば「お給料がもらえないのはなんで?」っていうのはわかるんですけども。そもそも可能性がないところで可能性のないことをお互いにしあっているのとかはよくないですよね。わかんないけど。

(吉田豪)フフフ、「わかんないけど」にまとめた(笑)。

(里咲りさ)と、思う時もあります。

(吉田豪)うん。個人的には僕の考えは、ある程度運営が1年ぐらいはかなり自腹を切ってでもお金を出すぐらいの状況がないんだったらやっちゃダメだと思っているぐらいですね。

(里咲りさ)本当、そうですね。

(吉田豪)バンド感覚でやるんだったら、本当に同じ位置というか、完全に腹を割ってみんなでバンドみたいな感じで「こういう状況でやるよ」みたいな関係性ができるならまだしも、大人と子供でやるならばそれは大人がちゃんとお金を払わなきゃダメだとは思っている側ですね。

(里咲りさ)思いますよね。で、私もその少女閣下のインターナショナルを始めるってなった時、バンド感覚でやりたかったんですよ。自分よりも年上でちゃんと生活が別の道で自分のやりたいことがあって。週末に趣味程度でやろうみたいな感じで始めようと思っていたので、その頃は社長になる気なんてなかったし、自分ももう1回大学に行ってちゃんとした道をやりつつ、趣味的にやろうかなって。もう1回、放送作家とか目指そうかなみたいな時にやっていたんですけども。

(吉田豪)その時のバイト先でいろんないま、アイドルの運営をやっているような人たちと知り合って。

(里咲りさ)そうです。知り合って。

(吉田豪)それがちょうどたぶんももクロが盛り上がってきている時期で。

(里咲りさ)そうです。みんなももクロでした。バイト先の関係で、だからそういう関係のことも起こる場所だったんですよ。で、そこがもうみんな……。

(吉田豪)映画館でしたっけ?

(里咲りさ)あ、言っていいんでしたっけ? フフフ(笑)。

(吉田豪)某映画館で。

(里咲りさ)で、お客さんとかがみんなサイリウムを持って「イエーイ!」ってなっているのを見て「いいな!」って思って。それでアイドルになっちゃったんですよ。その店ガールになるかならないかみたいな時もそういう時だったんで。その人たちとベルハーさんを見に行ったんですよね。それで衝撃を受けて。それまで、テレビしか見てこなかったんで。群馬県で。テレビ、放送作家、シンガーソングライターみたいな。

(吉田豪)「アイドル」っていうのもテレビ的なアイドルしか知らなくて。

(里咲りさ)そうです。モーニング娘。しか知らなかったし、駄菓子屋さんで後藤真希さんの生写真を買って飾ったりとか。そういう普通小学生が好きになってやるようなことしか知らなかったです。

(吉田豪)そしたら地下でバンドに近いアイドルシーンがあるっていうことがわかって。

(里咲りさ)そうです。阿佐ヶ谷ロフトで2013年の年末かな? 見に行ったんですよ。そしたらとんでもなくて。「ウワーッ!」っていうギュッとした中での熱量を見てびっくりして。「私もこれをやる!」って思っちゃったんですよね。で、その運営さんたちと少女閣下のインターナショナルを始めて。なのでその時も私は最初はバンドとしてやるつもりだったから、みんなで平等に持ち出ししてやるみたいな。でも、なんかだんだんと「里咲が社長をやれ」みたいな感じになってきちゃって。

(吉田豪)男たちが一歩引いて?

里咲が社長をやれ

(里咲りさ)そう。「なんてだらしのない人たちなんだ! 絶対に無理!」って思って。気づいたらオーディションとかも始まっちゃっていて。もともとやろうって言っていた子たちがまともなところに就職になっちゃったから「やっぱりやらない」ってなって。でも、私とその運営さんたちは完全にスイッチが入っていて「ええっ、どうしよう?」みたいになっちゃって。「それだったらやらない」ってなるかと思いきや、もう応募がめっちゃ来ちゃっていて。知らなかったので「なにしてるんですか? 無理!」ってなって私、1回実家に帰っちゃったんですよ。

(吉田豪)ちょっと病んだ期ですよね。

(里咲りさ)私が不在のまま、少女閣下のインターナショナルが作られ始めていて。3週間、実家でなんか歌舞伎を見に行ったり、河原でたたずんだり。本当に3週間、一時期ニートみたいな感じで過ごして。でも「戻ってきてくれ!」ってみんなに言われて「しょうがないか」ってシェアハウスをもう一度、東京で借りて。全部コミコミで5万円ぐらいのところに。

(吉田豪)社長は数年前までシェアハウスでしたね。

(里咲りさ)そうです。これぐらいの狭さのところに住んで、少ナショを始めて。だからさっきの責任の話で言うと、私が急に社長になっちゃったものなので、責任感を変に感じ始めちゃったんですよ。「みんなに給料を払わねばならない!」みたいな。

(吉田豪)「ホワイトでなければ!」みたいな。

(里咲りさ)そうそう。契約書みたいなのもめっちゃちゃんと作った覚えがありますね。未成年とかが入ってきちゃったんで。「下手にやったら私、逮捕される!」って(笑)。

(吉田豪)よっぽどのことをしないとされないですよ(笑)。

(里咲りさ)でも本当になんか、高校生の時にものすごく真面目に生きてしまったせいで、真面目な人の思考……リスクを全て排除するみたいな思考が身についていたんで。

(吉田豪)なのにそんなリスクを背負っちゃって。

(里咲りさ)そうです。だから弁護士に……すっごいタワーに住んでいる弁護士の家に行って、「すいません。お金がないんで出世払いでお願いします」って言って作った書類を見てもらって。「ああ、これなら大丈夫ですよ。保護者のこういう同意書もあるといいよ」とか教えてもらって。

(吉田豪)契約書の作り方を。

(里咲りさ)はい。契約書をちゃんと書いてもらって。「よし、あとは給料を払うだけだ」って思って。

(吉田豪)契約書を作っているところもほぼないと思いますよ(笑)。

(里咲りさ)私、契約書を作るのめっちゃ上手いですよ、本当に。だからでも、その時があったからいまもすごくそれが活きていて。「甲・乙」とか書き方……「第一条、第二条、第三条……」みたいな。リスクを全て書くやり方とか管轄の裁判所はどこだとか。本店所在地をとか、いろいろと身につきましたね。

(吉田豪)基本、学がある人ですからね。そのへんはちゃんとするんですよね。

(里咲りさ)ちゃんとしたい。ちゃんとできます。だから少ナショの時もそんなことをやっていて。お金で払えないとよくないと思ったので、自分で働いたりして持ち出し……結局、最初の頃はものすごい赤字でしたよ。

(吉田豪)言ってましたよね。シンガーソングライター業で稼いだ分をグループでメンバーに払っているみたいな。

シンガーソングライター業の稼ぎを投入

(里咲りさ)そうですね。一時期、すごかったですね。「私、なんのためにやっているんだろう?」って思う時、すごいあったんですけども。

(吉田豪)ちょうどその時期にソロも始めて。で、ソロが意外と評価をされて、意外と売れるようになった時にそういう状況になっていたんですよね?

(里咲りさ)そうです。だからソロでたとえば……数字はたとえ話ですよ。月にじゃあ30万円儲かったみたいになったとするじゃないですか。そしたら少ナショで35万円かかるみたいな。だから、働きつつ……みたいなことを途中までやっていたんですけど。

(吉田豪)あの、店ガールと同じことをやっているじゃないですか(笑)。

(里咲りさ)やっていました(笑)。たしかに! 構造はそこで学んだのかもしれない(笑)。でも、途中で本当に会社に行けなくなっちゃって。たぶん疲れていたんで。9時出社だったんで、会社に行こうと思って行ったら、会社の前まで行ったんですけど「行けない……」ってなって。

(吉田豪)完全に精神が壊れて。

(里咲りさ)で、そのまま、泣くとかわめくとかもなくて、携帯の電源も切ってずーっとその周りをグルグル回って。公園に行って「ああ、やっちゃった……」みたいになって。私、結構無遅刻・無欠席タイプ。小中高とずーっと時間を守らないとかもないし、バイトをサボるとかも1回もなかったんですけど、「ヤバいかも、これ……」って思って。鬱ですよね、それは。

(吉田豪)完全に。わかりやすく壊れた瞬間ですね。

(里咲りさ)でも、それで2、3日家にいて「どうしよう?」って思ったんですけど、ソロもあったし少女閣下のインターナショナルもあったんで、そっちは正常に動いていたんですよ。社会的に壊れた瞬間っていうのはあったけど、自分のやりたい音楽の方、アイドルカツドウとかは盛り上がってきているところだったので、そこでギリギリ救われた感じ、ありましたね。

(吉田豪)その時は仕事、なにをやっていたんですか?

(里咲りさ)言っていいのかな? NTTの開通。工事の電話みたいな。

(吉田豪)ああ、ものすごい天才的に契約を取っていたっていう?

(里咲りさ)そう。それの中番。都合がつかなくなってきていたんで、中に入れてもらっていたんですけども。みたいなのをやっていました。それで、でもその頃に「ああ、そういえば私はシンガーソングライターをやりたかったんだ」って思って。そこぐらいでスイッチが入って。

(吉田豪)テレアポの才能もあったけど、「いや、私がやりたいのはこっちじゃない」って思っちゃって。

(里咲りさ)そうです。ギターを持っていなかったんです。シンガーソングライターを辞めて、「私はアイドルをやる!」って思ってアイドルグループと、ソロもソロアイドルとしてやっていたんですよ。

(吉田豪)1曲目は完全なアイドルソングで。

(里咲りさ)4曲目ぐらいまではそうなんですよ。で、そこで会社で社会的に終わった瞬間に「ああ、本当にやりたいことをやろう」って思って。グループでアイドルをやってソロの方ではギターを持ち始めたんですよ。もうアイドルでもギターを持っていいだろうって思って。そしたら、そのぐらいから豪さんとかそのへんの方が……。

(吉田豪)ロマン優光とかがね、「曲、いいぞ!」ってなって。

(里咲りさ)ファンの方がついてくださって。で、ある程度まで……それでちゃんと暮らせるようにもなったんですよね。死なない程度には、みたいな。

(吉田豪)テレアポで稼げていた人ではあるけど、全然これは音楽でも稼げるぞってなって。

(里咲りさ)稼げました。でも、それは豪さんが本(矢沢永吉『成りあがり』)をくれて。「タオル、売ったらいいよ」とか。アイドル界隈が盛り上がっている時だったんでなんでも……本当にバブルみたいな感じでした。

(吉田豪)CD-Rバブルみたいな。

CD-Rバブル

(里咲りさ)CD-R、出せば出すだけ売れるみたいな。いちばん最初に通信販売やった時、びっくりしたんですよ。本当にフォロワーが3000人とか4000人ぐらいだった時、CD-R、11曲入れてアルバムを出しますって、本当にクレヨンで書いたみたいな歌詞カードをつけて一生懸命に作ったんですけどもそれを出したら、なんか北海道から沖縄まで注文がブワーッて来て。びっくりして。「えっ、こんなに売れるんだ?」って思って。まさに特需。アイドル経済の恩恵を受けた感じでした。

(吉田豪)「こんなに稼げるなら、やっていけるじゃん!」って。

(里咲りさ)思いましたね。はい。イケイケドンドンっていう。未来を悲観するとかもなかったです。家電量販店とか……家電量販店の仕事もすごい楽しくて。いま戻ってもたぶんすごい好きなんでやれるんですけども。「この後、どうなっちゃうんだろうな? やりたいこと、できないな」みたいなのはもうなかったです。

(吉田豪)グループはなんで終わったんでしたっけ?

(里咲りさ)高校生が3人いたんですよ。で、私は結構ね、ワンマンをやった後に全員意見が変わるみたいな。「まだまだいける!」っていうタイプと「ちょっとこのあたりで……」みたいなのと。あと、結構みんな疲れが出てきていて。1年半、2年ぐらいやったのかな? 結構ガーッ!って走り続けてきたグループだったんで雲行きが怪しいな、みたいなのがあって。その頃、しかもだんだん周りも不穏になってきたんですよね。近いところのグループで脱退が続いたりとか。そういうの、伝染するじゃないですか。みんなの未来も考えて、このへんで終わりにしようかって感じで活動休止にしました。

(吉田豪)でも、その方が稼げるんじゃないですか?

(里咲りさ)私ですか?

(吉田豪)持ち出しがなくなる分。

(里咲りさ)でも、その時にはたぶん少ナショも稼げるようになっていたんですよ。だから「ああ、やっと貯金ができる」みたいな時だったかもしれない。でも、私もたぶんその時、疲れていましたね。少ナショで自分のやりたい音楽と違うみたいなのもあったし。結構「社長、社長」って言われて。

(吉田豪)なんでニルヴァーナのカバーなんかやらなきゃいけなかったんですかね?

(里咲りさ)言わないでくださいよ、それ!

(吉田豪)言いふらしますよ(笑)。世界に伝えますよ(笑)。

(里咲りさ)そんなの、やっていたりして。

(吉田豪)『Smells Like Teen Spirit』のひどいカバーをやって。

(里咲りさ)フフフ(笑)。それも、少ナショはパンク精神を……。

(吉田豪)ずーっとビビッてたんですよね? 真面目な人だから。「こんなこと、無許可でやってバレたらどうするんですか?」っていう(笑)。

(里咲りさ)そう。私がいくら契約書をちゃんとしても、みんな運営たちが謎の行動をし始めるんですよ。悪ふざけをして。「それはいま、ここで面白がられているからいいけど、もし誰かに嫌われてリークされたらどうするんですか!」とかって。

(吉田豪)ブックオフで安いCDを買ってきて、そのジャケに落書きをして、それをパッケージにしてCDを売ったりとか。

(里咲りさ)いや、あの時は本当に信じられなかったですよ。

(吉田豪)面白いことはしていたけど、あれは社長の精神はすり減っていくわけですよね?(笑)。

真面目なので精神がすり減る

(里咲りさ)本当、直前まで戦いましたもん。なんか突如として無許可で、CDのジャケットを買ってきて「ここに落書きをして」みたいなのを言い出した時に「ふざけないで! 本当にあなたたち、私のことを社長として担ぎ上げて、責任を全部私に押し付けて。なんかあった時に責任を取るの? 逃げるでしょう?」って。めちゃくちゃケンカとかしましたよ。私、たぶん1回ものすごい路上でガチギレしたことがあったと思います。

(吉田豪)その時期、社長とイベントで絡んでこのへんの話をするたびに結構マジで怒っていたし、マジで触れないでくださいっていう空気を出していましたよね。

(里咲りさ)本当にそうでした。私、じゃあ契約書に全部書こうって。各種の責任の所在をちゃんとリストアップして。やりたいんだったらちゃんと取りにいきましょうとか、そんなことをやっていたんですっごい疲れましたね。本当は友達なのでそもそも人間的には仲はいいんですよ。でも、そのアイドルをやるという上でちゃんと法律を守りたい。面白いことをしないっていう……。

(吉田豪)離れたことでよかったと思いますよ。向こうも向こうで面白いアイドル運営はやっているし。

(里咲りさ)そうそう。お互い、いいところは活かすことができて。なんかスタートっていう感じでしたよね。

(吉田豪)お互いに手探りな状態で。

(里咲りさ)勉強になって。時々、またみんなで飲んだりはします。仲はいいんです。みんな。

<書き起こしおわり>


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