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杉作J太郎と吉田豪 昭和のスター・渡瀬恒彦を語る

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杉作J太郎さんと吉田豪さんがJFN『スキマから聴こえてくるラジオ』に出演。昭和のスター、渡瀬恒彦さんについて話していました。

(杉作J太郎)『スキマから聴こえてくるラジオ』。今日は私、杉作J太郎と……。

(吉田豪)はい。吉田豪が昭和のスターをテーマにお送りしています。Jさん、続いてどの方に行きましょうか?

(杉作J太郎)この間ね、惜しくも亡くなってしまいました。驚いてしまいましたけども。渡瀬恒彦さんでしょうかね。

(吉田豪)おすすめの作品は何になりますかね?

渡瀬恒彦 おすすめ作品

(杉作J太郎)そうですね。先ほど松方さんもたくさんの作品があるという話をしましたけど。話し終わっていまさら直せませんけどね。まあ、何でもいいから言っておいた方がよかった気もしますんでね。やはりここはひとつ、具体的なタイトル名を挙げておきますが。『皇帝のいない八月』というね。これは、東映の作品ではないんですけども。



(吉田豪)ですね。

(杉作J太郎)まあ渡瀬さんはずっと東映所属でね。映画会社所属の俳優ってね、いまそんないないんですよ。日本中に。そんな中で最後まで東映に殉じた渡瀬さんなんですが。

(吉田豪)そうですね。

(杉作J太郎)まあ、ここ1本ということで言いますとね、僕も別にね、東映の回し者っていうことではありませんので。その証明のためにも、松竹映画『皇帝のいない八月』ということでね。この渡瀬さんはすごかったね。素晴らしかったと思います。これはクーデターを起こす自衛隊員役ですが。

(吉田豪)はいはい。

(杉作J太郎)これはね、渡哲也さんがそもそもは主演なわけですよ。で、渡哲也さんと吉永小百合さんが共演で、クーデターを起こした自衛隊員とその妻というね、もう松竹映画の超大作。ところがその、渡さんがこれはまあ、何らかの事情……テレビが忙しかったのか、体調面だったのか。渡さんはずいぶん多くの作品を実は降りられているんですけど。動き出す前にね。

(吉田豪)はいはい。うん。

(杉作J太郎)この作品に関しては、やはり「どうしても渡さんが……」っていう感じだったんだと思います。相手が吉永さんだし。日活時代のね。そして、渡瀬さんが登板するんですけど、やっぱりこの渡さん、渡瀬さんっていうご兄弟の信頼関係というか。お互いがお互いを思う気持ちの強さっていうのはこれ、相当なものがあったと思うんですよね。その中で、渡瀬さんが代わりに出てきた以上、相当気合いを入れてやらざるを得ないっていうね、その気迫がね。渡瀬さんは普段はどっちかって言うと、豪ちゃんも思っていると思うけど。ダウナー系というかね。演技の雰囲気が。白け世代。

(吉田豪)はいはい。ですね。

(杉作J太郎)東映の中にあってちょっと白け世代のね、いわゆる桃井かおりさんとかと手が合うみたいな。だから、桃井かおりさんとかが恋人役みたいなことは実に多い。

(吉田豪)アンニュイ派ですよね。

(杉作J太郎)そう。それとか、対抗する相手で考えても原田芳雄さんとかね。そういうちょっとダルな感じのね、ちょっと抜いた感じのスターなわけですよ。渡瀬さんは。

(吉田豪)石原プロ感じゃないわけですよね。

(杉作J太郎)そうなんです。ちょっともう、「どうでもいいじゃない」っていう。言わば、「どうでもいいじゃない」っていうのがあるわけなんですけど、この渡瀬さんだけは違うんですよね。

(吉田豪)ギラギラしてる?

(杉作J太郎)ギラギラしてる。でもおう、だから「やったらやれる」っていうかね。「やったらすごいんだな」っていうのをね、見せつけた。すごかった。あの、クーデターを起こした……九州から出たブルートレインが東京に向かっていて。そして、自衛隊が一斉蜂起をするような話なんですけど。「もしも成功したらっていう暁にはね、東京駅に着いた我々は一糸乱れぬ行進を皇居に向かってするのだ!」っていうね、この渡瀬さんの雰囲気は、監督は山本薩夫さんでね、そういうクーデターとかに否定的な思想の持ち主の方なんですけど。

(吉田豪)はいはい。

(杉作J太郎)それでも、かっこよく見えてしまうぐらい、渡瀬さんのね、演技がすごく。また、共演者も三國連太郎、丹波哲郎、渥美清。

(吉田豪)重厚な人たちが。

(杉作J太郎)もう、松竹のスターが勢揃いなのに、そのトップにいきなりね、出て。全く遜色なかった。これは僕、渡瀬さんのね、ひとつの代表作と言っていいんじゃないかと思うんですけど。渡瀬さんは、アクションスターとしての面もあるんですよ。

(吉田豪)うん。ありましたね。

(杉作J太郎)だから角川映画の『化石の荒野』っていう映画があるんですけど。この中で、あれはどこだろうね? 南アルプスですかね? 谷川岳のあたりですかね? ちょっとこれ、違うかもしれませんが。もう本当に、1000メートル、2000メートル級の渓谷の上を通っているロープウェイの底をパカッと開けて。もう下、1000メートルぐらいの谷ですよ。そこで、ロープをスーッと下ろして、命綱なしで下りていくんだよ。



(吉田豪)うん。

(杉作J太郎)それでその時に、「高いな」って思ってね。高さを表現するために、アドリブでね、物を落としたそうなんですよ。そしたら、やっぱりカバンがヒューッて落ちるところが映っているわけ。その時に渡瀬さん、はじめてね、「ああ、高いなって思った」っていう(笑)。

(吉田豪)(笑)

(杉作J太郎)でもね、スルスルッて下りていって。下りていく時の途中で思ったことは、「もうちょっと怖がらなきゃいけないのかな?」っていう(笑)。

(吉田豪)「リアリティー、足りないかもな?」っていう(笑)。

(杉作J太郎)うん。いや、すっごい人だと思いますね。

芸能界ケンカ最強説

(吉田豪)渡瀬さんの芸能界ケンカ最強説ってあったじゃないですか。あれは、何なんですかね? かなりいろんな人から僕も聞きましたね。

(杉作J太郎)いまの高いところが怖くないとかね、なんか覚悟が決まっている感じがしますね。僕、渡瀬さんって。

(吉田豪)空手のベースがありながら、そのハートの強さもあってっていう。

(杉作J太郎)うん。どこかで覚悟されたんじゃないのかな?っていうのが、渡瀬さんはほら、もともとがサラリーマンというか、ビジネスマンじゃないですか。

(吉田豪)電通ですもんね。

(杉作J太郎)そうなんですよ。だから、もともとはデスクワークをやっていた人ですから。その方が、途中から、それも東映に入ったんですよ。で、東映に入って、それも京都に行きましたからね。どこかで僕は腹を括ったのかな?っていうね。もうこれは「いつ死んでも……」じゃないけど。それが凄みっていうかね……まあ、凄みっていうことはないんだけど。それが強さの裏付けになってるような気がしますね。

(吉田豪)最強伝説がありながら、そういう悪い話もないですからね。

(杉作J太郎)そうなんですよね。性格的に渡瀬さんが誰かをやりあげたみたいな話は一切聞いたことがない。聞くのは本当ね、何かでモメ始めたところでシュッと……早いでしょう? 勝負がつくのが。覚悟をされていた方のような気がしますね。

(吉田豪)わかりますね。じゃあ、そんなところで1曲、聞いていただきますかね。Jさん、曲紹介をお願いします。

(杉作J太郎)はい。そんな数々のね、昭和のスターが輝いた時代。美空ひばりさんで聞いてください。『川の流れのように』。

『川の流れのように』



<書き起こしおわり>
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杉作J太郎と吉田豪 昭和のスター・安岡力也を語る

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杉作J太郎さんと吉田豪さんがJFN『スキマから聴こえてくるラジオ』に出演。昭和のスター、安岡力也さんについて話していました。

人生、そうは上手くいかないもんだな。力也さんのようなオーラを出したい #安岡力也 #ホタテマン

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(吉田豪)吉田豪と……。

(杉作J太郎)杉作J太郎がお送りしています『スキマから聴こえてくるラジオ』。

(吉田豪)今日は昭和の日から近いということで、昭和のスターをテーマにお届けしています。次のスターは先ほどね、渡瀬恒彦さんの芸能界ケンカ最強伝説ということで。この人も最強説があったという安岡力也さんに行ってみたいと思うんですけど。

(杉作J太郎)うーん。体はいいですからね。

(吉田豪)まあキックボクシングのプロでもあったしというね。

(杉作J太郎)ただ、もともとはね、割りとハンサムな。

(吉田豪)ものすごいイケメンですよ。

(杉作J太郎)ねえ。もともとはハンサムで、どちらかと言うと線が細いというかね。

(吉田豪)シャープ・ホークス。シャープですからね。

シャープ・ホークス


(杉作J太郎)背は高いですけど。どちらかと言うと、スラッとした二枚目でしたからね。

(吉田豪)それがね、本当にエルビスのように体型も変わっていって。

(杉作J太郎)別人ですよね。きっと。シャープ・ホークス時代のファンから見てみると、東映の映画で用心棒とかやっていた安岡力也さんは別人だったと思いますよ。

(吉田豪)最初からそうだったんですか? 『ワル』シリーズの頃からもうああいう?

(杉作J太郎)『ワル』の頃は過渡期でしょうね。あれ、だってまだ高校生の役をやっていましたから。もうその後は高校生の役はさすがにできなかったと思いますが。

(吉田豪)あの、Jさんのおすすめの作品は何になりますかね?

(杉作J太郎)どうでしょう? 安岡力也さんのおすすめ。どれがいいっていうのは難しいですね。急には。

(吉田豪)いま、本を出したばっかりだし、『不良番長』シリーズとかですかね?

『不良番長』シリーズ


不良番長 浪漫アルバム

(杉作J太郎)ありがとうございます。たしかにそうです。なぜなら、16本ぐらいあるんですけど、その中の何本ぐらいに出ているんだろうね? もう半分ぐらいに出ていますから。『不良番長』シリーズの顔でしたからね。『不良番長』でアパッチ役をやりましてね。この力也さんは面白かったですね。

(吉田豪)力也さん自身、楽しんでやっていたっぽいですもんね。当時の思い出話はすごいよくされていて。

(杉作J太郎)ああ、そうですか? どんなこと言っていた?

(吉田豪)なんかもう、独自のルールがあったわけじゃないですか。当時の。「共演の女優は俺たちの人数に合わせろ。全員やっちゃうから」っていう(笑)。その頃の話。

(杉作J太郎)僕もね、これ、ちょうど本を書くんでね、ずっと取材をしていたばかりでね。あと、力也さん、いま息子さんの力斗くんが僕、仲いいんですけどね。やっぱり力也さんが特にすごかったみたいよ。

(吉田豪)女性関係は?

(杉作J太郎)アタックぶりが。で、梅宮さんとか(鈴木)ヤスシさんとかはもうちょっと落ち着いていたみたいですね。ある女優さんがね、その時におっしゃっていましたけど、力也さんがアタックしてきたと。で、梅宮さんのことをみんなが”お兄ちゃん”って言っていたそうですけど、「そんなことしたら、お兄ちゃんに言うよ」って言ったらね、すぐ止めていたっていうね(笑)。

(吉田豪)お兄ちゃんは怖かったっていう(笑)。

(杉作J太郎)それでね、「気の小さいところ、あるのよ」って言われていて(笑)。

(吉田豪)(笑)

(杉作J太郎)「気、小さいのかな?」って思ってね(笑)。

(吉田豪)小さい人ではないですけどね。

(杉作J太郎)あの、豪快な人だったとは思いますよ。僕は。

(吉田豪)ものすごいファンサービスの人っていうイメージですね。僕も何度か取材とかしましたけど。

(杉作J太郎)たとえば?

(吉田豪)幻想を見せてくれるんですよね。最初に会った時が、それこそ相当前ですよ。高野拳磁との対談の時ですもん。

(杉作J太郎)ああ、すごい組み合わせですね。

(吉田豪)20年以上前ですよね。雑誌で対談して。で、プロレスラーの高野拳磁さん。まあね、松田優作とか好きじゃないですか。そういう話をすると、飲み屋だったんですけど。当時、もうお酒を止めていたんですよ。でも、イメージのためということでジャックダニエルのボトルとかを持って写真は撮るんですよ。で、松田優作の話になると、突然店の斜め上を見ながら、「こんな話をされると照れるよな、優作」とか話しかけ始めるとか。サービスをすごいしてくれるんですよね。本当に(笑)。

(杉作J太郎)(笑)。優しい人なんだな、だから。

(吉田豪)優しいですね。うん。

(杉作J太郎)僕はね、ある洋画の記者会見の司会で呼ばれて行った時にね、力也さんがその出演者にいたんですよね。

(吉田豪)トロマ映画の時ですか?

(杉作J太郎)そうです。トロマの『悪魔の毒々モンスター 東京へ行く』の時。で、高田馬場かどっかの銭湯であってね。仕事が終わりまして、駅に帰る途中にエロ本の自動販売機があったんですね。

(吉田豪)当時、まだそういう時代ですね。

(杉作J太郎)ええ。まあ、俺もどうかしていると思うんですけどね、ほしくなりましてね。真っ昼間だったんですけど。

(吉田豪)(笑)

(杉作J太郎)「ああ、ほしいな」と思ってね。もう、キョロキョロしながら、誰もいないんだよ。「もうじゃあ、買うしかないな」って思って、買ったらね……あれ、押してから出てくるまでに時間がかかるんだよ。で、「ビーッ!」って音がしてね。「うわっ、早く出ろよ! 人が来るじゃないか」って思って。そして「ビーッ!」って、しばらくしたら「ガタン!」って出たんだよ。で、「ようやく出た」と思ってしゃがんで拾っていたら、後ろから「なにやってんだ、昼間から?」って言うんですよね。で、後ろを振り返ったら力也さんが立っていて。

(吉田豪)ええ。

(杉作J太郎)俺、そん時ね、「殺されるかもしれない」って思いましたよ。昼間からね。さっきまで仕事を一緒にしていたのに、もう昼間からエロ本を買っているのか?っていう。「お前、なに買ったんだ?」って言うんですよ。そしたら、「すいません。僕、これほしかったんで。エロ本買ったんです」って言ったら、「しょうがないな。俺はこっちだ」って言ってね、もう1冊別のエロ本を力也さんが買って帰られましたよ。いやー、親切な方だな。優しい方だなと思いましたね。

(吉田豪)サービス精神ですよね。完全にね。

(杉作J太郎)あれ、たぶんね、力也さんはほしくなかったと思うんですよ(笑)。

(吉田豪)ですよね(笑)。なんで付き合いで買ってるんだ?っていう(笑)。

(杉作J太郎)すごくなんか、心の大きな方ですね。体も大きかったけど、心も大きくてね。

出演者に入れておくと撮影が便利

(吉田豪)あるVシネの監督の人から聞いたんですけど。「とにかく力也さんを出演者に入れておくと撮影が便利でしょうがない」って言ってましたね。ロケとかで怖い人が来ても、まあ力也さんが来た瞬間に全てが終わるっていう。

(杉作J太郎)まあ、実際問題キックボクシングをやられていたし。実際に強かったろうけどね。

(吉田豪)あとまあ、顔でもあったんで。「ああ、なんだ。力也か。じゃあいいよ」で。いわゆる地回り的な人たちが全員力也さんの顔を見たら収まるっていう。

(杉作J太郎)あの、さっき出た『不良番長』なんかでもね、ロケの合間合間に六本木とか銀座を歩いていてね、向こうからたとえば悪そうな人が来て。こっちはスターだからね。梅宮さんとか大原(麗子)さんとかいるじゃないですか。向こうからちょっと絡んでくると、大原さんがかならず言っていたそうですね。「力也、行け!」って(笑)。

(吉田豪)(笑)。(内田)裕也さんもよく言ってましたよね。「力也、行け!」っていうのは(笑)。

(杉作J太郎)でも、歌手ですからね(笑)。「行け!」って言われてもね。もともとは二枚目の歌手ですから、行くいわれはないと思うんですけど(笑)。

(吉田豪)そうだ。最初に聞いたのはそれでその幻想がある話も聞いたんだ。優作さんとショーケンがモメた時の話をその時に最初に聞いたんですよ。優作さんがショーケンの演技をパクッて……みたいな感じで、2人が大晦日に大モメになって。たしか、ニューイヤーロックフェスがやっていたんだけど、「どうしても来てほしい」って。

(杉作J太郎)力也さんがニューイヤーロックフェスにいて?

(吉田豪)で、裕也ファミリーみんなで止めに行ったっていう話を……(笑)。

(杉作J太郎)(笑)

(吉田豪)内田裕也、安岡力也、ショーケン、松田優作っていう(笑)。

(杉作J太郎)いや、でも付き合いがよかったですよね。付き合いがよかったっていうか、そのファミリーのね、結束は。

(吉田豪)強かったですね。

(杉作J太郎)力也さん、ジョー山中さんのね。だから本当、男の放課後感のあるグループでしたね。

(吉田豪)ありましたね。ただ、力也さんがまた幻想がすごい人っていうか、どこまでが本当かわからない人じゃないですか。イタリアンマフィアの血をひいている説が果たして事実なのかどうか問題とか。

(杉作J太郎)うん。あの、息子さんの力斗くんから聞くとね、やっぱり普段は全く別人みたいですよ。

(吉田豪)ああー。

(杉作J太郎)もう家では怖いとか、そういう雰囲気が一切なくてですね。だから、映画やテレビに出てくる力也さんは全部別人で。それで、家では見たことなかったって言ってましたね。見ていると辛くなるんで。あと、かならず死ぬから。いい役でも悪い役でも絶対に死ぬんで。それが辛かったって言ってましたね。どうしてこの優しい、全然なにも悪くないお父さんが……で、アニメとかが好きらしいんですよ。そんなお父さんがどうして死んだりしなきゃいけないんだろう?っていう。

(吉田豪)悪い人扱いされて。

(杉作J太郎)いっつも悪い役をやってっていうね。だから、どこまでが本当だった?っていうのが……でもまあ、さすがにそれは家では演じてないだろうからね。いい人をね。

(吉田豪)山城新伍さんの本を読むと、あっさり否定してましたからね。イタリアンマフィア説を。

(杉作J太郎)ああ、新伍さんが。うん、そうだと思いますよ。みなさん、だから昭和のスターは……ああ、でもこれも言えるかもしれないね。みんな、やっぱり何かを一生懸命演じていたんじゃないですかね?

(吉田豪)そうなんですよね。

(杉作J太郎)だから、プロレスラーみたいな感じだったんだな。

(吉田豪)すごい思うんですよ。

(杉作J太郎)それも、怪奇派の。アンダーテイカー、ブッチャーとか。ああいう感じの、ちょっとずーっと何かを演じていたっていう。

(吉田豪)いろんな幻想のある人ですよ。

(杉作J太郎)うーん。いや、本当にそういう意味では尊いですね。昭和のスターの一挙手一投足はね。

(吉田豪)見栄の張り方というか。

(杉作J太郎)そうですね。いやー、いい話だな。

(吉田豪)そろそろ1曲……。

(杉作J太郎)まあじゃあ、ここで力也さんのを聞いてみましょうよ。安岡力也とシャープ・ホークス『この胸に十字架を』。

<書き起こしおわり>
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杉作J太郎と吉田豪 昭和のスター・山城新伍を語る

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杉作J太郎さんと吉田豪さんがJFN『スキマから聴こえてくるラジオ』に出演。昭和のスター、山城新伍さんについて話していました。


(杉作J太郎)『スキマから聴こえてくるラジオ』。今日は私、杉作J太郎と……。

(吉田豪)吉田豪が昭和のスターをテーマにお届けしています。時間がすぎるのは早いもので、最後の1人となっちゃいましたね。Jさん、最後はあの方がいいんじゃないですかね。

(杉作J太郎)うん。山城新伍さん。

(吉田豪)はいはい。最近なんかJさん、「新伍さんに対して世間が誤解している」みたいなことを言っていましたよね。

(杉作J太郎)あの、誤解ではないのかもしれないんだけど、あまりにも1つの方向だけの新伍さんの話しかいまね、みんながしなくなっているから。「いや、そうじゃないんじゃないかな?」っていうのをかなり気合いを入れてね、書かせていただきました。

(吉田豪)『不良番長 浪漫アルバム』で。

『不良番長 浪漫アルバム』


不良番長 浪漫アルバム

(杉作J太郎)はい。これは相当気合いをいれて作った本なんで。ぜひ読んでいただきたいですが。

(吉田豪)簡単に言うと、どういうことですか?

(杉作J太郎)簡単に言うと、山城新伍さんはやっぱり映画が大好きなんですよね。

(吉田豪)映画は異常に好きで、本も出していますからね。監督もして。

(杉作J太郎)映画が好きっていうことは観客が好きであり、見に来るお客さん、人が好きなんですよね。で、みんなに喜んでもらうためにはどうすればいいか? みたいなことをずーっと考え続けてきた方なんで。あの、その山城新伍さんが一方からだけの見方で、ちょっとあまりにも悪く言われているとね、僕はちょっと納得がいかなくてね。

(吉田豪)まあ、悪く言う人を僕もたしかに直接会ったこともありますけど。

(杉作J太郎)それがね、たぶん悪く言っていたのも、僕も聞いたことがあるんですよ。実は渋谷の喫茶店でね、昼間お茶をしていたら、近所の薄暗い喫茶店でしたけど。女の子5、6人がね、新伍さんの悪口を言っているんですよ。

(吉田豪)ええっ?(笑)。女子5、6人でその話題になりますかね?

(杉作J太郎)あのね、共演してたっぽいんだよ。さっきまで。おそらく、渋谷のビデオスタジオ。あそこで。そして、「絶対にもう仕事したくない」とか言ってるんですよ。「なに、あの人?」みたいに言っているんですよ。でも、その子たちの話す雰囲気から言って、「お前らが悪かったんだろ?」って僕は思ったんですよ。

(吉田豪)うん。

(杉作J太郎)で、新伍さんがそれをたぶん注意したんだろうけど、それをたぶん、「最悪だ!」って言っているわけ。で、新伍さんのことで文句を言う人っていうのは思い出してみるとね、みんなやっぱり現場で厳しくされた人たちなんですよ。僕はね、新伍さんはやっぱりものを作るのが好きだから。ちょっと心得違いというか、ちょっとおかしいことをしている人にそれは注意というか厳しく言っただけで、その人の人格を否定したわけでもなければね、その人をいじめたわけでもないんじゃないかな? とは僕は思いますけどね。

(吉田豪)僕は「本当に大好きなんですよ」って言って会いに行ったら、ものすごいいい人でしたけどね(笑)。

(杉作J太郎)そうでしょう?

(吉田豪)そこからはサービスしかしてくれない感じの。

(杉作J太郎)うーん。僕も一度だけお会いすることができましたけど。全然そういう感じの人じゃなかった。伝わってくるのは、芸能・芸術がね、もう大好きだっていうのは伝わってきましたけど。

(吉田豪)あと、根のインテリジェンスな部分と。

(杉作J太郎)そうですね。それと、差別とかそういうのが嫌いな人でしたね。だから、人をいじめるとかいうのはね、僕はピンと来ないんですよね。ええ。うーん。まあ新伍さんはでも映画俳優、芸能人として、まあ独特な方でしたね。

(吉田豪)特異なキャラクターですよね。

(杉作J太郎)ええ。映画というのは基本的に台本があって。その台本を再現していく。人によっては一字一句変えただけでも監督なんか怒りますけども。新伍さんはたぶんね、日本で最もアドリブを……あと、その場で思いついたこととか、「こうした方がいいだろう」とか、「ここでこれ言ったら、この人は怒るだろうな」とか。そういうのを映画の中でやったナンバーワンが日本では新伍さんでしょうね。で、二位が松田優作でしょうね。

(吉田豪)ああー、はいはいはい。

(杉作J太郎)で、2人とも映画大好きなのよ。

(吉田豪)ですね。

日本映画のアドリブナンバーワン

(杉作J太郎)映画が大好きな人だからこそ、できることで。その証拠にね、新伍さんとか優作さんがアドリブで、たとえばね、これは優作さんですけど。平泉成と共演をしていて、役の通りに話さなきゃいけないんだけど、会った瞬間に「あれ? あんた、平泉さん?」とか言っちゃうわけですね。

(吉田豪)やってましたね。

(杉作J太郎)それはね、パッと挟むんだけど。山城さんも随分、「あんた、○○?」っていうのを入れてくるの。あのね、リズムがかえって良くなっているんですよ。僕、元の台本とかも見ましたけど、新伍さんがひとつ入れることでね、リズムがさらによくなっている。だから、映画が好きな人だからこそできる……それで、内容も崩していないわけです。好きすぎてできてしまうことだから。あれはやっぱり、よく映画を理解していない人がやると大失敗すると思いますね。

(吉田豪)うんうん。

(杉作J太郎)だから、理解をしている人がやっているから、それをね、フィルムに残っているわけで。あれ、つまんなくなっていたらカットされて、削られて終わりですから。新伍さんのあのアドリブは一見の価値があると思いますね。

(吉田豪)あの軽さを持っている役者さんってあまりいない気がしますよね。

(杉作J太郎)うん。ないと思います。それはね、新伍さんは元々京都で時代劇をちゃんとやっていたから。

(吉田豪)ちゃんとやっていた人ですよ。

(杉作J太郎)この時代劇の芝居っていうのはどっちかって言うと型通りで、ちょっと古いんですよね。どうしても。で、新伍さんはもしかするとね、その古い感じを払拭するために、わざとというか、軽い感じの……で、古いタッチの時代劇スターの方々はね、新伍さんよりも売れていた人とか、新伍さんよりもスターがたくさんいたんですよ。昔は。でも、みんないなくなっているんですよ。結局。だから新伍さん自体も、実際問題京都でちょっと落ちてくるんですよね。どんどん。現代劇とかが増えて。

(吉田豪)はいはい。

(杉作J太郎)そこで新伍さんが東京に来て、出たのが『不良番長』シリーズでね。そこから新伍さんの軽いタッチが始まるわけですよ。新伍さんのひとつの生き残るための作戦としてね、軽い感じと女性のネタ。

(吉田豪)はいはい。チョメチョメトーク系のね。

(杉作J太郎)それを入れてきたんじゃないか? とは思いますけどね。

(吉田豪)それがテレビの司会者として成功する道にもつながっていくと。

(杉作J太郎)そうですね。女性相手にね、いやらしい話をたくさん生放送でしていくわけなんですが、これもね、僕は音源をいくつか当時のを持っているんですけどね。聞くとね、かなりの内容のことを生放送でしゃべっているんですよ。潮が吹くとかね。直接的なセックスの話をずいぶんするんだけど、それがね、そんなにいやらしく聞こえないんですよ。なぜかと言うとね、ところどころに今度は逆なんですよ。時代劇で会得した古い感じのしゃべり方を途中途中で渋く挟み込んでいくわけですよ。すると、ただのエロい人には聞こえないわけですよ。

(吉田豪)そういう時は軽さでは押さないっていうことですね。

(杉作J太郎)若干の重さを出してくるわけですよ。「君たちは文化がわかっていないね」みたいな。

(吉田豪)ああ、はいはいはい。ありますね(笑)。

(杉作J太郎)それが入ってくるわけですよ。だからいままでにたどってきた道を全部、捨てないまま上手く使いながら、常に新しい世界を作ってきた。それが僕は山城新伍さんだと思うんですけどね。

(吉田豪)あの、勝新太郎&若山富三郎兄弟について書いた『おこりんぼさびしんぼ』っていう素晴らしい本があって。僕が文庫化に協力とかもしたんですけども。

『おこりんぼさびしんぼ』


おこりんぼさびしんぼ

(杉作J太郎)うんうん。

(吉田豪)あれがだから、この兄弟がだんだん現代と合わなくなっていく寂しさについて書いた本だったんですけど。それを書いた山城さんもだんだん現代と合わなくなっていってっていう……。

(杉作J太郎)うーん、本当ですね。うーん。

(吉田豪)ねえ。ちょっといろいろ寂しい気がしましたね。

(杉作J太郎)うーん。昭和という時代は光り輝いていたけど、その光り輝かせていたけど、気がついたら周りが別の光で満ちてきていたんだと思います。それは。それと、なんか光り方も変わってくるし、活動の仕方も変わってくるしっていうことでね。スターがゆえの寂しさは、スターだった方にはあると思いますね。

(吉田豪)うんうん。

(杉作J太郎)スターじゃなければね、時代時代に合わせていけばいいんだけど。やはりスターは、自分から時代に合わせていくわけにはいきませんからね。うーん。だから晩年、梅宮さんにも会わなかったっていう話じゃないですか。あんだけ仲が良くてね。だって、みなさんそうですよね。美空(ひばり)さんなんかも最後は寂しかった。みんなに囲まれて、みんなに祝福されていなくなるっていうことはスターの場合、逆にないんじゃないですかね。

(吉田豪)ただ新伍さんね、誰とも会わなくなった頃も川上麻衣子とだけは会っていたのがちょっとね、その女好き感が残っていて。「いいぞ!」と思いましたけどね(笑)。

(杉作J太郎)(笑)

(吉田豪)「ピンポイントでそこか!」っていう(笑)。はい。そんな感じで1曲、聞いてもらいますかね。Jさん、曲紹介をお願いします。

(杉作J太郎)はい。山城新伍さんの監督作品『せんせい』の主題歌です。上田正樹さんで『望郷』。

<書き起こしおわり>
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吉田豪 前田日明との対談イベントを語る

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吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でロフトプラスワンのイベントで前田日明さんと対談した際の模様について話していました。

(玉袋筋太郎)豪ちゃん、忙しいね。

(吉田豪)毎日イベントやってますね。

(玉袋筋太郎)毎日イベント(笑)。

(吉田豪)5月3日なんて3本連続ですよ(笑)。

(安東弘樹)3本!?

(吉田豪)昼、夕方、夜っていう。しかも、その1本目が前田日明っていうね。

(玉袋筋太郎)これなんだよ! それ、聞かせろ、早く。前田!


(吉田豪)面白かったですよ! 僕、10年ぐらい会っていなかったんですよ。とある誤解で怒らせて。深夜2時ぐらいに怒って電話がかかってきて。それっきり、1回パーティーで「すいませんでした!」って謝ったきりだったんですよ。

(玉袋筋太郎)あれ、豪ちゃんからオファーしたわけ?

(吉田豪)オファーしましたよ。

(玉袋筋太郎)で、快諾?

(吉田豪)まあ、快諾でしたね。控室の段階ぐらいから、なぜか僕のいろんな相談に親身にのってくれる感じになって。「あのね、芸能事務所に誘われているんだったらね、タイタンに入った方がいいよ」って(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)「なんで前田日明のアドバイスで僕がタイタン入りを!?」みたいな(笑)。

(玉袋筋太郎)タイタン入りか、おい! オフィス北野もほしいよ!

(吉田豪)「早く結婚した方がいいよ」とかね、ずーっといろんなアドバイスをされるっていう。

(玉袋筋太郎)いや、それでね、いちばんヒリヒリするさ、『1984年のUWF』を、豪ちゃんがそれを渡したっていうね。

(吉田豪)読まないで怒ってらっしゃるから、「いい本だと思うので、読んでください!」っつってね。

前田日明に『1984年のUWF』を渡す


(玉袋筋太郎)そうなんだよね。「U系のライターだろ?」って柳澤(健)さんのことを言っちゃっているからさ。

(吉田豪)「修斗系」ですね。

(玉袋筋太郎)そう。修斗系。

(吉田豪)むしろ女子プロ系ですけど(笑)。

(玉袋筋太郎)修斗系って言ってるんだけど、読んでねえんだ。

(吉田豪)いや、でも最高でしたよ。もう60才近いじゃないですか。60才近い人が、あんなに楽しそうにチンコの話ばっかりするんですよ(笑)。どうしようもない話で本当に大喜びしている感じで。

(安東・玉袋)(笑)

(吉田豪)新ネタ多数でしたね。掘られていない話がまだまだありますよ。

(玉袋筋太郎)あるんだ!

(吉田豪)1個だけ出すと、新日本プロレスのイタズラの伝統ってあるじゃないですか。

(玉袋筋太郎)あるあるある。

新日本プロレスのイタズラの伝統

(吉田豪)僕らの大好きな話がリアルお笑いウルトラクイズっていう。人間性クイズっていうのがあったんですけど、あれみたいに、猪木さんと……まあ坂口(征二)さんと山本小鉄さんがすごい仲悪かったんですよ。これ、なんでかっていうと、猪木さんを取り合っての三角関係だからっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)「プロレスっていうのはデビューするためにはかならず、先輩にやられなきゃいけない」っていう罠を仕掛けてから1ヶ月ぐらい、ずーっとやっていくんですよ。つまり、ふと見ると藤原組長とドン荒川さんが裸で抱き合っていたりとか。メシ食っている時も小鉄さんが猪木さんの太ももをずっと撫でていたりとか。ずーっとそうやって罠を仕掛けていって、「さあ、誰を選ぶ?」って言われて「組長でお願いします」って言ったのが前田さんで。

(安東弘樹)おおーっ!

(吉田豪)それがずっと代々やられていて。高田さんの時は「前田さんでお願いします」って言ったという伝説があって。その後も続いていて。宮戸優光にも仕掛けたっていう話が……(笑)。UWFの宮戸優光さんっていう方がいたんですけど、その人に対してずーっとその話をして。無理やり前田さんが自分のチンコを触らせて。「やめてください! 僕はチンコとか大嫌いなんですっ!」「いいから、触るんだよ」「やめてください! チンコとか、嫌いです!」っていうのをやっていたという(笑)。

(玉袋筋太郎)子供だよ(笑)。

(吉田豪)本当に。本人も言ってましたよ。僕、当時の新日本とかって「終わらない修学旅行感が最高だ」って言っているんですけど、ご本人も言ってましたよ。「修学旅行だった」って(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)こどもの日にぴったりの話題ですね。

(吉田豪)いつまでも子供だった人たちの、その子供感あふれる話をずっと聞いてました。

(安東弘樹)なるほど。

(玉袋筋太郎)自分が「ことな(子供+大人)」じゃねえかっていうね(笑)。

(吉田豪)いい意味ですけどね。悪口じゃなく。

(玉袋筋太郎)そうそうそう(笑)。いやー、面白い。

(吉田豪)最高でした!

<書き起こしおわり>

吉田豪 田口トモロヲを語る

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吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で俳優・田口トモロヲさんについて話していました。



(安東弘樹)はい。このコーナーでは豪さんがこれまでインタビューしてきた一筋縄ではいかない有名人の様々なその筋を話していただきます。今日、豪さんに紹介していただくのが、俳優・ナレーターの田口トモロヲさん。

(吉田豪)はい。

(安東弘樹)ではまず、田口トモロヲさんのあらすじとその筋をご紹介します。1957年生まれ、東京都出身。80年代はパンクバンド ばちかぶり・ガガーリンのボーカリストとして活躍。俳優としては1982年の『俗物図鑑』で映画デビュー。塚本晋也監督の『鉄男』で注目されると、今村昌平監督の『うなぎ』、大島渚監督の『御法度』など多数の作品に出演します。俳優以外にもNHKの『プロジェクトX』のナレーターを務めるなど、ナレーターとしても活躍。みうらじゅん原作による映画『アイデン&ティティ』、『色即ぜねれいしょん』の2作では監督も務めました。日本映画に欠かせないバイプレーヤー、それが田口トモロヲさんです。

(玉袋筋太郎)うん。

(安東弘樹)そして、吉田豪さんの取材による田口トモロヲさんのその筋は……その1、とりあえず自分を消す。役者としての基礎の筋。その2、映画館がなかったら犯罪者? の筋。その3、パンクから俳優へ。天才じゃない。ガンジーで行こうの筋。その4、ロリコン漫画ブームで挫折の筋。その5、テレビの死体と映画の死体、どっちやりたい? の筋。その6、チュッ! みうらじゅんはミラクルな友人の筋。その7、素行が悪くてもプロジェクトXの筋。以上、7本の筋です。

(玉袋筋太郎)ねえ。濃いねえ。

(安東弘樹)玉さんはいままで絡み、ありますか?

(玉袋筋太郎)田口さんはないですよ。

(安東弘樹)あ、意外ですけど。

(吉田豪)そうなんですよ。僕も実はこの取材をするまで……っていうか、この取材っていうのがそもそも最近のネタじゃないんですよ。実は。最近のは、僕は全女のボブ矢沢レフェリーとか、あまりポピュラーじゃない人を取材していて(笑)。内容的には面白いんですけど、ラジオにはあまり向かないので。2009年に『POPEYE』で取材した田口トモロヲさんのインタビューを。

(安東弘樹)8年前か。

2009年のインタビュー

(吉田豪)ラジオでは話してないので、これを掘ってきたんですけど。田口さん、僕は実は世界が近いんですけど、この時まで会ったことがなくて。この時に結構仲良くなって、「飲みましょう!」って言われてそれっきりまた会っていないっていう、そういう関係で。

(玉袋筋太郎)そういう人なのかな? 距離感として。

(吉田豪)(笑)。なんですが、まあすごい面白かったんでぜひこの話をしたいという感じで。これが当時、ちょうど田口トモロヲさんがみうらじゅんさんの映画『色即ぜねれいしょん』を監督した頃にインタビューしたんです。というわけで、まずはこの話から始まっていくんですけど。その主演の渡辺大知くんという、黒猫チェルシーってバンドのボーカルで、日本アカデミー賞の新人俳優賞をとっているんですけど。この人の話で。この人、あれなんですよね。田口さんが映画の会見とかで「本物の童貞だ」ってバラしちゃったんですよ。主演の彼を。

(安東弘樹)渡辺くんが。はい。

(吉田豪)で、その渡辺くんに「ちょっと、バンドのメンバーに知られちゃったんで、恥ずかしいので……」って注意されて。「これはかわいそうだったな」と思って自粛するようにしていたらしいんですよ。ところが今度は、マスコミ向けの試写の時に今度はリリーさんがバラして。リリーさんがバラしたからしょうがないってことで、みんな解禁する感じで。僕もだから、この渡辺大知さんは会ったことがないんですけど、リリーさんとかみうらさんから、いかに本物の童貞でヤバいやつかっていうことを聞かされて(笑)。

(安東・玉袋)(笑)

(吉田豪)「ピュアでいいやつなんだよ! かわいいんだよ!」って。

(安東弘樹)まあピュアなね。

(吉田豪)なかなかいまね、映画の主演で童貞をバラされ続けるっていうこと、ないじゃないですか(笑)。で、しかも聞いたらキスシーンにもう悩んでいたらしいんですよ。というのも、それがファーストキスだったっていう。

(玉袋筋太郎)ええっ? 奥手だなー!

(吉田豪)そう。で、彼のキスのポイントは「本当に好きでもない人と、たとえ映画とはいえしてもいいのか?」という苦悩で。「それを聞いたら、なんていいやつなんだと思った」ということで。

(玉袋筋太郎)おおーっ! いいですよ。いい話だ。ピュア、ピュア。

(吉田豪)「僕の頃は、隙さえあればやりたいっていう世代でしたから」って言っているんですけど。でも、田口さんの話を掘ってみると、実はそんなギラギラした青春を送ったわけでもなくて。都内で転校を繰り返していたので、転校をするたびにいじめられたりしていたと。で、その中でサバイブしていくことがメインだったので、青春を謳歌する的なことは二の次になって。転校生ってやっぱり女子の注目度が高いから、それが男子にとっては気に入らないんでジェラシーの対象になると。で、何者であろうと最初はいじっていじめるというのがあったので、とりあえず自分を消すという作業を始めたと。

(玉袋筋太郎)おおーっ!

(吉田豪)「それがその頃に覚えた芸風で、それがいま思うとプラスになっている。出すべき時には出すけど、あとは普通に目立たなくする。変に個性は出さないでおく。それが役者としての基礎になった」という。

(玉袋筋太郎)なるほど!

(安東弘樹)そうか。そこから役に入っていけばいいわけですね。

(吉田豪)で、さらに田口さんのチームに1人、おとなしいのにキレると泣きながら後ろから三角定規で刺すやつがいて。そういう危険な匂いというか、「あいつ、おとなしいけどいじるとヤバいぞ」っていう、そっちタイプにも足を突っ込むことにしたと。で、そこからブレてないんです。要は、初期に演じた役は全部こうなんですよね。基本、おとなしいけどキレたら何をするかわからないっていう。

(安東弘樹)ああー! イメージ、そうだ。

(吉田豪)そうなんですよ。それができたという。

(安東弘樹)その流れか。映画館がなかったら、犯罪者?

(吉田豪)まあ、「そんな学生生活だったんで、とにかく学校をサボって映画館に通い詰めるようになった。中学、高校生の頃は150円とか300円ぐらいで見れる名画座があったんで、時間を潰すとなると喫茶店か映画館しかなかった。当時はゲーセンとかネットカフェがある時代じゃないから。映画は2、3本立てだからあっという間に1日が過ぎる。だから映画館があったから救われた」って言っていたんで、「なかったら、どうですか?」って聞いたら、「犯罪者の側に行っていたかもしれないです」って言っていて(笑)。

(安東・玉袋)(笑)

(吉田豪)「だから、とにかく映画が教科書だった」って言っていたんですけど、まあ当時名画座でかかるような映画って絶対に間違った教科書なんですよ(笑)。

(安東弘樹)教科書っぽくない映画ですね(笑)。

(玉袋筋太郎)そうだね。

(吉田豪)で、ご本人も言っていました。「ちょっとトゥーマッチな、過剰な思想の入って芸術的すぎる教科書で学んだんで」って。「それを刷り込まれると、たぶん人生で道は見誤りますよね?」って言ったら、「見事に見誤って。こうやって、なんとか食べているから、まあ人生に正解はないですけど。人様に迷惑をかけずに自立さえしていければ……」っていう感じで。

(玉袋筋太郎)いや、いいよね。人様に迷惑をかけないっていうことは。

(安東弘樹)いや、なくてはならない存在ですもんね。いま映画界でね。

(吉田豪)まあ、この流れで劇団とかに入ったりするようになったりとかって流れなんですけど。

(玉袋筋太郎)でもパンクから俳優だもんね。

(吉田豪)そうなんですね。

(安東弘樹)もともとパンクなんだ。

(吉田豪)まあ正確には、劇団からパンクにまずなるんですけどね。アングラな田口さんがパンクバンドをやるきっかけっていうのが、ちょうど田口さんの世代でも前衛的な音楽をやっている人たちがちょうどパンクの影響でパンク的な思想の音楽をやるような流れがあったんで、その中に入っていって。「あの頃はいい時代だったと言い切れますね」って言っていて。「懐古じゃなく、自分たちで時代を変えられるんだっていう幻想を持てる時代だったので。大きなシステムから脱却して、自分たちで好きな作品を発表できて、希望に満ちていた」って言う。

(安東弘樹)うーん!

(吉田豪)そうなんですよ。聞いてみると、トモロヲさんって結構本気で変革とか革命とかを考えていたタイプなんですよ。

(玉袋筋太郎)へー! 本気なんだ。

(吉田豪)本気だった側なんですよ。

(安東弘樹)存在を消すから、そっちで本気になったんですね。

(吉田豪)そうなんですよ。「本気で無血革命をしようとしていた」っていう(笑)。「本気でしたね、いま思うと。完璧に挫折しましたけど」っていう。

(安東弘樹)でもいいな、そういう本気の思いってね。

(吉田豪)「大きな流通のシステムじゃなくて、もっと自分たちをメインにして、中間搾取されない流通とか作品だったりを作りたかった。純粋に自分たちが聞きたいもの、それで見たり聞いたりする人たちが純粋に求めているものを追求した」と。で、それでやったのがばちかぶりで、「うんこ食べたら40万円」とか歌っていたっていう(笑)。

ばちかぶり『産業』



(玉袋筋太郎)ああ、ねえ。そういうイメージあるんだよな。

(吉田豪)で、「革命を起こせないって気づいたのはいつぐらいだったんですか?」って聞いたら、JAGATARAのアケミさんっていうボーカリストがいて。で、田口さんは日本だとJAGATARAが大好きで。アケミさんっていうのは90年に亡くなったんですよ。それでひとつの時代が終わったと思って、田口さんもばちかぶりでメジャーデビューして。「アケミさんの存在は自分の中でとにかく大きくて。お前は自分のロックをしているか?って常に自分を問い続けた人で」っていう。

(玉袋筋太郎)そうだね。やっぱ、言うよね。

(吉田豪)まあ、音楽的にもばちかぶりがどんどんJAGATARA寄りになっていくんですけど。その時ってちょうど田口さんってバンドブームだったんですよ。90年ぐらいって。

(安東弘樹)そうでしたね。

(吉田豪)要するに、事務所に騙されて搾取されていた側なんですよね。

(安東・玉袋)(笑)

(吉田豪)そういうのもあったりとかで、もう完全に気持ち的には転向って言ってましたね。転向して、プロの俳優になろうと思ったっていう。

(安東弘樹)そうか。ここで俳優なんですね。

(吉田豪)そうなんですよ。「それまでは、他の職業を持ちつつ、バンドをやったり演劇をやったりとか考えていたけど。そして、それまでそういうことをやってきた人間の負け惜しみだとも思うけど、こんな狂った世の中にはどうせ正当性なんかないんだから、自分も狂った方がいいっていう考え方だった。僕の頃っていうのは本当に『テレビを見てるとバカになる』って言われていたような時代だったのが、いまは真逆で。ここまで経済メインな世の中になるのかと。そこに微妙な社会主義をブレンドされてもいて、そういう意味では日本は才能のない人たちにとってグレーゾーンで生きていきやすいのかもしれないですけどね。僕も含めて」って。

(安東弘樹)これは深いよ! これ、モロに的を射ているというか。

(吉田豪)田口さんは本当に、「自分は平凡で普通」っていう考えなんですよ。「基本、人生っていうのは自分がいかに天才じゃなかったかっていうこととの戦い」とも言っていて。「若い時は自分のことを天才だと思っていたけど、映画の世界とかに入ると才能のなさがわかる。すごい人はいくらでもいる。そういう意味では、自分は出会いがよかったっていうことと、コツコツやっていくタイプだった。子供の時や20代の時は世界が両手を広げて受け入れてくれるような幻想を持っているけど、実はそうじゃない。『お前が世界に合わせろ』っていうことから社会参加が始まるんで。世界には選ばれた人がいて、そういう人たちに打ちのめされながら、自分のできることをやっていくしかない」っていう。

(玉袋筋太郎)あらららら。

(吉田豪)深い話をずっとしていて。革命に挫折した人ならではの。

(安東弘樹)でも、うなずけれう内容ばっかりです。

(吉田豪)ですね。安東さんはすごいうなずきそうです(笑)。そっち側の人じゃないですか(笑)。

(安東弘樹)いやいや、ものすごくうなずきます。これは。

(玉袋筋太郎)いや、その天才じゃなく、ガンジーっていうね。

(吉田豪)「基本的には戦わないことが正解。最初から無抵抗で、天才じゃないガンジーで行こう。特に50をすぎると人生は競争じゃないっていう形でやっていきたい」ということで。

(安東弘樹)ああー。当時ちょうど50才を超えたばかりぐらいですね。

(玉袋筋太郎)うーん。身の丈だよ、身の丈。

(安東弘樹)で、その4がね、ロリコン漫画ブームで挫折っていう。これは?

(吉田豪)ねえ。いろんな方向で才能があった人で。80年代前半に本名の田口智朗名義で官能漫画家、エロ劇画家としても活動していて。

(玉袋筋太郎)へー! これは知らなかった!

エロ劇画家としての活動

(吉田豪)パンクなテイストをエロの世界に持ち込んでいて。一部で評判だったんですよ。で、「単行本を出したのに、漫画を続けたいとは思わなかったんですか?」って聞いたら、「当時は三流エロ劇画ブームで面白かったから、自分も参入したいと思ってやったけど、それが時代がチェンジして。自分が描いていた頃はとりあえずエッチであれば内容は好きに描かせてくれた。社会の三面記事的なことをテーマにして深いコトッをやっても、『もっとやってください』とか言われたのが、ロリコン漫画ブームによってそういうのが全く売れなくなって、また挫折」っていう。

(安東弘樹)そうかー!

(吉田豪)挫折を繰り返した人なんですよ。

(玉袋筋太郎)ああ、ロリコン漫画に。

(吉田豪)ありましたね。80年代半ば。

(安東弘樹)時代のチェンジに翻弄されたんですね。ずっと。

(吉田豪)ちなみに本マニアでもあって。25、6才の頃は基本的に漫画で生活していて。で、バンドと演劇に入れあげて。で、漫画でも挫折して収入源がなくなったんで、1回実家に避難したらしいんですよ。家賃が払えないので。

(玉袋筋太郎)恥ずかしいよ、これ。恥ずかしい。

(吉田豪)そこに膨大な数の本を持っていって置いていたら、今度は実家の2階が陥没しそうになって。本のマニアだから同じ本を3冊とか買っていたんですよ。そしたら、実家の2階が重さで崩れてきて。で、お父さんが保管用のプレハブを建ててくれて。まあ、ものすごい甘えていたっていう(笑)。

(安東・玉袋)(笑)

(安東弘樹)パンクをやっていた人じゃないですよ。

(玉袋筋太郎)そうだよ。パンクじゃないよね。

(吉田豪)それが、つまりステージで炊飯器にウンコしてたりとかで、いちばん暴れていた頃なんですよ(笑)。

(安東弘樹)実家だったんすか(笑)。

(吉田豪)そうそうそう(笑)。

(安東弘樹)プレハブを建ててもらってやっていたんですね(笑)。

(玉袋筋太郎)帰り道とかさ、つけられたら恥ずかしいよね(笑)。「実家だよ……」みたいな。

(吉田豪)「実家だよ……お父さんのプレハブじゃねえか!」みたいな(笑)。

(玉袋筋太郎)でもまあ、俳優になっていくんだよね。これ。

(吉田豪)そうですね。俳優というか、テレビの仕事とかも。最初はまず、テレビがあったんですよね。

(安東弘樹)テレビの死体と映画の死体、どっちやりたい?っていう。これは……?

(吉田豪)そう。「『この仕事で食べていこう』って思ったきっかけは『今夜は最高!』の末期のレギュラーになったことですか?」って聞いたら……まあ、実際にそうだったらしいんですけど。実はひっそりやっているんですよね。こういうのを。ワハハ本舗の公演に出た時に、それを見に来た構成作家の高平哲郎さんから「『今夜は最高!』に出てみないか?」って誘われて。ところが、「『今夜は最高!』は高平さんには申し訳ないんですけど、相当キツかった」と。

(玉袋筋太郎)なんでだろう?

(吉田豪)「現場で話す人も、誰もいないし。タモリさんも普段はおとなしい、話さない人なんで。みんなひとつの部屋でワイワイガヤガヤやっている中、1人だけポツーンと誰ともコミュニケーションを取ることもなく。それがキツかった」って。

(安東弘樹)そっちか。キツいのは。

(玉袋筋太郎)最高じゃなかったっていう。

(吉田豪)全然(笑)。「歴史のある番組だったんだけど、半年で視聴率が落ちて。『あと何ヶ月で終わる』って聞いた時には、ジャンプしながら帰りました」っていう。

(安東弘樹)(笑)

(吉田豪)「ノイローゼになる一歩手前ぐらいで。そこからしばらく迷走が続いて。で、バンドブームで騙されて、事務所に『なんでもやってみた方がいいよ』って言われて『そうだな』と思って、リポーターとかお笑い番組とかやったんだけど、やっぱりなじめなくて。そんな時に映画に出会った。これだったら自分に合っていると思って。『テレビの死体と映画の死体、どっちやりたい?』って言われたら『映画!』って即答」という。

(玉袋筋太郎)おおーっ!

(吉田豪)ところが、映画はこの前から実は出てはいるんですね。公式のプロフィールから外れているんですけど、初の主演はホモ映画なんですよ。

(安東弘樹)はじめての主演(笑)。

(吉田豪)そう。太田竜さんっていう政治運動家の人が脚本を書いて、伝説のオカマの東郷健さんプロデュースの『THE AIDS』っていう、エイズを世界で始めて主題にした映画。

(玉袋筋太郎)おお、雑民だな。雑民。

(吉田豪)雑民党です。東郷健さん、政見放送で有名な。僕もインタビューしています。素晴らしい人ですね。亡くなりましたけども。そこに神代辰巳監督の助監督をやっていた人が田口さんのバンドとアングラ芝居を見に来て「出ませんか?」と誘ってくれたと。で、カンヌ映画祭に持っていくっていう話で、いろんなところで上映しようとしていたのが、ちょうどエイズが社会的な問題になってきた頃なんで、とにかく上映中止になっちゃって。で、東郷健さんがかわいがっていたゲイの人も出ていたんですけど、映画が終わった後に自殺しちゃったらしくて、東郷さんも映画を封印するっていうことになったりとかで。

(安東弘樹)ああー。

(吉田豪)だから、そういうこともいろいろあったんで、クレジットから消していたら、僕は東郷さんを取材したんですよ。そしたら、「最近この主演の田口トモロヲっていうのが売れているらしくて。でもなんかね、クレジットから外しているらしいから、どんどん上映会をやろうと思ってるのよ」って言っていて。当時、東郷さんがやっていたゲイバーで普通に上映会をやっていたんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)ああ、そうなんだ。

(吉田豪)そしたら田口さんが「へー! 僕も見たい!」って言っていて。全然、田口さんは恥ずかしがって消していたとかそういうことじゃなくて。聞けば答えるしっていう。ただの誤解だったっていうね。

(玉袋筋太郎)そう。こういうところから出てくるんだよね。2丁目から文化が発信される! みたいなね。

(吉田豪)名前出せない人、いっぱいいますもんね。って書かない!(笑)。

(一同)(笑)

(安東弘樹)筆談、筆談(笑)。

(玉袋筋太郎)そう。その人が共演しているわけだからね。まあいいや、すいません。ラジオで筆談しちゃって。

(安東弘樹)すいません。私だけすごい納得……ああっ、ええっ! なるほどね。

(玉袋筋太郎)さあ、そしてその6ですね。

(安東弘樹)みうらじゅんはミラクルな友人。

ミラクルな友人 みうらじゅん

(吉田豪)はい。みうらさん原作で2本続けて田口さんが監督をやった。二人の仲について聞くと、「みうらさんとは50才を過ぎて、お互いに褒め合いだ。誰も褒めてくれない。ちょうどこの時期、みうらさんも辛いご経験をちょっとされていたので、友達としてお互いこれからは介護し合おうと。だから、僕の映画も『本当にいい』と褒めてくださるし」っていう感じで。いい関係なんですよね。まあ、ブロンソンズやったりとか、仲良しで。

(玉袋筋太郎)そうだよ。うん。

(吉田豪)ただ、音楽的には全く合わないはずなんですよ。フォークとパンクっていう。接点ゼロなはずで。80年代とか(笑)。

(玉袋筋太郎)たしかに。

(吉田豪)で、「知り合いがやっているゴールデン街のお店で昔話をしていた時も帰り際にみうらさんがポツンと、田口さんが過ごした20代のことを『なんにもかぶっていないな』って言っていたのが印象的で」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)それでも友情っていうのは芽生えるもんなんだね。

(吉田豪)「チャールズ・ブロンソンとかブルース・リーとか子供の頃の接点はあるけど、その後は何もないのに。だから、ミラクルな友人関係かもしれない」と。で、「そういう関係だと、当然みうらさんとはキスしたこと、ありますよね?」って聞いたら、「ああ、もちろん。女だったらヤッてるね。付き合っているでしょう」って言われて。「当然、じゃあキャバクラも行ってますね?」って言ったら、「キャバクラはみうらさんに教えていただいたんですけど、『金を払って全く話の通じない女子たちにどこまで話を転がせるか?っていう修行の場なんだ』という話で。そうやって面白がるしかない文化系の悲しみということで、僕もちょっと修行しました」っていう。

(玉袋筋太郎)たしかに。

(吉田豪)で、「どこまでが有効か?っていうと、やっぱりテレビの話題なんですね。で、みうらさんが発見したのは、その当時は大槻ケンヂがギリギリだった」と。当然、田口さんなんかわかるわけもないっていう(笑)。みうらさんも当時はまだ届いていなかったっていう。

(玉袋筋太郎)ああーっ! 感じるねえ。

(吉田豪)感じますよね(笑)。

(玉袋筋太郎)だけどやっぱこの、素行が悪くてもプロジェクトXの筋。

(安東弘樹)ここにつながってくるわけですね。プロジェクトXですよ。いま、若い人の田口トモロヲさんのイメージは完全にプロジェクトX。

(玉袋筋太郎)それかベランダでね、なんか観葉植物をやっている人とかね。

(安東弘樹)っていうぐらい、まあ代表作になりましたよね。

(吉田豪)あれで有名になっても、声で気づかれることはないっていう(笑)。その当時も「全然違う」って言われていて。「プロジェクトXのしゃべり方とは普段は違う。声だけブレイクしたっていうのは本当に自分としてはありがたい。それで目立つわけでもなく……」っていう。

(安東弘樹)うーん。

(吉田豪)「ただ、周囲の反応はすごい変わって。本当に良い人って思われるようになった。プロジェクトXに出ている人なんだから……」っていう(笑)。しかも、NHKなんてスポンサーがいないから、こういう人も抜擢できるだけなのに。スポンサーがいないから、素行の悪い人も使ってくれる。スポンサーがいると、いちいち調べられるらしいじゃないですか、どうやら。だから微妙ですけど。だからまあ、あんまり芸能界的なことには付かず離れずでいたいっていう感じですね」っていう感じで(笑)。

(安東弘樹)いいなー! そのスタンス、いいなー!

(吉田豪)ちなみにこんな感じでいい話をいろいろしてくれたんですけど。このインタビューの冒頭では、「今日は1万字インタビューなんですか! 人生でそんな語るようなことは何もないですよ!」って言っていたんですけど……いっぱいありますよっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)十分あるよ(笑)。

(吉田豪)控えめな方です。

(玉袋筋太郎)ねえ。プロジェクトXを見終えたような感じだね。うん。

(吉田豪)1人の人生を。

(玉袋筋太郎)そっかー。本当にそうだな。俺たちより10上?

(安東弘樹)ちょうど10上ですね。今年60才になられるっていうね。

(玉袋筋太郎)還暦なんだ。

(吉田豪)前田日明より上なんだっていう(笑)。

(安東弘樹)そこの比較なんですね(笑)。

吉田豪 前田日明との対談イベントを語る
吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でロフトプラスワンのイベントで前田日明さんと対談した際の模様について話していました。 (玉袋筋太郎)豪ちゃん、忙しいね。 (吉...

(玉袋筋太郎)前田さん、まだ60行ってねえか。

(吉田豪)行ってないんですよ。

(玉袋筋太郎)そうか。

(吉田豪)いま58とかじゃないですか。

(安東弘樹)もうずいぶん前から活躍されているから、あれですけど。いやー、プロジェクトXを見た感じですよ。今日は。本当に。

(玉袋筋太郎)よかったー。

(安東弘樹)以上ね、田口トモロヲさんの筋をいじりましたが。豪さんといえば、現在発売中の雑誌『クイック・ジャパン』でエビ中のメンバーにインタビュー。

(吉田豪)それもいろいろあった時期にいちばんデリケートな話を聞くという、もう僕史上最大に自分を出さない、すごい気を遣ったインタビューをしました。

(玉袋筋太郎)自分を出さないね。うん。

(安東弘樹)そして明日。5月6日、武道館でアイドルイベント『武道館アイドル博2017』。コメンテーターとして豪さんが出演。

(吉田豪)ついに僕、武道館デビューですよ。

(安東弘樹)武道館デビューじゃないですか!

(吉田豪)武道館アーティストですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)これ、たぶん知らない人に説明すると、「武道館でアイドルイベント」って書いてありますけど、誤解をちょっと生むんで言うと、武道館で物販するイベントです。これ、ただの(笑)。わかりやすく言うと、東京ドームの物産展みたいなやつです。それのトークコーナーです。だから、武道館のステージに立つんじゃなくて、武道館のどっかのちいさなブースに立つっていう感じです(笑)。わかりやすく言うと。

(安東弘樹)いろんな物販ブースがあって。

(吉田豪)アイドルの方々が物販をやっている中で、トークのブースがちいさいのがあって。そこにいろんなアイドルの方々が来る。恐ろしいのが、物販が買えると思って引き受けた仕事なんですよ。そしたら、僕、10時間話しっぱなしで物販に行けないらしいんですよ(笑)。

(安東弘樹)10時間!?

(吉田豪)10時間。

(安東弘樹)えっ、ずっとこのトークイベントやっているんですか?

(吉田豪)3部制なんで、1部、2部、3部の合間に30分の休みがあるっぽいんですけど。その30分の合間にトイレ行ったり、水飲んだり、食事したりできるけど。どうやらその合間は物販ないっぽいんですよ(笑)。

(安東弘樹)ええっ?

(玉袋筋太郎)豪ちゃん、芸能事務所に入った方がいいよ(笑)。

(吉田豪)わかりやすく言うと、百人組手なんですよ、本当に(笑)。知らないアイドルが次々来るのを、僕が立ち向かうっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)ちょっと!

(吉田豪)黒帯ください!っていう感じですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)あげるよ、本当!

(安東弘樹)一瞬うらやましいかなって思ったけど、それを聞くと大変ですね。

(吉田豪)本当に、正直何のデータもないというか。誰が来るかもわからないんですよ。台本で見ても。まだ。

(安東弘樹)たとえば、いま「どういうアイドルが出るんですか?」って聞こうと思ったんですけど、それもわからない?

(吉田豪)わかりやすく言うと、結構な地下の方が出るんですよ。トークのMCのサポートとかはメジャーとかで出ている方なんですけど、いわゆるゲストっていうのは僕がわかる人が1/3ぐらいな感じですね。

(安東弘樹)えっ、豪さんですら、わかるのが1/3?

(玉袋筋太郎)百人組手はね、水分とった方がいいよ。中村誠みたいになっちゃうから。ねえ。

(吉田豪)(笑)

(安東弘樹)30分でぜひ、水分をとってほしいですね。

(吉田豪)過酷な戦いが明日、行われます。

(安東弘樹)忙しいなー。

(吉田豪)朝10時からです(笑)。

(安東弘樹)これはフラッと行ける?

(吉田豪)全然余裕だと思いますよ。武道館なんで(笑)。

(安東弘樹)私が行こうと思ったら、フラッと行ける?

(吉田豪)全然全然。オペラグラスで僕のトークの模様を見るだけでも楽しめると思います(笑)。

(安東弘樹)オペラグラスで(笑)。

(玉袋筋太郎)「いたー! 吉田豪、みっけ!」みたいな。

(安東弘樹)ぜひ、みなさん、行ける方は明日、日本武道館でございます。さあ、吉田豪さん次回の登場は6月2日になります。今日はありがとうございました。

(玉袋筋太郎)どうもありがとうございました!

(吉田豪)はい!

<書き起こしおわり>

吉田豪 ジブリ新人スタッフ給与と日本アニメーター低賃金問題を語る

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吉田豪さんがMXテレビ『モーニングCROSS』に出演。スタジオジブリが新人アニメーターを募集する際に提示した給与が「安すぎでは?」と海外のネットユーザーから反応されている話から、日本のアニメーターの低賃金問題、アニメ業界の構造的な問題について話していました。

吉田豪 ジブリ新人スタッフ給与と日本アニメーター低賃金問題を語る

(堀潤)さあ、続いて豪さん、テーマの発表をお願いします。

(吉田豪)はい。

(堀潤)「ジブリの新人 給料安すぎる?」。

(宮瀬茉祐子)今月19日に宮﨑駿監督が引退を撤回し、長編アニメ映画を製作すると発表したスタジオジブリですが、この作品を製作するための新人スタッフを募集していることで話題を集めています。スタジオジブリによると、今回の募集は18才以上で性別・国籍は不問。給与は月額20万円以上といったもので、募集要項は海外の求人情報サイトにも紹介されていて、海外のネットユーザーの間では「給与が安すぎる」との反応が広がっています。

(堀潤)まあたしかにね、アニメ産業はなかなかね、厳しい……。

金銭的にはちゃんとしているスタジオジブリ

(吉田豪)あの、宮﨑さん的には結構誇らしげに出したと思うんですよ。これを。そしたら、海外とかだと「安すぎる」って叩かれるという。まあ、結構ジブリって金銭的にはちゃんとしているところで。アニメーターを正社員化して固定給にしたりとか。

(堀潤)やってらっしゃるんですね。

(吉田豪)やっていたんですね。過去に。まあ、でもそれがやっぱりやりきれなくなって、一時解散とかになって。どういうことか?っていうと、まあ基本、アニメーターの収入って異常に安いんですよね。

(堀潤)そうかー。どれぐらいですか?

(吉田豪)平均年収が111万円っていう。月収10万円を切っているんですね。(若手アニメーター20才~24才の平均年収。同世代の一般的な平均年収は248万円)。

日本のアニメーターの厳しい現実

(野田稔)厳しい……。

(堀潤)ううーん、会社員の世帯平均年収ってだいたい400万円前後ですから。それからしてみても、若いですけど、半分ですよね。

(吉田豪)そうですね。働く時間も異常に長いし。(アニメーター1ヶ月の作業時間:262.7時間 一般労働者:168.5時間)。で、ちょっと前に話題になったのがこういうのもあったらしいんですよね。はい。若手のアニメーターが収入、手取りが1477円だったっていう。

若手アニメーターの収入例 手取り1477円

(堀潤)へー。これはジブリではなくて?

(吉田豪)ジブリじゃなくて。若手のアニメーターの人です。

(堀潤)一般的にという。さらに過酷な勤務実態もツイッターで暴露という。「鉛筆・消しゴムの購入が個人購入」「祝日も仕事いただけて本当にありがとうございます。ありがとうございます」。これは皮肉?

(吉田豪)こんなような状態で。たしかに、あれなんですよ。僕ももともと小学校の時に、将来の夢で僕、「日本サンライズのアニメーター」って書いていたぐらいに……。

(堀潤)日本サンライズ?

(吉田豪)はい。ガンダムとかの。アニメーターになるつもりだったんですよ。で、中学の時に「いろんな仕事を調べよう」っていう授業で、東映動画のアニメーターの方の取材をしたんですよ。そしたら、中学生相手にいかにひどい会社なのか?っていうことをずっと言われて。

(堀潤)夢を聞きに行ったのに(笑)。

(吉田豪)「賃金が激安だし、政治的にもひどいものを作っている!」みたいな感じで。「だから、我々はストをやって……」みたいな話を中学生にずっとするんですよ。

(堀潤)組合の方だったんですね(笑)。

(吉田豪)そう。いや、東映って組合がすごい強くて。で、宮﨑さんも東映出身なんですよ。だから組合で戦っていた人なんで、自分の会社はちゃんとしようと思ってやったら、叩かれたっていうことですね。

(堀潤)でも逆に豪さん、そこで組合の闘士の方がそういう実態を語らなかったら、そのままずっと行っていた可能性も……。

(吉田豪)そうなんですよ。僕、月収が10万円だった可能性があるんですよ。

(堀潤)そうですよね。だから事前にそういうことをわからず、夢を搾取していくという構図が一部、いろんな業界にある。これが問題になっています。

(野田稔)やりがい搾取的なやつね。

(堀潤)そう。そうならないようにしないといけない。

宮﨑駿の手塚治虫批判

(吉田豪)で、宮﨑さんはこの、どうしてアニメが儲からないのか?っていう話はよくしていて。で、手塚治虫さんの批判をすごいするんですよ。手塚さんが虫プロっていう会社を作って、『鉄腕アトム』を最初に、日本ではじめてのテレビアニメシリーズを作った時に、とにかく激安な製作費で仕事を請けちゃったんですよね。

(堀潤)ああー、そうか。

(吉田豪)それからずっと続いていて。もともと儲かる状況じゃなかった。

(堀潤)そこにラインが作られちゃったんですね。

(吉田豪)そもそも『アトム』は手塚先生が他の仕事で稼いで、それで赤字を補填したりとか。なおかつ、グッズも売れたからペイできたもので。天才が死ぬほどがんばって、なおかつグッズが売れた状態でないとペイできないようなシステムから始まっちゃっているんですよ。

(堀潤)なるほど、そうか。海外はどうなんですかね。アメリカでもアメコミのDCとかマーベルとか、ああいった業界がありますけども。

(吉田豪)全然やっぱり違うみたいですね。日本が異常で。で、僕はかなりベテランのアニメ関係者の取材とかをすごいしたんですよ。で、『ガンダム』の富野由悠季監督とか、安彦良和さんとかを取材したんですけど、やっぱりあれだけ国民的な大ヒット作を作っても、経済的にはそんなに恵まれないんですよ。

吉田豪 富野由悠季インタビューを語る
吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。『機動戦士ガンダム』などの監督で知られる富野由悠季さんにインタビューした際の話をしていました。 (玉袋筋太郎)さあさあ、...

(堀潤)『機動戦士ガンダム』?

(吉田豪)「誰が儲かっているんだ?」っていう感じで。安彦さんなんて『宇宙戦艦ヤマト』にも関わって、『ガンダム』にも関わって。国民的なヒット2個に関わっているのに、やっぱり、それはだから著作権とかもらえるわけじゃないから。イラストを頼まれて描いたら、それでその分もらえたりするけどっていう。

吉田豪 安彦良和を語る
吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。『機動戦士ガンダム』のキャラデザインなどで知られる安彦良和さんについて話していました。 8月2日発売の徳間書店『キャラクターラン...

(堀潤)でもあんなにね、プラモデルやポスター……。

(吉田豪)関係ないですよね。

(堀潤)ああいうのは入ってこない?

(吉田豪)だから原画の料金が入るだけみたいなんで。

(堀潤)やっぱりだから、そういう風にきちんとお金が本当に大本のクリエイターの方に集まってくる仕組みを作らないと……。

(吉田豪)だから『ヤマト』の時は西崎義展さんっていう有名なプロデューサーがいて。その人だけがボロ儲けをするようなシステムだったんですね。

(堀潤)ああー。

(吉田豪)その人がクルーザーに乗ってキャビアを食べながら美女をはべらせて。で、薬物をやって……みたいな世界に行くわけじゃないですか。

(堀潤)そんな方だったんですか?

(吉田豪)そんな人だったんですよ(笑)。

(野田稔)だから中間搾取が多すぎるんだよね。日本とかはね。そういう構造からちゃんと変えて、本当に付加価値を出している人に正当に支払われなきゃダメだよ。先ほどね、中小企業の方で給料が上がって……っていう話もあるじゃないですか。あれもね、一部は通じるところがあるわけですよ。本当に働いている人のところにお金が行かないと。

(吉田豪)だけども、本当に作った人の元にはお金がちゃんといかない。会社だったりとか、たぶん広告代理店とかの方に行っちゃうシステムなんで。

(堀潤)しかも、それを行ったら干されてしまうとか。

(吉田豪)そうなんですよ。あんまり文句を言わないで続編とかに関わった方がお金にはなるんで。辛いんですよ。

(堀潤)どうすればいいですか?

(吉田豪)どうなんだろう? だから、普通に思うのは政府も「クールジャパン」とか言っているぐらいだったら、アニメとか特撮とかの製作会社は税金を優遇するとか、そうやってサポートするシステムを作らないと。

(堀潤)先細っちゃいますよね。

(吉田豪)そうですね。

(野田稔)下請けみたいなところがやっぱりネットなんかを上手く使って、本当に下流に出ていくっていうところの方がいいですよね。

(堀潤)そうですね。(ツイートを読む)「保育士とアニメーターの根底が似ている。それに見合った賃金を」ということで。いろんなところから悲鳴が聞こえてきます。ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

吉田豪 真夜中に前田日明から直電話がかかってきた話

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吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で前田日明さんから真夜中に突然直接電話がかかってきた件をトーク。その際の模様を玉袋筋太郎さんに話していました。


(玉袋筋太郎)その間、その後。先月ね、豪ちゃんが百人組手をやったんでしょう?

(吉田豪)百人組手もやりましたし。っていうか、その次のネタに行きましょうよ。これ。

(玉袋筋太郎)ああ、これね。『証言UWF(最後の真実)』だよ。

(吉田豪)まず、柳澤健さんの『1984年のUWF』という本があり、それに対する『証言UWF』という本があり。僕が今週出ているAERAで書評したんですよ。そしたら、数日前にですよ、突然前田日明さんから電話がありまして……(笑)。

(玉袋筋太郎)おおっ! なんだった? なんだった?

8年ぶりの直電話

(吉田豪)8年ぶりぐらいですよ。僕のところに直電なんて。8年前は僕、夜中に突然電話がかかってきて、怒られたやつですから(笑)。「完全にこれ、AERAの書評を読んで怒っているな」って。

(玉袋筋太郎)怒っているか。おう(笑)。

(吉田豪)「どうしよう?」と思って、勇気を出して電話をかけ直したんですよ。そしたら、「AERA、読んだよ」が始まって。「ヤバい、ヤバい……」って思ったら、「ありがとう」って感じで。それは。

(玉袋・安東)ええっ!

(吉田豪)「それで、読んで思い出したことがある」って言って。柳澤健さんへの思い出し怒りでしたよ(笑)。

(玉袋筋太郎)ああ、そうなんだ(笑)。

(吉田豪)「よかった。僕じゃなかった!」っていう。

(安東弘樹)この書評に関しては大丈夫だったという?

(吉田豪)大丈夫でしたね。

(玉袋筋太郎)まだそのね、UWFっつーのは続くのかっていう。

(吉田豪)全然続きますよ。

(玉袋筋太郎)続くな。

(吉田豪)ちなみに流れで言いますと僕、この前に前田さんとイベントをやったじゃないですか。で、前田さんがその『1984年のUWF』を読まないで怒っていたから、「読んでください!」って渡して。で、それを読んだことで怒っているんですよ、また(笑)。

吉田豪 前田日明との対談イベントを語る
吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でロフトプラスワンのイベントで前田日明さんと対談した際の模様について話していました。 (玉袋筋太郎)豪ちゃん、忙しいね。 (吉...

(玉袋筋太郎)読んで怒っちゃったの?

(吉田豪)「なんだ、この本は!」っつって(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)。「俺の話が!」って。

(吉田豪)そうそう(笑)。

(玉袋筋太郎)なんだよなー!

(吉田豪)「3ページに1回ぐらい、怒るところあるんだよ、あれ」っつって(笑)。

(玉袋筋太郎)もうさ、この『証言UWF』もね、やっぱり俺、誰が勝者か?っつったら、いろんな選手のインタビューが載っているわけじゃん。前田さんとか、藤原組長、山崎一夫、船木、鈴木みのる、田村潔司、載っているけど……ここに出ていない高田延彦がいちばん勝ち組じゃねえかなと思って。

(吉田豪)そうですね。

(玉袋筋太郎)何も言ってねえんだもん。

(吉田豪)「UWFビジネスに絡まないでも僕はやっていけます」っていう。

(玉袋筋太郎)そうなんだよ。CMで「出てこいや!」ってやっているんだから。

(安東弘樹)たしかに、そうですよね。そうか。そういうもんか。

(玉袋筋太郎)もうこのね、『証言UWF』を読んでね、もうちょっとね、ゲップが出ちゃった。

(吉田豪)(笑)。そうですね。面白かったですよ、僕。

(玉袋筋太郎)面白かったよ。面白かったけど……。

(吉田豪)前田さんのフォローになるような発言も多かったし。

(玉袋筋太郎)あった。まあ、あったよな。鈴木みのるのね、答え方がいちばん楽でよかったよ。

(吉田豪)そうですね。まあ、「大人になれたかどうか」っていうのも見える感じで。

(玉袋筋太郎)そうそう。鈴木みのる、全然大人だったよ。

(吉田豪)超大人ですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)超大人だよね。あれだけ「コトナ(子供大人)だ」って言われたやつがさ、こんなに大人になるか!っていう。うん。俺、鈴木みのると会った時、本人に言ったもん。「俺はね、あなたぐらいね、人間の成長を見せてくれた人に会ったのは本当にうれしい。あんたぐらい成長した人はいないよ」って。

(吉田豪)だって、第二次UWFがおかしくなったのは絶対に鈴木さんのせいですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)あれ。道場でおかしくなったのも全部そうですよ。

(玉袋筋太郎)そうなんだよ。ねえ。まだまだ続くのかよ、UWFは。

(吉田豪)プロレスはやっぱりいくらでも掘れるから、面白いですね。

(玉袋筋太郎)掘れるねえ。

(吉田豪)新たな視点がどんどん出てくるし。

(玉袋筋太郎)そう。だから田村潔司に『KAMINOGE』でインタビューしてさ、すっげー面白え話をしてくれたんだけど、全部これ。カット。

(吉田豪)はいはい。「誰々が怒るから」とかね。

(玉袋筋太郎)そうなんだよ。いいだろう? 田村!っていうね。うん。

(吉田豪)前田日明は削らないですからね。あの人はむしろ書き足してくるタイプですから(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)悪口、追加っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)終わらねえよ(笑)。

(安東弘樹)まだまだUWF、続きそうでございます。

<書き起こしおわり>

吉田豪 SKE48 松井珠理奈とプロレスを語る

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吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でSKE48の松井珠理奈さんについてトーク。ドラマ『豆腐プロレス』をきっかけに急激にプロレスにハマった珠理奈さんにインタビューした際の模様を話していました。


(安東弘樹)さあ、このコーナーでは豪さんがこれまでインタビューしてきた一筋縄ではいかない有名人のさまざまなその筋の話を聞いていきます。今日、豪さんに紹介していただくのはSKE48、松井珠理奈さん。まずは松井珠理奈さんのあらすじとその筋をご紹介します。1997年、愛知県生まれ。

(玉袋筋太郎)最近じゃん。

(安東弘樹)最近です。もう僕、ずーっと前から活躍されているから、もうちょっと歳が上なのかと思ったらまだハタチなんですね。2008年にSKE48のオーディションに合格。11才でAKB48のシングル『大声ダイヤモンド』に選抜メンバーとして参加。2009年にはSKE48としてファーストシングル『強き者よ』をリリース。AKB選抜総選挙では2009年が19位。2010年10位。2011年14位。2012年9位。2013年6位。2014年4位。2015年5位。去年、2016年は自己最高の3位になりました。で、一昨日発表された今年の速報では2位という。来てますね。

(玉袋筋太郎)すごいね。

(安東弘樹)現在放送中の女子プロレスをテーマにしたテレビドラマ『豆腐プロレス』ではプロレス団体のスター選手、ハリウッドJURINAを演じている松井珠理奈さんでございます。そして、吉田豪さんの取材による松井珠理奈さんのその筋は……その1、プロレスにハマって半年。プロレス原体験の筋。その2、パーのみで勝ったじゃんけん大会。「目で殺す」の筋。その3、グループ内抗争。プロレスで学んだことの筋。その4、絶対に超えてやる。自分は負けてられないの筋。その5、伝説の対抗戦『サマーフェスティバル2010』の舞台裏の筋。その6、プロレスなら負けない。やりたい技だけやるの筋。その7、総選挙のスピーチもプロレスで。決めゼリフも考えているの筋。以上、今日は7本の筋です。

(吉田豪)すごいねえ。

(安東弘樹)松井さんね、忙しいんでしょうね。僕がやっているCSの『SKE48 ZERO POSITION』という番組、まだ一度もお会いしたことがないです。ちょっと、出られないのかな? 忙しすぎて。ということで、7本ありますよ。今日は、プロレス。

(玉袋筋太郎)プロレスにハマって半年。原体験の筋っていうね。

(安東弘樹)ドラマから始まっているんですよね。

プロレスにハマって半年

(吉田豪)そうなんですよ。いま放送中の『豆腐プロレス』の主演で、その勉強のために新日本の1.4ドームを見に行って一気にハマって。

(玉袋筋太郎)すごいね!

(吉田豪)それから、この前取材したら山ほどプロレスグッズを持ってきて。永田裕志のサイン入りTシャツを持ってきて、「私、アイドルも含めて生まれてはじめてサインをもらったのが永田さんなんです! 永田さんのサインに並んで、サインをもらって。ほらほら、見て見て!」みたいな。


(玉袋筋太郎)はー。敬礼しちゃうよ、思わず。うん。

(吉田豪)そう(笑)。すごいレベルのファンに。

(安東弘樹)いま、雑誌の写真で見ていますけども。すごい。

(吉田豪)で、新日本にハマる人は増えているんですけど、彼女が信用できるのはそこから流れてNOAHだの全日本だの、全部ちゃんと行くようになって。そこでグッズを買って。鈴木みのるさんの店に行ったりとか。


(玉袋筋太郎)ええっ!

(吉田豪)マメに回っているんですよ。

(安東弘樹)本物感、ただよってきた。

(吉田豪)本物ですよ。

(玉袋筋太郎)(キラー・カーンの居酒屋)カンちゃんは行ってねえの、カンちゃんは?


(吉田豪)カンちゃんはさすがに行ってないですね。この前やったプロレス総選挙っていう番組、あったじゃないですか。あれの順位に怒っていたりとか(笑)。すごい、いい感じのいいファンになっているんですよ。

(安東弘樹)あれ、怒っている人いっぱいいますね。

(吉田豪)「なんですか、あの順位!」って。

(玉袋筋太郎)あれ、まずMCに怒ってるから。俺は。「わかってねえだろ、お前!」なんて。まあいいや、そんなことはね。そうか。

(吉田豪)それぐらい、『豆腐プロレス』きっかけですごいことになっていて。

(玉袋筋太郎)すごいな。

(吉田豪)ちなみに僕、『豆腐プロレス』にはひとつ言いたいこともあるんですけど。これ、主題歌がAKBの『シュートサイン』っていう曲なんですけども。

AKB48『シュートサイン』



(玉袋筋太郎)『シュートサイン』。

(吉田豪)そういうタイトルの曲を主題歌にしながら、ドラマの中のプロレスが完全なガチとして描かれているんですよ。「シュートサイン」の存在しない世界として描かれていて。

(玉袋筋太郎)あら~。

(吉田豪)これ、たぶん秋元さんはもうちょっとこういうものが存在する深みのあるプロレス。ただのショーでもただの真剣勝負でもない、リアルなプロレスを描こうとしたんじゃないかと思うんですけど、大人の事情でそうじゃなくなっている。

(玉袋筋太郎)あらららら。ピストルの意味がないわけだな。

(吉田豪)ないんですよ。「なんなんだろう、この主題歌?」っていう話なんですよ(笑)。「プロレスはシュートですよ。なに言ってるんですか!」っていう(笑)。不思議なね。

(玉袋筋太郎)(笑)。いや、どういうあれだったの? 認識が。彼女がね、ハマるっちゅーのは。プロレスはやっぱさ、女の子ってなかなかね……。

(吉田豪)違うんですよ。まあ、ハマる前は「怖いのかな?」っていう感じで。お父さんが好きだったらしいんですよね。で、お父さんに技をかけられたりとかして。スリーパーとか四の字固めとかかけられていたんで、「男の人が見るもの」っていうイメージがあって。それプラス、「活動の妨げになるぐらいだったら趣味はいらない」って思っていたらしいんですよ。

(安東弘樹)自分がね。松井さんが。

(吉田豪)それがこの半年で急激にハマったのは、本当は趣味ってもともとなく、常にSKEのことを考えていて外の世界を見ることがなかった。ハマった大きな理由が、「自分の活動をしていく中で、自分のパフォーマンスを見てくれた人が『珠理奈ががんばっているんだったら明日もがんばろう!』って思ってほしいと思っていた。日々のパワーになったらいいなと。そしたら、プロレスを見たら私がそのパワーをもらえた。『どうやって選手がそのパワーを与えているんだろう?』っていうことに興味を持って、プロレスを見たらなにか学ぶことがあるかもしれない。自分が楽しいとか、それだけじゃなくて、活動する上ですごく自分のパワーになったり勉強になることがあるんじゃないか、深く知りたいなと思った」と。

(玉袋筋太郎)ああーっ! いいな、そういう見方でプロレスが見れるって。うらやましいわ。

(吉田豪)ポジティブな。でも、すっごいプロレスの学習の仕方をしているんですよ。話を聞いていると。

(玉袋筋太郎)いいねえ。そうそうそう。

(吉田豪)そうなんですよ。特に学んだのが棚橋選手という。対談もして。ファンサービスのすごさもすごいし。「チャンピオンっていうのは強いだけじゃなくて、ファンへのサービスもすごい。それを見た時に、アイドルとちょっとかぶるところがあるというか。棚橋さんの背中に学んだ」って言っているんですけど、僕らは「棚橋さんの背中」っていうと違うことを思い出すじゃないですか(笑)。

(玉袋筋太郎)そうなんだよね。違うことを思い出しちゃうんだよね(笑)。

(吉田豪)事件を思い出しちゃうっていう。

(玉袋筋太郎)事件、事件。

吉田豪 新日本プロレス棚橋弘至 女性トラブル発生当時を振り返る
プロインタビュアーの吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』で新日本プロレスの棚橋弘至さんの著書を紹介。2002年の女性トラブル発生時のエピソードを語っていました。 (...

(吉田豪)傷が……っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)出た! サムライTV!

(安東弘樹)そういう純粋な背中を見ている人もいるっていうことですね。

(玉袋筋太郎)そうそうそう。

(吉田豪)僕らとは違う背中を見ているという。

(玉袋筋太郎)違う背中を見ているんだよ。うん。

(吉田豪)でもその結果、「実はファンにもプロレスファンの人が多くて、『プロレスが好きになった』って言い出したら、『やっとしゃべれることが出来た。うれしい!』っていう感じでどんどんそういう人が増えた」と。

(安東弘樹)もともと松井珠理奈さんファンにもプロレスファンが多いと?

もともとプロレスヲタが多かった松井珠理奈ファン

(吉田豪)そうなんです。僕の周りの珠理奈ヲタも全員プヲタなんですよ。「やっとわかってくれた!」みたいな感じになっていて。

(玉袋筋太郎)ああ、そうなんだ。まあでも、プロレスとこの芸能界、芸能っていうのは根底ではつながっているもんだからさ。それはまあ、一緒なんだよね。だと思うよ。

(吉田豪)僕も「アイドルには近い」とはよく言っているんですよ。

(玉袋筋太郎)そうだよね。たしかにそうだよ。うん。

(吉田豪)で、そういうファンサービスの話で、この対談の時には僕が小学生の時にジャイアント馬場さんにサインを断られた話を出したりとかして。馬場さんが会場の外で準備体操をしていたんで「馬場さーん! サイン下さい!」って。1人だけだったんで。「おう!」って言ったんで、ずーっと待っていたのにずっと放置されて。なんでだろうと思ってもう1回言っても、「おう!」って言っていて。よく聞いたら、「NO!」って言っていたっていう(笑)。小学生に英語を使うっていう(笑)。「わかんねえ!」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)そこはたぶん馬場さん、相手が誰でも同じなんだろうな。

(吉田豪)みたいなファンサービスの話で盛り上がったりとか。

(玉袋筋太郎)俺もキム・ドクに「サインくれ!」っつったら無視だもんね。完全無視だね。キム・ドク。

(安東弘樹)それはある程度演出の部分もあったり?

(吉田豪)あります。上田馬之助さんにサインをもらおうと思ったら、しないで追いかけ回されましたもんね。その後に、マイティ井上とかがくれるんですよ。

(玉袋筋太郎)そうだよ。だから俺もブッチャーの血を色紙で取ったりとかしたわけだよ。そうだ。

(吉田豪)みんな言いますよ。サインをたのまれても色紙を破らなきゃいけない仕事っていうのがあるわけですよ。

(玉袋筋太郎)これね。通ずるな、通ずるぁ。

(安東弘樹)たしかに、いろいろあるな。共通。さあ、そしてパーのみで勝ったじゃんけん大会。これ、本当にパーだけで?

(吉田豪)そうなんですよね。まあ、やる側は実は意外と気づかないけど。ずっと通しで見ているわけじゃないんで。

(安東弘樹)まあ、そうですよね。

(吉田豪)冷静に見ているとわかるんですけどね。「ずっと僕もプロレスとアイドルは共通点が多いと思っていて。いちばんわかりやすいのは、世間からの偏見が多いことですよね」って話を振ったんですよ。

(玉袋筋太郎)出た!

(吉田豪)「そうですよね。だから選挙の時もじゃんけん大会の時も、やっぱり言われます」と。で、珠理奈さんは2013年の選抜じゃんけん大会でパーだけを出して優勝していると。その時、実は僕も話を聞きながら思い出したんですけど。僕、この時の八百長論に反論した記事を書いているんですよ。

(玉袋筋太郎)ええっ?

(安東弘樹)全部パーで勝ったっていうことは、八百長じゃねえか?っていうのに対しての反論。

(吉田豪)そうなんですよ。「八百長って、他に勝ち残っている人を見てよ。本気で八百長するんだったら、もっといいメンバーを揃えますよ」っていうね(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)失礼ですね、ある意味ね(笑)。

(吉田豪)いや、正直そうなんですよ。優勝者以外は本当に当時としては知名度がない人たちがガチで勝ち残っているじゃないですか。

(安東弘樹)ガチ感はありますよね。たしかにね。

(吉田豪)だからベスト16まではガチで勝ち進んだ後に、当時って本当にあれなんですよね。100万枚のセールス記録が続いていて、「ここまで行って誰がセンターになってこの(セールスの)記録を背負えますか?」っていう。そこからはそういう戦いだと思うんですよ。「私はもうここまで来たから、いいです……」っていう。勝てるわけがない。

(玉袋筋太郎)ああ、わかる。うん。

(吉田豪)っていうような話をしていたんですよね。あとは気迫ですよね。「私は背負うつもりがあるよ!」っていう人が来たら、「どうぞどうぞ」ってなると思うんですよ。

(玉袋筋太郎)ダチョウ倶楽部状態だ。

(吉田豪)みたいなことをその原稿に書いたのに対して、僕はリリー・フランキーさんの弟子なわけですけど、リリーさんと秋元康さんが仲がよくて。言われたんですよ。「この前、秋元さんと2人で飲んでいた時に、突然その話になって。『あれって本当なのかな?』って言い出して、峯岸みなみさんに電話をかけたんだよ。『みぃちゃんさ、ああいう記事を読んだんだけどさ、そういう気迫で負けるとかってあるのかな、やっぱ?』」みたいな。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)「ええっ!?」っていう(笑)。

(安東弘樹)秋元さんが?

(吉田豪)そう。僕とリリーさんの関係も知らずに、目の前でそういうことをやっていたらしくて。そういうのを聞くと、本当にガチなんだなって思うじゃないですか(笑)。

(安東弘樹)思いますね。秋元さん自体が峯岸さんに電話したっていう。

(玉袋筋太郎)幻想がわくねえ。

(吉田豪)わくんですよ。いい話だなっていう。みたいな話をしていたら、やっぱり珠理奈さんも行っているんですよ。「あの時はそういう気迫を出していたし、私は出す手を決めていたんで。パーしか出さないという」。で、「いま思えば、あれはプロレスだったと思いますか?」って聞いたら、「思いますよ! あの時、『目で殺そう』と思ったもん。まず目だな。『お前、負けろよ』っていう目で見ていましたから」っていうね。

(安東弘樹)相手にね。

(吉田豪)「しかもその時ってセールスで100万枚行けるか?っていうプレッシャーもかかっていたから、それを背負うっていう覚悟はできていました」っていう。それはね、負けますよ(笑)。

(安東弘樹)プロレスだよ。いや、本当に。

(玉袋筋太郎)うん。「道場じゃ、いちばん強えんだ。決めっこは俺が強えんだ」ってことだ。ほら。「負けない」っていう。

(安東弘樹)いや、松井さんって僕、年齢を聞いてびっくりしたんですけど。あの貫禄、なんですか?って思いますもんね。

(吉田豪)ですよね。

(安東弘樹)気迫と。いや、そういう覚悟がある人なんですね。だから。

(吉田豪)やっぱり篠田麻里子さんに師事したからですかね。

(玉袋筋太郎)ああーっ! そうか。そっちの筋なんだな。やっぱプロレスだよ! 完全プロレス。

(吉田豪)そして、その3。

(安東弘樹)グループ内抗争。

(玉袋筋太郎)プロレスで学んだこと。

松井珠理奈が学んだプロレス

(吉田豪)そう。「わずか半年で珠理奈さんが学んだプロレスはどんなものなのか。果たしてプロレスとはどういうものだと解釈しているんですか?」って聞いてみたら、「選手のいままでのエピソードとかそういうものも踏まえた上で見るとより感情移入しやすかったりもするし。ただ見るスポーツというよりは、私の感覚的にはファンも一緒になって戦っているな。それが魅力だ」って言っていて。

(玉袋筋太郎)わかってんなー。

(吉田豪)「ただ、それは野球とかサッカーとかもそうじゃないですか」って言ったら、「それはやっぱりひとつの団体っていうかチームで戦っているけど、プロレスは団体の中で戦うじゃないですか。それが面白いと思う。要するに自分もSKE48にいて、前の考え方だとSKE48として先輩のAKB48に勝ちたい・超えなきゃいけないって思っていたけど、ただそれだけじゃなくて、実際には自分たちのグループ内で戦っていたり、ライバルがいたり、バチバチしている方が自分たちのグループが盛り上がるんだなっていうことが最近プロレスから学んだ。仲良しこよしで一体感があって……っていうのも大事だし、団結する時は団結するけど、AKBと戦う場が来ていない時、自分たちだけでいる時はもっと自分たちだけで高めあった方がいいんだなって思いました」っていうね。「正解!」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)すごい。この間、ちょうどBSで蝶野さんがメインMCでゲストが藤原組長で。で、藤原組長の昔の試合を見ながらトークする番組があったんだよ。

(吉田豪)最高ですね、それ。

(玉袋筋太郎)最高だったんだよ。そん中で組長がさ、お酒飲みながら言うんだよ。「プロレスっつーのは面白い世界だよな。殴り合って敵なんだけど、仲間だろ? 仲間なんだけど、戦わなきゃいけねえんだよ。これは本当、不思議な世界だよな。サラリーマンには絶対わからない世界だよ」って組長が言っていて。それにしびれちゃったんだけど、同じことを言ってるじゃん。この子。もうすでに。

(安東弘樹)本当ですね。藤原組長と同じことをハタチで言っているっていうね。

(吉田豪)(笑)

(玉袋筋太郎)そう! いや、これ……。

(吉田豪)半年の理解としてはかなりの正解ですよ。

(玉袋筋太郎)すごいね、これ。

(吉田豪)で、実際にいまの新日本が成功しているのってそこじゃないですか。対抗戦ブームの後に1回落ちて。その後にいまは団体内でどう成立させるか? 団体内でうまくチームを作ってやり合うみたいな。それをちょっとやっていきたいみたいなんですよ。プロレスもユニットがあるから面白いし。そういうのを、SKE48も2年ぐらい前からメンバー内でユニットみたいなのも出来ていて……みたいな。ただ、アイドルのユニットって本当は期間限定とかシングルのカップリングだけだったりとか、あんまり意味がないんですよ。これに意味を持たせて、ちゃんと抗争していきたいみたいな話を(笑)。

(玉袋筋太郎)かー! いいねえ! 浅草キッドも昔、思っていたな。たけし軍団の中で。決めっこなら負けねえぞ!って。

(吉田豪)世代抗争ね(笑)。

(玉袋筋太郎)世代抗争(笑)。

(吉田豪)世代闘争、やってましたもんね(笑)。

(玉袋筋太郎)やってたなー! で、それをさ、うちの師匠にもプロレスで仕掛けたら、うちの師匠が本気で怒っちゃって(笑)。

(吉田豪)(笑)

(玉袋筋太郎)怖かったなー!

(吉田豪)あの人もガチの世界で強いですからね(笑)。

(玉袋筋太郎)殿だけはガチ(笑)。「NOAHだけは」じゃなくて、殿だけはガチ。

(安東弘樹)でも、僕のやっているSKEの番組も『ZERO POSITION』っていって、真ん中を競っているんですけど、本当に真剣に彼女たち、やっていますからね。だからこそ、涙が出てきたりもするんですけど。なるほど。そして、その4。絶対に超えてやる。自分は負けてられない。

(吉田豪)はいはい。その珠理奈さんがプロレス総選挙について物申したいという話から、(佐々木)健介さんと真壁刀義選手の関係性を松井さんにちょっと僕が吹き込んだというかね。「まあ、ねえ。真壁さんが入ったっていうことは健介さんは来ないな」みたいな話をしていたんですよ。

(玉袋筋太郎)そうそうそう。来ないよ。

(吉田豪)「えっ、なんですか?」みたいな感じで。まあ、僕の真壁さんのエピソードっていうのがあるんですよ。1回、一緒にイベントをやって、イベントの控室で直前になって言われたんですよ。「今日は健介さんの話はNGでお願いします」ってお付きの人から言われて、「わかりました」とは言ったんですけど、僕はちょっと着ていたTシャツがパワー・ウォリアーとホーク・ウォリアーという、要は健介さんとホーク・ウォリアーのTシャツだったんですよ。

(玉袋筋太郎)それ、マズいじゃん(笑)。

(吉田豪)それはマズいから、一応チャックを上げて、見えないように。閉めていたんですね。で、いざトークが始まって、厳しい先輩の話になった時に、「ひどい人がいて……」みたいな。「それ、もしかしてこの人ですか?」っつって、(チャックを)開けて見せたんですよ。そしたら真壁さん、クレバーだから。「あのね、ホークさんはいい人だったよ」っていうね(笑)。

(安東弘樹)(笑)

(玉袋筋太郎)上手い!

(吉田豪)上手い! 角を立てない! 見事なバンプ(笑)。

(玉袋筋太郎)素晴らしいバンプだよ。

(安東弘樹)しかし、そこで開ける吉田さんもすごいっすね!

(吉田豪)言わずにちゃんとやりました、僕もっていう(笑)。

(安東弘樹)言ってない! 「この人ですか?」って開けただけ。

(玉袋筋太郎)開けただけだからな。

(吉田豪)お互いにちょっと高度な戦いをしたという。そしたら、そこからまたね、珠理奈さんもいい受け身を取るというか。そっから後輩に異常に厳しい人の話になって。AKBグループの先輩・後輩の話になっていったんですよ。「そういう先輩、いました。私が”先輩”って言ったらもう限られちゃうんですけど、そういう人がいたんで、後輩に対しては自分ではそういうことは絶対にしない。そして絶対に超えてやると思って」と。

(玉袋筋太郎)ああー。

(吉田豪)「でも、辞めようと思ったこともあります。実は、それが辛くて。そう言っている後輩も実はいて、それで辞めた後輩もいます。その関係性で。やっぱりそういうのに慣れていなくて、弱い子もいるじゃないですか。でも、自分はそんなのに負けてられないなと思った。まだやらないと、がんばらないとな」っていうね。

(玉袋筋太郎)浅草キッドもがんばっていたなあ。

(吉田豪)そういう関係性で(笑)。

(玉袋筋太郎)ああ。俺たちも一度、辞めようと思ったこともあったしな。通ずるな。大ファンになってきちゃったな。うん。

(吉田豪)共感してきた?(笑)。

(玉袋筋太郎)うん。いいよいいよ!

(安東弘樹)だってSKEのオーディションから、だからもう9年ですもんね。

(吉田豪)だって小6で入って、いきなりAKBに抜擢されて、ジャケットで単独で選ばれたんですよ。『大声ダイヤモンド』で。それはね、先輩噛みつきますよ。「なに、この子?」っていう。その時に守ってくれたのが篠田麻里子っていうね。いい話なんですよ。



(安東弘樹)ああー、それであの貫禄につながっていくっていう?

(玉袋筋太郎)『上からマリコ』だな。いいぞ! 『下からISSA』なんつって。まあいいや。ねえ。

(吉田豪)で、その5。

(安東弘樹)伝説の対抗戦。アイドルユニットサマーフェスティバル2010。

(玉袋筋太郎)このタイトルがもうプロレスだもんね。「伝説の対抗戦」っつったらさ。うん。

伝説の対抗戦 アイドルユニットサマーフェスティバル2010

(吉田豪)はい。僕の周りでプロレスを見てきた人間が、いわゆる「アイドル戦国時代」っていわれたのが2010年ぐらいなんですけど、その時に同じような幻影を追って燃えていたんですよ。要は、アイドル戦国時代ってただのキャッチフレーズじゃなくて、アイドル同士が実際に本気で戦っていたんですよ。舞台裏を知れば知るほどヤバいっていう。

(玉袋筋太郎)ああー。この「ヤベえ」っていうね。「ヤベえ、ヤベえよ!」っていうのあるもんね。

(吉田豪)だからこの半関係者みたいな僕らが燃えていたのは全部それだったんですよ。「本気でケンカ売っている!」っていう。「それに本気で怒っている!」みたいなのが見えるんですよ。

(安東弘樹)完全にプロレスの世界ですね。

(玉袋筋太郎)「前田、全然長州の技を受けねえよ!」みたいな。「高田は大人だ!」っていう。

(吉田豪)本当にそういうことなんですよ。わかりやすいことを言うと、ももいろクローバーがかつて、名古屋かなんかでライブをやる時にSKEの劇場があるじゃないですか。あそこを借りて、「お留守の間、温めておきます」っていうタイトルでイベントをやろうとして。それが大問題になって、タイトルを変えられて、会場も変えられて……っていう。

(玉袋筋太郎)ヤベーよ、おい。

(安東弘樹)「お留守の間、温めておきます」? すごいタイトルをつけますね!

(吉田豪)わかりやすくケンカを売ったんですよ。で、わかりやすく激怒したっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)そりゃそうだ。

(玉袋筋太郎)Uインターのやり口だよ。

(吉田豪)そうそう。そういうのがあった後で『アイドルユニットサマーフェスティバル2010』っていうのがありまして。SKE48、スマイレージ(現アンジュルム)、ももいろクローバー、bump.yっていう。当時、対抗戦がほぼなかった時代にはじめての対抗戦って呼ばれた……。

(安東弘樹)で、スマイレージは……。

(吉田豪)ハロプロで。ハロプロがはじめて他流試合に出てきた企画だったんですよ。

(安東弘樹)ももいろクローバーも。

(吉田豪)まだこの時は知名度がなかったんですけど。

(安東弘樹)ああ、2010年ってそうでしたっけ?

(吉田豪)そうなんですよ。これが本当に名勝負で。僕ら、全然約束もしていないのに、友達がみんな当日券で集まって、みんな興奮して終わった後に……まあ、言っちゃうとSKEが完敗したんですよ。この時。

(安東弘樹)あ、完敗なの?

(吉田豪)あの、わかりやすく言うとスマイレージとももクロのマネージャーがプロレスヲタなんですよ。なんで、スマイレージのマネージャーさんの方が特にはじめての他流試合っていうことで、「もう絶対に負けられない。負けたら事務所にも帰れない」ぐらいの覚悟で、どうやったら確実に勝てるか?っていうのをひたすら詰めて。で、それをやりきったんですよ。

(安東弘樹)これ「勝つ・負ける」は、プロレスはまあわかりやすいですけど。この場合の勝つ・負けるっていうのは?

(吉田豪)まあ、「イベントとして圧倒する」ですよね。

(玉袋筋太郎)これは田村潔司対パトスミだな。

(吉田豪)そうですよ。負けられない戦い。で、ももクロも「知名度がないから、どうやって爪あとを残すか?」っていうのを考えてやって。で、SKEは結構呑気だったんですよ。「わー、東京楽しい!」ぐらいの感じで来ちゃって、完全に食われた。



(玉袋筋太郎)安生だな、安生。道場破りの安生だよ。

(吉田豪)そうです。っていうのを、こうやっていまになっていろいろと確認できたっていうのが楽しかったんですよ。

(玉袋筋太郎)楽しいよね! いや、いま聞いていてもすっげー楽しいわ。

(吉田豪)で、僕すごいこれ立体的にしているんですよ。実は他局、ニッポン放送主催だったんですけど、ニッポン放送の人から裏話を聞いたりとかして。「あのスマイレージのマネージャーさんが本当に怖くて……」みたいな(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)。もうプロレスだよ。これ。

(吉田豪)で、マネージャーさんに即確認して。いま、アップアップガールズのマネージャーさんなんですけど。「あの時は負けられるわけ、ないじゃないですか。万に一つも負けない体制を作りました」っていう(笑)。「かっけー!」っていう。そしてももクロの運営にも聞いて。「どうだったんですか? あの時」みたいな。全部やっているんですよ、僕。いまだに、これ。

(玉袋筋太郎)かー! これはたまらないね。

(安東弘樹)僕、いま思うとそれぞれと結構一緒に仕事したことがあるので。想像ができないです。この子たちが一堂に会してやるっていうこと自体が。

(吉田豪)で、珠理奈さんに聞くと「やっぱりスマイレージはすごかったですね。みんなで囲み取材をやった時も、『ライバルはどのグループですか?』って聞かれて、それぞれ普通に答えていたけどスマイレージだけが『私たちはライバルはいません。自分たちがライバルです』って。マジですごいと思って、超怖かったんですよ。うちら、超ビビッちゃって。思ってもいないのに、『がんばろうね』とか言っていた」っていう(笑)。

(安東弘樹)マジっすか!

(吉田豪)まだそういうモードだったんですよ。プロレスも好きになる前で。

(玉袋筋太郎)そうかそうか。

(吉田豪)実は僕、柳澤健さんに「『2010年のアイドル界』みたいな本を書いてほしい」って言っているんですけど。「本気で戦っていた時代をちゃんと裏まで取って書いてください」って。

(安東弘樹)それは興味ありますね! プロレスファンもそうでしょうけど。

(吉田豪)みんながAKBに歯向かって……みたいな(笑)。で、AKBがそこを上手く抱き込もうとして……みたいな戦い。

(玉袋筋太郎)うわー、面白えぞ!

(安東弘樹)そしてその6。プロレスなら負けない。やりたい技だけやる。

(吉田豪)まあ、実際にプロレスをドラマの中で、下田美馬さんとかミラノコレクションA.T.さんとかに教わって練習して。「やる方も楽しい」って感じているみたいなんですよ。「試合を見てプロレスを好きになったから、自分でやりたい技とかもめっちゃ増えて。『この技をやってみたい』っていうのを話したらミラノさんが教えてくれるし」って。そういう趣味の延長線上で、レインメーカーを見て、「レインメーカーやりたい!」って言ったりとか。次々とやって、もう楽しくてしょうがないと。

(玉袋筋太郎)おおーっ!

(吉田豪)だから、「サマーフェスティバルの頃はプロレスの概念がなかったから、仕掛けられて『怖い……』ってなっちゃったけど、いま仕掛けられたらどうですか?」って聞いたら、「『プロレスで試合しよう!』って言いたい。そしたら負けないから。絶対」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)かーっ! レスラーだよ。

(吉田豪)でも実際にアイドルからプロレスを始める人がいま、すごい増えていて。実際にやってほしいんですよ。地下も地上も全員集めて。

(安東弘樹)なるほどね。プロレス自体をね。

(吉田豪)そうそうそう。

(玉袋筋太郎)さあ、総選挙のスピーチもプロレスで。決めゼリフも考えているの筋。

(吉田豪)やっぱりその「プロレス的な発想だと、普通に仲良しこよしでやるよりも、ちょっとピリッとした緊張感があったり、戦った後で仲良くなるみたいな感じが好きなんですよ」って僕が話を振ったら、珠理奈さんは「戦ってから仲良くなるパターンもいいんですけど、仲がいい人が戦ってほしいというのもある。もともと仲が良かったのに、気づいたらすごいライバルになっちゃっていて……っていうパターンも面白い」っていうね。

(玉袋筋太郎)うん。

(吉田豪)「まあ、自分が松井玲奈さんとライバルになっていたのもそうだし、最近の若手の子で言うと後藤楽々さんと小畑優奈さんっていうのがいて。同期なんだけどエリートと雑草みたいな感じで。エリートと雑草なんだけど、仲が良くて。でも選挙とかがあるから、人気とかが目に見えてわかっちゃう。そこからきっとライバル意識も高まって。そうなってからの2人の関係が楽しみで。ただの仲良しからややこしいことが入ってきた時にどう転がるか?」っていう。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)楽々ちゃんと一緒にMCもやったんですけど。エリートかな? 楽々ちゃんの方がエリートなのかな?

(玉袋筋太郎)いや、すげープロレス頭になっているな。彼女は。

(吉田豪)そうなんですよ。馬場と猪木みたいな発想になっていて。

(玉袋筋太郎)すごいぜ、これ。

(安東弘樹)半年ですもんね。

(吉田豪)そう。

(安東弘樹)1.4以降ですもんね。すげーな。

(吉田豪)いや、いい理解していますよ。プロレスの理解としては。

(玉袋筋太郎)ねえ。

(吉田豪)「初期メンバーだとみんなが同期で、同じスタートだからみんなライバルっていう意識があるけど、やっぱり後輩が先輩にあんまり『勝ちたい』とか『ライバル』とか言っていいのかな? みたいな気持ち、遠慮があると思って。もっとメンバーが宣戦布告じゃないですけど、そういうのをいいやすい環境を自分が作らなきゃダメだなと。そうじゃないと面白くならない。いままでと同じじゃつまらないので、自分から『もっと来て。私はここにいるから挑戦しに来てください』って言わなきゃダメだ。自分との勝負で心を鬼にしてグループのためだと思って、それをいま、声を大にして言いたい」と。

(安東弘樹)かっちょええな~!

(吉田豪)「やっぱり篠田麻里子さんのスピーチで『私を潰すつもりで来てください』って言った。あれがベストパフォーマンスで。私もああやって挑発とかをしていま、この団体を盛り上げたい」みたいな発想になっているんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)完全にレスラーだよ! プロレスラーだよ。かっけーな、おい!

(吉田豪)面白いですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)面白いね! いやー。

(吉田豪)プロレスが全部プラスになっているんですよ。プロレス脳になっていて。やっぱりインタビューも話しやすくなったし。

(玉袋筋太郎)そうかそうか。ねえ。プロレスに置き換えて、自分のポジションとか。

(吉田豪)そう。挑発もしやすくなるし……っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)そうだよね。

(安東弘樹)プロフェッショナルとして、一段と上に行った感じがしますね。松井さんの。

(吉田豪)プロレスがこんなに役に立つとは思わなかったっていうね(笑)。

(玉袋筋太郎)面白い!

(安東弘樹)これはすごい面白かったっすね。今日ね。

(玉袋筋太郎)最高だったよ!

(安東弘樹)で、これは現在発売中のBUBKA7月号にこの松井珠理奈さんのインタビューが掲載されています。そして、同じBUBKAにブル中野さんのインタビューも。

(玉袋筋太郎)おっ!

(吉田豪)これもかなり深い話をしているんで。ちょっと珠理奈さんが読んだらショックを受けちゃうんじゃないかっていうのもあるんですけど(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)。いやー、面白かった。

(安東弘樹)本当に月1回は早い! 吉田豪さん、次回の登場は7月7日七夕でございます。ありがとうございました。

(吉田豪)ありがとうございました。

(玉袋筋太郎)ありがとうございました!

<書き起こしおわり>

吉田豪と玉袋筋太郎 松居一代と須藤凛々花を語る

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吉田豪さんと玉袋筋太郎さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で松居一代さんと須藤凛々花さんについて話していました。



(玉袋筋太郎)豪ちゃん、大変だよ。もうすんごい本、出しちゃったね。豪ちゃん。

(吉田豪)もういきなり紹介してくれる?

(玉袋筋太郎)よせよ! もう寝る時間、なくなっちゃうよ! やってくれたね! 『吉田豪の”最狂”全女伝説』。これですよ!

『吉田豪の”最狂”全女伝説』


(吉田豪)確実に面白いですよ、これ。

(玉袋筋太郎)確実だよね! 確実。

(安東弘樹)もうね、放送前にスタッフが持ってきちゃったもんだから。もう大変。読み始めちゃって。

(玉袋筋太郎)大変なんだから! いやいや、豪ちゃん。いろいろ芸能界もいま、盛んですよ。

(吉田豪)はいはい。松居一代さんがモニターに。

(玉袋筋太郎)もう松居さんだな。

(安東弘樹)SKEの松井さんも総選挙で。

シン・ゴジラ松居一代

(玉袋筋太郎)ゴジラ松居ですよ! シン・ゴジラですよ、あれ! シン・ゴジラ松居!

(吉田豪)第三形態ぐらいになっていますね(笑)。

(玉袋筋太郎)上手い上手い(笑)。

(吉田豪)僕、船越英一郎さんと昔、テレビで一緒になったことがあって。向こうから声をかけてくれて。「吉田さん! 『フィギュア王』の頃からコラム読んでます」って。サブカル側の人なんですよね。「吉田さんのインタビュー、すごい好きで」とかすごい言ってくれて。

(玉袋筋太郎)そうだよ、そうだよ。

(安東弘樹)一代さんの方なんですけども、メイクさんから聞いたんですけど。「私、本当に胸がないのよ。ほら!」ってバーン!って見せてくれたって。そういう方だったらしくて。

(吉田豪)ええっ?

(安東弘樹)豪快な……豪快な方で。

(玉袋筋太郎)「豪快」でいいんですか? それは。

(安東弘樹)女性のメイクさんが。

(玉袋筋太郎)その頃から何か始まっていた、壊れかけていたとか、そういうことじゃない?

(安東弘樹)びっくりしたって。いきなりドーン!って。

(玉袋筋太郎)すっげー!

(吉田豪)リアクション、取れないですよね。「ああ、本当にないですね」とも言えないし(笑)。

(玉袋筋太郎)いやー、そうだよ。小出恵介もあったしな。いろんなことが。

(吉田豪)いろんなことが。もう今年のような気がしますもんね。早すぎて。

(安東弘樹)早すぎる。もういろんなことが次から次へと。

AKB48総選挙

(吉田豪)だってね、AKBの総選挙もかなり前のことに思えてしまうという。

(玉袋筋太郎)ああ、もうそうだな。結婚発表があったりとか。

(安東弘樹)ああ、結婚発表ね。須藤さんでしたっけ。

(玉袋筋太郎)ああいったこともあるんだね。

(吉田豪)全てがかき消されていく感じの。

(玉袋筋太郎)なんかでもあれさ、ゲスの勘ぐりとかしたくなるんだけど。あれはどうなんだろうね? みんな、回ってねえ時とかそういう話、していたじゃん。「あれ、なんか大きな力が。どうなんだろう?」って。

(吉田豪)いや、ガチなのは間違いないと思うんですよ。その後のメディアの扱いが明らかに異常っていうか。アイドル雑誌が、普通ああいうことがあったら、それこそプロレスで言ったら、あんなの週プロだったら表紙にするようなことじゃないですか。

(玉袋筋太郎)表紙だよ。

(吉田豪)転がる話じゃないですか。アイドル雑誌、全てが転がさないようにしているんですよ。

(安東弘樹)えっ?

(吉田豪)総選挙の特集とかでもいろんな名スピーチとか紹介していても、一切ここだけ触れていなかったりとか。明らかに扱っちゃいけないものになっている感じが、「ああ、本当にガチだったんだ」っていう。

(安東弘樹)逆にね。ああ、そうなんだ。

(玉袋筋太郎)前回豪ちゃんが「AKBとかああいったものをプロレス的に見るのが面白い」っていうことを説いてくれて。俺たちも、「うわっ、これはプロレス的に面白えわ!」って思ったんだけど……転がさないという。

吉田豪 SKE48 松井珠理奈とプロレスを語る
吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でSKE48の松井珠理奈さんについてトーク。ドラマ『豆腐プロレス』をきっかけに急激にプロレスにハマった珠理奈さんにインタビューした際の模様...

(吉田豪)転がせなかったんでしょうね(笑)。

(玉袋筋太郎)ああーっ! そうか。いろいろありますわね。

(吉田豪)はいはい。っていう裏読みが楽しいというね。

(玉袋筋太郎)はい。

<書き起こしおわり>

吉田豪 ミミ萩原を語る

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吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』で元全日本女子プロレスのレスラー、ミミ萩原さんについて話していました。


(安東弘樹)ということでこのコーナーでは豪さんがこれまでインタビューしてきた一筋縄ではいかない有名人の様々なその筋の話を聞いていきます。今日、豪さんに紹介していただくのが歌手・女優としても活躍した元女子プロレスラーのミミ萩原さんです。まずはそのミミ萩原さんのあらすじとその筋をご紹介します。ミミ萩原さん、1956年、東京都のご出身。15才までスイスで暮らし、帰国後仮面ライダーのライダーガールズの1人、チョコ役で女優デビュー。翌年の1973年には「ミミ」の名で歌手デビュー。その後、ビューティー・ペアの人気が爆発した1978年に全日本女子プロレス、通称・全女に入門。アイドル歌手からプロレスラーへと転身します。

(玉袋筋太郎)うん。そうだな。

(安東弘樹)デビューしてからは87連敗という記録を作ります。試合ではハイレグ水着を着用し、男性ファンのハートをわしづかみ。84年に引退し、現在は広島県で飲食店「Caf?e Diner KalaKala(カラカラ)」を経営しているミミ萩原さんです。そして吉田豪さんの取材によるミミ萩原さんのその筋は、その1、アイドル時代の怖い話の筋。その2、「これだ! 運命だ!」。全女入門の筋。その3、タイガーマスクも驚いた全女の異常な練習の筋。その4、押さえ込まれるたびにキス。外国人レスラーの筋。その5、いまなら弁護士。給料1日1万円の筋。その6、ジャガー横田との友情。ミミ萩原のプロレス観の筋。その7、女子プロレスの父、松永ファミリーをどう思っている? の筋。深い話ばかりだな。以上、7本の筋です。玉さんはミミ萩原さんは応援していたことは?

(玉袋筋太郎)応援していましたよ。やっぱり。だからちょうど思春期とかそういう時ですから。それで大胆なカットの水着ですから。それはそれはもうね、俺たちの間ではミミ萩原さん……。

(吉田豪)お世話になった?

(玉袋筋太郎)お世話になりましたよ!

(吉田豪)みんなやっぱりお世話になったみたいですね。

(玉袋筋太郎)そうですよ!

(安東弘樹)お会いしたことは?

(玉袋筋太郎)ミミさん、会ったことはないな。ミミさんはないわ。

(安東弘樹)この玉さんをして……。

(玉袋筋太郎)ない。

(吉田豪)あんまりだから業界とつながらなかったんですよね。だから、僕らが接点がなかった。いま、プロフィールから外れていますけども、90年代、2000年ぐらいには宗教活動をされていたりとか。

(玉袋筋太郎)急に何かね、マリア様みてえになっちゃったからな。

(吉田豪)マリア活動期があるんで。だから、正直インタビューできるかどうかもわからない感じだったんですよ。

(玉袋筋太郎)どうやってコンタクトを取ったの?

(吉田豪)もう直接、Facebookをやられていて。そこから行ったんですけど。そしたら、想像以上に面白かったという。

(玉袋筋太郎)いや、面白いよ!

(吉田豪)だって、宗教の話とかも……その話を覚悟したら、ほぼないですからね(笑)。全然、もうサバサバした方で面白かったです。

(玉袋筋太郎)そうだったね! はい。いや、まずね、アイドル時代の話からだよね。

(安東弘樹)怖い話っていう。

ミミ萩原のアイドル時代

(吉田豪)そうですね。もともとアイドル活動をやられていたわけです。まず、その話から聞いたら、モデルを1年やったらスカウトが来て。知らないうちにお母さんが契約しちゃったらしいんですよね。突然、「明日から歌のプロダクションよ」「ええーっ!?」みたいな感じで。「モデルの方が稼げていたのに……」っていう。当時、アメリカンスクールに通っていて、バス代込みで毎月15万とかですごい高くて。で、母子家庭だったんですよね。お母さんが払えなかったんで自分で(学費を)払うためにモデルをやっていたら、知らない間に仮面ライダーに出るような流れになって。

(玉袋筋太郎)ほー!

(吉田豪)生活のためにやっていたっていうことなんですけども。ただ、僕は結構ミミさんは調べたことがあって。事務所を辞めてプロレス界に入る時に「(アイドルとして)売り出しにいくらかかったから、借金を返せ!」って言われたという噂を聞いたことがあったんですよ。それで聞いたら、「そうそうそう!」っていう感じで(笑)。「芸能界って怖いんですよ!」っていうね。「ひとつ何かをやると、知らないうちに全部ツケになっちゃっていた」と。

(玉袋筋太郎)ああーっ!

(吉田豪)昔は歌番組とか、生演奏だったじゃないですか。で、ライブもそうで。譜面が全部手書きで、それがフルバンドだったんで、単純に言えば5万円×20曲。譜面を1個やるだけで5万円かかったらしいんですよ。

(玉袋筋太郎)ええっー!

(吉田豪)それをだからコンサートで20曲あったら、それだけでもう相当な額になる。黒字になるわけがないみたいな。で、アイドル活動を始めたらいろんなところでお声が掛かって。今度はやるたびに衣装代もかかる。当時は衣装を作る専門のところがあって、そこは1着20万円。

(玉袋筋太郎)当時の20万だからね。これ。

(吉田豪)で、1着作ればいいものでもなくて、10着は作らなきゃいけない。で、辞める時にそれを返済しろと言われたという。

(玉袋筋太郎)かーっ、昭和だなー!

(吉田豪)完全に罠なんですよね。昭和の芸能界、怖っ!っていう。

(玉袋筋太郎)あったんだね。うん。

(吉田豪)5年契約で15才で入ったから、ちょうどハタチで契約が終わって、そこで女子プロレスに入ったっていう。

(玉袋筋太郎)これ、素晴らしい話だね。こりゃ。ねえ。

(吉田豪)「借金を抱えた状態で……」みたいな(笑)。

(玉袋筋太郎)うん。で、お母さんが歩合制を決めちゃったんでしょ?

(吉田豪)勝手にね(笑)。「4:6」でっていう。

(玉袋筋太郎)ヨンロクでOKしちゃったっていう。

(安東弘樹)自分が「4」っていうことですね?

(吉田豪)そうです、そうです。

(玉袋筋太郎)うわー。でも、あれだよね。全女でハタチで入ったっていうのは、ちょっと遅い方だよね。年齢的に言えばね。

(吉田豪)中卒、高卒で入るもんなんで。芸能界を通って入ったっていう人は珍しくて。で、もともと番組でビューティー・ペアのジャッキー佐藤さんと出会って。で、「後楽園ホールに見に来ないか?」って言われて、「これが私のやりたい仕事だ。運命だ!」と思ってプロレスラーになることを決意という。

(安東弘樹)後楽園ホールにはじめて見に行って。それで運命を感じたと。

(吉田豪)そうなんですよ。だから運命を感じるも何も、異常に体力がない人だったわけですよ。もともと持病で心臓肥大症があって。腕立てが1回もできない。腹筋は2、3回できるだけっていう。だけど、意志はいちばん向いていた。体力的には向いてなかったけど。

(玉袋筋太郎)うん。

(吉田豪)1年かかってデビューして。で、全然強くはなかったけど、プロレスは好きで。練習するのも大好きで。当時はプロテインもなかったから、筋肉疲労のためのアミノ酸もないんでレモンをかじって。で、カルシウムになるようなお薬を薬局で出たんで、それを飲み続けていたら胆石になっちゃったんですね(笑)。

(玉袋筋太郎)大変だよ、これ!(笑)。

(吉田豪)何もわからなかった時代。膝を壊すからウサギ跳びは本来やっちゃいけないのに、毎日「ウサギ跳びをやれ!」って言われて、膝に血がたまって。そこから脱臼しだしてとか。さらには当時ってリングサイドにマットも敷いていなくて。コーナーポストから、「上から飛べ」ってよく言われるわけですよ。で、骨折をすると「お前の骨が丈夫じゃないからだ!」って怒られるという、そういう時代っていう。

(玉袋筋太郎)タフだね、こりゃあ!

(安東弘樹)そこにアイドルから入ったんですね!

(玉袋筋太郎)たけし軍団だな、こりゃあ。

(吉田豪)で、当時は本当にお人好しで人を恨むことも知らなくて。いまは本当に何かあるとすぐに「弁護士を通して」って言うけど、当時はそういうのもなかったし。「みんな、なんで弁護士なんか立てるの?」っていうね。「訴えたら大変なことになっちゃうと思ったんで、『だったら私が我慢すればいい』と思って」っていう。

(玉袋筋太郎)うん。

(吉田豪)「ただ、女子プロも本当に『弁護士を通して』の世界だった。毎日が一千万円興行でダンボールにお金を入れてあふれたら足で踏んで。そんなの、絶対にバチが当たると思っていた。選手が血を流して、私なんかしょっちゅう骨も折っていたのにお金をお金と思わないで好き勝手に使っていたから、結局は最後のダメになっちゃって」。

(玉袋筋太郎)バチが当たった(笑)。

(吉田豪)「どれだけ稼いでも焼肉とか寿司をおごるだけでごまかされて。でもそれで美味しいものを食べて『ありがとう!』ってなっちゃっていた」というね。

(玉袋筋太郎)まあ、当時はそういう恨むっていうこともなかったんだろうね。「そういう世界なんだろう」と。

みんなひどい目にあっている

(吉田豪)この『吉田豪の”最狂”全女伝説』っていうこの本を作って本当に思ったのが、みんなそうなんですよ。みんな本当にひどい目にあっているんですよ。でも、誰も恨んでいないんですよ。

(玉袋筋太郎)かっこいいんだよ。そうだよね。みんな、そうだよね。

(安東弘樹)だからざっくり言うと、全員が騙されているのに恨んでいないということですね。

(吉田豪)ひどい目にあった話を散々しながらも、「でも、楽しかった」っていう話をしていて。

(玉袋筋太郎)それが青春だったんだよね。

(安東弘樹)素晴らしい!

(吉田豪)ただ、「素晴らしい」と言いながらも僕が最終的に結論づけたのは、「これ、洗脳ですよ」っていう話ですよ(笑)。

(玉袋・安東)(笑)

(吉田豪)みんな洗脳が解けてないだけですよ、これ。

(安東弘樹)考えてみれば、そうですね。「素晴らしい」って自分でいま、言いましたけど。素晴らしくないよね、本当にそれ。

(吉田豪)常識のある人がどんどんやめていって、洗脳された人だけが残っていくシステムで。

(安東弘樹)そういうことになりますね。

(玉袋筋太郎)しかし、このタイガーマスクも驚いた。全女の異常な練習っていうことですよね、これ。

(吉田豪)これが本当に狂っているんですけど。だからミミさん、87連敗っていうのがいま、ウィキペディアとかにも書いてありますけど。これも謎なんですよ。実は僕、調べたら本人は当時「300連敗ぐらいしました」とか言ってたりとか。当時の資料だと実は30戦3勝27敗になっていたりとか。結構バラバラなんですよね。

(玉袋筋太郎)バラバラなのね。

(吉田豪)なんでこんなに連敗したかっていう鍵があるわけじゃないですか。やっぱり、当時の女子プロレスって異常で。まあ、ピストルというかシュートファイト。新人のうちはそれが当たり前。その後も実はベルトがかかるような試合も実はシュートファイトが行われていたという。それを検証する本なんですよ。実はこれ。

(玉袋筋太郎)うんうんうん。

(吉田豪)で、ミミさんもそういう話をサラッとしてくれていてね。だから、タイガーマスクが驚いたっていうのは実はそういう話で。

(玉袋筋太郎)ああ、毎日やっているんだよ。年間300やっていたっていうんだからね。

(吉田豪)試合がね。で、さらには練習も異常なぐらいやっていて。「ひどい目にあわされているのに、誰も恨んでいないのは楽しんだからじゃない?」って言っていてね。「みんな子供だったし、私は経験的にそれを超えたから、いまの私がある。あれほどいろんなひどいことをされて、いまそれ以上ひどいことってまず中東の方に行かない限りはないと思うから」って。

(玉袋筋太郎)すっごいね! 世界観が違うね、やっぱり。

(吉田豪)「『いつでもやめろ! 代わりはいるんだ!』って言われた瞬間、誰も帰らなかったし。練習中、あまりに苦しくて死ぬんじゃないかと思った時も、意識を失いかけていた子もいたけども、『帰れ!』って言われても誰も帰らない」と。そんな時に新日本のタイガーマスク(佐山サトル)さんが……実は当時、対談とかしていて仲がよかったんですよね。で、佐山さんに言われたらしいんですよ。「噂に聞いたら、練習もこれぐらいやって、会場に着いてからもギリギリまで練習をして。ご飯を食べる時間もなくて。それでピストルやるんでしょう? バカなんじゃない、おたくの社長?」って(笑)。

#タイガーマスク#tigermask #tigreenmascarado#初代#1sttiger #ミミ萩原

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(玉袋・安藤)(笑)

(玉袋筋太郎)正論!

(安東弘樹)よくこんなひどくなれたな。

(吉田豪)正論なんですけど、当時佐山サトルに「真剣勝負やるなんてバカじゃない?」って言われていたっていう(笑)。佐山さんが後にそっちに行くわけですから。

(玉袋筋太郎)やるんだからね。そうだよね。

(吉田豪)たぶん佐山さん、まだそういうものが興行として成立するってわかってなかったんじゃないかと思うんですよ。

(玉袋筋太郎)でも、まあそれが興行として観客の前でやっていた全女のレベルっていうのがすごいんだろうな。

(吉田豪)佐山さんはだから高い理念を持ってプロレスをそっちに持っていこうとした人ですけど。全女って何の理念もなくそれをやっていたんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)危なっかしい団体だよな(笑)。

(吉田豪)狂っているっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)それは大変だよね。

(吉田豪)限界まで練習して、ボロボロになっているのにリング上では普通にピストルが行われる。ちなみにその時も、男子プロレスの人に噂が広まっていたらしいんですよ。で、1回新日本の若手の人たちが全女で1日練習っていう企画をやったらしいんですよ。そしたら、あの昭和の新日本の選手たちがついてこれなかったっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)ちょっと待てよ! (山本)小鉄イズムが!? 否定かな、こりゃ?

昭和・新日本プロレスの選手が音を上げる練習

(吉田豪)朝練からお昼から全部やって。「これ、毎日やってんの?」って聞かれて、「当たり前です。年間300日」って言ったら、「300日、これやってんの? それで試合も毎日やってんの? バカじゃない、おたくの社長!」って言われたっていう(笑)。それも当たり前だと思っていたという。

(玉袋筋太郎)ねえ。

(安東弘樹)それを乗り越えたんだもんな。

(吉田豪)我々、新日幻想もすごい持っているんですけど。

(玉袋筋太郎)これは全女、すごいな!

(吉田豪)全女、どうかしているっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)おそるべしだよね。そしてこれだよ。その4。押さえ込まれるたびにキス。外国人レスラーの筋ってここがまたいいんだ!

(吉田豪)本当にミミさん、サービス精神のある人で。聞いてもないような話までどんどんしてくれるんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)でも、この外国人レスラーの通訳っていうか。やっていたんだよね?

(吉田豪)そうなんですよ。なぜか外国人係というか、そういうことを。帰国子女だったんで、英語ペラペラなんで。外国人レスラーが来日すると接待的なこともやったりしていたらしいんですよ。契約書にディスコにも行く権利とかが書いてあるらしくて。それに連れていく係。六本木に行って……とかをやっていたんですよね。ただ、昔のミミさんの本を読んだら、たぶんゴーストライターが暴走をしていると思ったんですよ。外人レスラーに対して、ものすごいボロクソに書いていたんですよ。「あいつら、何もできないくせに」とか。と、思ったら、本当にミミさんがそういう感じの人で。外国人レスラー、当時は相当来日していたんですけど、「とにかくみんなめっちゃヘタクソだ。体だけデカくて重くて。力がガッて入っている人は持ち上げやすいんだけど、本当に巨大なタコを持ち上げるような感じでダラーンとしていて。まるで死人を持ち上げるような感じで、ひどい」と。

(玉袋筋太郎)この表現、すげーわかる。「巨大なタコ。ダラーンとした」って。それは重いよ。

(吉田豪)で、「いまはちゃんとできる人が多くていいなと思うけど、当時は本当に受け身ぐらいしかできない人が来て。『技がある』っていうから『なに?』って聞いたら、ただ髪を引っ張るだけだったり。そんなのが送られてきて、私が通訳だったから大変で。ディスコに連れて行ったら三禁さから飲めないのに彼女たちは酔っ払って大暴れして出入り禁止になったり。そういうのをまた止めたりしなきゃいけなくて」と。

(玉袋筋太郎)大変だ。激務だな、おい。

(吉田豪)さらには、新人の時、覆面をかぶっていた時があるんですね。

(安東弘樹)ミミさんが?

(吉田豪)ミミじゃなくて、全然知らない謎の覆面レスラーで、外人の助け役として、ヒールとしてセコンドについてたらしいんですよ。「いまの私だったら、じゃあその分のお金もちょうだいって言うんだけど……」っていうね。要するに、その選手として外人選手がまだ未熟だから、ミミさんがサポートしなきゃいけなかったらしいんですよ。わかんないように、自分の試合が終わった後に覆面をして、英語でいろいろとアピールして。で、「外人レスラーがプロレスできないから、しょうがないから私がリングに上がってマキ上田ちゃんを投げ飛ばしたりとか。見せ場を作らなきゃいけなかったから、イスを持ってきてどうにかヒールの真似をしようと思って。お客さんのイスを振り回したり、マキちゃんをバンバンやったり……」っていう。「そんだけがんばっているのに、しかも外人レスラーはレズビアンが多いんです」っていう。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)「練習の時、私が技を教えてやると、フォールされるたびにキスをされる。それだけでも困るのに、オリンピックに行こうとしていたアマレスの選手がレズビアンだったりとかして。そういう人がピストルでギュッと押さえつけられちゃって。アマレスは徹底してどこを押さえ込めば肩が上がらないか? そればっかり毎日やっているから。全女は基本的に押さえ込みの技術は柔道だから、柔道ならまだ何とかなるだけど、アマレスは本当にどうしようもない。どうしても肩が上がらない」と。で、どうしても肩が上がらない時に唇を奪われるらしいんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)唇か! しかも唇ですよ。

(吉田豪)大変だったっていう。しかも、「こういう人とピストルをやったら、毎日この人が勝っちゃうじゃん」っていうことで、社長に「この人、ピストル駄目だよ」って言ったらしいんですよ。「技もやらないでいきなり押さえ込むからプロレスにならない。その人もすぐに帰されちゃったんだけど、でもだからジャッキー(佐藤)さんとかいろんな人がプロレスを教えても『ミミがいい』って言われて。『お願い。私はやめて』って言っても、『お前がいいって言われてるじゃないか』っていうことで押し付けられて、押さえ込まれるたびにキスをされていた」っていう。

(玉袋筋太郎)最高だな!

(吉田豪)さらには、相当ミミさんのことを好きだったんで、「アイ・ラブ・ユー、ミミ。アイ・ラブ・ユー、ミミ」ばかりになっちゃって、目がハートになって。「今回の試合、ここがいけなかったんだよ」って真剣に話しても、「ウフン、ウフン♪」っていう感じになって。試合でもわからないようにペロペロされたりとか。大概、タッグでフォールするたびにチュッチュチュッチュされて。その人にフォールだけは取られまいと思って、乗られる前に立ち上がっちゃったりして。そうすると、「試合にならない」って相手が怒るんだけど、「あなただって試合にならない!」って。

(安東弘樹)「お前がそうしているんだろう」っていう。

(吉田豪)で、社長に文句を言ったらしいんですよ。「この人、いつもキスするんです。教える時はまだ百歩譲って我慢しますけど、試合中は我慢できません。嫌です!」って言ったら社長が「面白いじゃん」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)出た!(笑)。

(吉田豪)「なにが面白いんですか?」って言ったら、「お前が逃げ惑っている格好が面白い」っていう。「いや、絶対よくないです。逃げているだけですから。プロレスじゃないです!」「いいんだよ、お客さんが喜ぶから」っていうね(笑)。全女イズムです、これ。

(玉袋筋太郎)ねえ。まあ、そういったエピソードもいまは笑って話せるっていうことだね。うん。そうだよ。で、いまなら弁護士だね。給料1万円の筋だよ。

(安東弘樹)1日1万円。

(吉田豪)そうですね。87連敗をしたミミさんが81年2月に横浜文化体育館でジャガー横田さんがジャッキー佐藤さんに勝って、ミミさんが池下ユミさんに勝ってチャンピオンになったことがあるんですけど。それで世代交代して。これもやっぱり全女おそるべしで。これも要するに、ピストルで世代交代しているわけですよ。

(玉袋筋太郎)ピストルなんだ、これも。

(吉田豪)そうなんですよ。で、聞いたら「だって数ヶ月後に全員辞めちゃったもんね。みんなプライドが高くて、みんな不服だったんで。私の時はレフェリーが反対側にいて、わかんなかったみたいで。たぶん肩が上がっていたんだと思う。私も勝った瞬間に『えっ、なんで? いま肩上がってなかった?』って思ったけど、レフェリーは絶対で。だから今度はしっかり納得できるように『リターンマッチをお願いします』って言ったら、『誰がするか! レフェリーと話がついていたんだろう? レフェリーはお前のことを気に入ってたんだろう?』とか言われて。彼女は辞めていっちゃった」という。

(玉袋筋太郎)なるほどね。

(吉田豪)で、「その時が給料が1日1万円。一千万円興行で1万円ですよ。しかも保険に入れない。当たり前のようにケガするから」っていうね。でマックスで年収が一千万円ぐらいだったって言っているんですよね。あれだけスターで歌も出して、地上波で中継もやって。

(安東弘樹)ミミさん自身が。

(吉田豪)で、当時デパートの上で歌ったりサイン会したりで時間を取られて。自分の試合ギリギリまであっちに行ったりこっちに行ったり。レコード屋さんに行ったり。会場に行ったら玄関でライオネス飛鳥が待っていて。「今日は私、誰と?」って聞くと、「ミミさん疲れているだろうから、最後の6人タッグです。でも、その前に歌があるから早く着替えてください」って言われて、化粧してドレス着て歌って。その後にサイン会をやって。「水着に着替えてください」って言われて……みたいな。そんなことをやっていたからどんどん筋肉が落ちちゃって。で、ミミさんが歌を嫌がっていたっていう話があって、歌が好きな人なのになんでだろう?って思っていたら、要するにこういうことだった。練習も全然できない。

(安東弘樹)できないですね。

(玉袋筋太郎)たしかにな。いやー、すごいよ。

(吉田豪)フジテレビは、前もちょっとこの番組で言ったと思いますけども、誰かが歌わなければいけない契約だったんですよね。

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(安東弘樹)それありきなんですね。

(吉田豪)そうなんですよ。そこから始まっているんでっていう。ところがミミさんは「私は何も契約した覚えがない。印税も一切入っていないし。弁護士を雇えばよかった」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)そっからなんだね。弁護士。

(安東弘樹)印税一切なしですか?

(吉田豪)一切。グッズのお金も全然入っていない。

(安東弘樹)全くなし? すげー話だな!

(吉田豪)「でも、楽しかった」っていう(笑)。

(安東弘樹)「でも、楽しかった」……洗脳かな(笑)。

(玉袋筋太郎)まだ解けてねえな(笑)。さあ、そしてジャガー横田との友情。ミミ萩原のプロレス観の筋。

(吉田豪)そうなんですよね。ジャガーさんと同期ですごい仲がよくて。「ジャガーさんはいつも私のことをかばってくれていた。いちばん信用もしてくれて」って。芸能界上がりだからってことで上の人のすごいいじめられていたらしいんですよ。変な噂をいっぱい立てられたりとかしてって。たとえば、弱いからこそとすごい練習をしていた人なんで。1人で練習をしていると松永ファミリーの奥さんがだいたい元レスラーなんで、それを見ていて「ミミちゃん、この技はこうやった方がいいんじゃない?」とかアドバイスをしてくれて。ロープからのニードロップとか技も教えてくれて。みんなが知らない時に1人で黙々と練習をして、それを毎日見ていてかわいそうに思って助言してくれたのに、「奥さんたちを丸めこんだ。芸能界出身だからそういうの、上手いんだね」って言われて。そのいじめが始まって。それをジャガーさんが守ってくれたという。

(玉袋筋太郎)いいねえ!

(安東弘樹)すげーな。そう取られるんだね。

(吉田豪)ジャガーさんとは毎日競争して腕立て伏せとかして。ミミさんが1回でも多くやると、ジャガーさんが寝ているのにまた起きて2回やったりとか。「また私がやって『おやすみ』って言うと、『なに、あんたまたやってんだよ!』って言ってジャガーさんがやる」みたいな感じで。

(玉袋筋太郎)いいねえ!

(吉田豪)「だから、2人がチャンピオンになれたんですよ。ハングリー精神が似ている」という。で、僕、いろんな選手に取材したらミミさんは「私はいじめをやらないようにしようと思った」って言っている記事があって、たしかにそういう証言があるんですね。「ミミさんはとにかくいじめも何もしなくて、すごくいい先輩だった」っていう。って言ったら、「本当にそうなんですよ。いじめがあると私は許さない。自分がやられたから、そういうのは全くしないようにしたんだけど、私が辞めた後でまたいじめが始まった。クラッシュギャルズから始まって、リングで何かあるとすぐにひっぱたいたりする。ああいうの、大嫌い! なんでひっぱたいてから物が始まらなきゃいけないんだ? 本当にやるんだったら1回でバーンと出したらどうだって。レスリングなんだし」っていうね。

(玉袋筋太郎)かっけー!

(吉田豪)かっこいいんですよ。「それと、自分たちで過去の栄光を忘れられないのか、たまに少しのお客様だけを入れて試合をやっちゃうのはちょっと……あの時に引退したらそのままでいいのに、なんでみんなリングに戻るの? 栄光なんて過去のものは取り戻せないんだから、違うビジネスで成功しないとダメですよ。狭い世界で趣味でやっているのかな? お金かかる趣味だな」っていうね。

(玉袋筋太郎)うわーっ! 教祖様! ミミ様!

(安東弘樹)あ、入った人がいる(笑)。

(玉袋筋太郎)入った、俺! 入信だ、こりゃ。

(吉田豪)いや、いまだにいろんなビジネスをやって。超前向きなんですよ。ビットコイン絡みのビジネスとか、いろんなことをやっているんですよ。

(玉袋筋太郎)ビットコインもやってんだよね! これ、ねえ。

(安東弘樹)幅広いですね。視野が広いですね。本当に。

(吉田豪)そうです、そうです。

(玉袋筋太郎)そして、松永ファミリーをどう思っているか? だよな。

ミミ萩原と松永ファミリー

(吉田豪)そうなんですよ。だってこれだけ弁護士にね……「いまだったら訴える」とか言っている人が、弁護士案件になりそうなことばっかりをやってきたファミリーなわけですよ。

(玉袋筋太郎)そうでしょう?

(吉田豪)「どう思っているんですか?」って聞いたら、「面白い方たちでしたね。人間的には本当にとってもいい方たち。スポーツも一生懸命やって、ヤクザも震え上がるぐらいだし。お料理も上手だし、家族思いだし。ただ、もっと選手のことを思ってくれたらよかった。そしたらあんなにはならなかっただろうな。私は社長もコーチも好きでしたし、兄弟みんな大好きでしたよ。とってもユニーク」っていうね。

(玉袋筋太郎)おおーっ。

(吉田豪)ポジティブ(笑)。

(安東弘樹)ポジティブですね!

(玉袋筋太郎)ねえ。これはすごいよな。

(吉田豪)で、ビューティー・ペアが要は敗者引退マッチをやって。マキさんが引退して。で、ジャッキーさんまでいなくなって。で、「うちらで色を変えたい」って言ったら「なにか歌えるか?」って言われて。「外国の曲、これだったら歌えるかな」って、自分が見繕ったちょっとかっこいい服で歌って。自分で振り付けをやったらお客さんが大喜びして。それで毎日歌うようになって、フジテレビの人が見て「これいいね」っていうことで、レコードを出すことになった。

(玉袋筋太郎)おおーっ!

(吉田豪)ビューティー・ペアとクラッシュギャルズの合間を支えたのは明らかにミミさんで。

(玉袋筋太郎)そう! ミミさんだよね。本当なんだよ。そこは、がんばっていたもんね。

(吉田豪)体の張り方がすごくて。本当にその時に水着はずっと白だったんだけど、夏だと野外の時に土砂降りでもやっていたから、白い水着が泥だらけになっちゃって。洗っても洗っても落ちない。そんな時にデパートに見に行ったら革のビキニがあって。防水だったんで「社長、私ビキニ着る」って言って。そしたら社長が喜んで「胸出してもいいから! ポロッとなってもいいから心配するな!」って言われて。

(玉袋筋太郎)昭和だなあ。水泳大会だな、おい。

(吉田豪)で、試合に出てガウンを取った瞬間、みんな大歓声で。いや、すごいのを着てましたからね。当時ね。横から見たらもう全裸みたいな。


(玉袋筋太郎)そうそうそう。

(吉田豪)で、だから「お前、そういうのいっぱい買え!」って言われて。何回も何回もそれで受け身を取っているうちに横の鎖がパチーン!って取れてお尻が出ちゃって、ギャー! みたいな。

(玉袋筋太郎)いや、だから世話になったんだよ、俺は。俺ら世代は。

(吉田豪)当時もうね、ミミさんを触るために会場に行く人が山ほどいたみたいで。

(玉袋筋太郎)ひどいよね、あの話もね。

(安東弘樹)ああ、「触る」って通路とかでガーッと触る。

(吉田豪)痴漢が山ほどいた時代なんですよ。

(玉袋筋太郎)だけどあれだよね。ミミさんがジャッキー佐藤VS神取忍のあの試合を見てちょっと嫌な思いをしたとかさ。ああいうのもよかったね。

(吉田豪)この本は結構そのジャッキー・神取戦とか女子プロ界で明らかに一歩踏み越えちゃった試合をいろいろ検証しているんですけど、それの裏話もいろんな人が話していて面白いですね。

(玉袋筋太郎)ねえ。どれが真実なんだろうな。

(吉田豪)ナンシー久美さんという方がいるんですけど。そのジャッキー・神取戦の時に実は会場に行っていて。「私、ジャッキーにおでんを差し入れたんですよ」って言っていて。そんなピリピリする、その日は確実に何かが起きると言われている試合の控室におでんを差し入れて。で、「ちゃんと容器は洗って返してね!」って言って。そしたら、あんな試合になっちゃって。「どうしよう?」と思いながらも、「容器を返して」って言いに行ったっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)なんだよ、それ!(笑)。

(安東弘樹)行ったんですね(笑)。

(吉田豪)行ったんです(笑)。

(玉袋筋太郎)で、ミミさんはいま何をやっているのか?っていうと、新しいハワイのリゾートを開発したりとか。

(吉田豪)いろんなことをやったりしながら、でもやっぱり広島のレストランやっているのが、本当に美味しいんですよ。

(玉袋筋太郎)ああ、そうなんだ。

(吉田豪)おすすめです。超美味しかった。

(玉袋筋太郎)行ってみよう。映画『カリフォルニア・ドールズ』の話もね、したかったけど。まあしょうがない。これは本を読んでいただきましょう。

(吉田豪)いい話ですよ。

(玉袋筋太郎)最高ですよ!

(安東弘樹)6月30日発売、『吉田豪の”最狂”全女伝説』にミミ萩原さんのインタビューが掲載されています。ぜひ手にとってくださいね。月刊BUBKAでの人気連載が単行本にまとまっています。長与千種さん、ダンプ松本さん、ブル中野さんなどの証言を収録。白夜書房から税込み1700円で発売中。全国書店ほか、ネット書店でもお買い求めいただけます。

(玉袋筋太郎)グリズリー岩本は載ってねえのか?

(吉田豪)実は取材対象ではあったんですけど、ちょっといま取材できないみたいな。

(玉袋筋太郎)そうなんだね。いや、でもそれでも十分すぎるよ!

(吉田豪)全女がいかに狂った団体だったのか。プロレス、すげえ!って思う本ですよ。本当に。

(玉袋筋太郎)すごいんだよね。プロレス、そう。もうリスペクトだから。俺。

(安東弘樹)読み始めたら止まりません。さあ、吉田豪さん、次回の登場は8月4日です。ありがとうございました!

(吉田豪)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

吉田豪と河北麻友子 芸能界モテ男列伝を語る

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吉田豪さんがJ-WAVE『AVALON』にゲスト出演。河北麻友子さん、8.6秒バズーカさんらと芸能界のモテ男伝説について話していました。


(河北麻友子)さて、さっそく吉田さん、NEW GENERATIONに教えてあげたい芸能界のモテ伝説を。

(吉田豪)教えていいのかな?

(河北麻友子)はい。いろいろありますよね。聞きたいです!

(はまやねん)僕のモテ自慢より興味ありますよ。

(河北麻友子)うん、間違いない(笑)。

(はまやねん)「間違いない」(笑)。

完全にどうかしていた昭和芸能界

(吉田豪)昔は完全にどうかしていたんですよ。たぶんモテることがキャラになるのって、いまはあんまり無いと思うんですよ。石田純一さんぐらいが最後で。

(河北麻友子)たしかに、たしかに。

(吉田豪)モテがプラスにならなくなっていると思うんですけど。昔はヤリまくることが売りになっていたんですよ。

(河北麻友子)言い方ね。言い方、気をつけてください(笑)。

(吉田豪)まあ「千人斬り」みたいな言い方をよくしていたんですけど、それを映画会社とかがセットになって売り出しのために使っていたような時代だったんですよ。「この人はそれぐらいモテるんですよ」みたいな。

(河北麻友子)へー! でも、そうですよね。「芸の肥やし」みたいに言いますもんね。

(吉田豪)だからそんな感じで僕もいろんな人から直接聞いたりとかしているので、そういうのを紹介して行きましょうか。

(ホビー)直接聞いているっていうのがいいですよね。こういう話って噂程度でしか耳にしないですから。インタビューの方の生の意見っていうのが。

(河北麻友子)ねえ。聞きたいです。ぜひお願いします。

(吉田豪)じゃあ、モテ伝説1人目ですけども。僕、5年前にインタビューしたベテラン俳優の宍戸錠さんという方がいるんですよ。超かっこいいんですけども。

(河北麻友子)はいはい。かっこいいですよね。

経験人数世界第3位 宍戸錠

(吉田豪)5年前に取材した時点で、まあヤッた人数の自慢から始まりましたからね。「俺は世界3位だ」っていう話をしていて。俳優の中で。謎なんですけどね。宍戸錠さん曰くなんですけど、「世界1位、ウォーレン・ベイティが1万2775人で……」。

(河北麻友子)ええーっ? おかしくない?(笑)。

(吉田豪)わかんないですよ。「……世界2位がチャーリー・シーンの5000人で、世界3位が俺で1331人だ」って言っていて、多かったんですけども。それから5年たっていま、1336人に増えていたんですよ(笑)。

(河北麻友子)ええっ? それ、いいんですか?

(吉田豪)まだカウントがちょっとアップっていう(笑)。

(ホビー)生々しいですね(笑)。

(河北麻友子)すごいね(笑)。でも、かっこいいもん。なんか歳関係なく、男から見てもかっこよくないですか?

(吉田豪)かっこいいです。78の時点で、取材がもうお酒を飲んでいるんですよ。ポケット瓶で飲み始めて。で、いまだにとにかく若い子と知り合いたくてディスコに行っているとか、ナンパしているとか。

(ホビー)止まんないんでしょうね。

(吉田豪)全然止まらないんですよ。

(河北麻友子)すごい! 元気ですね。

(ホビー)クラブ行ってね、宍戸錠さんにナンパされたら、女の子もどうしたらいいかわかんないでしょうね?

(吉田豪)若い子にどれだけ伝わるか?っていう話ですよ。その悔しいをずっと言っていたんですよ。「どうしても同世代ばっかり。それぐらいしか行けなくて。下に行きたいんだよ」っていうね。NEW GENERATIONに届きたかったっていうね。

(ホビー)ダンディな方ですから。知らない人でも、きっとね。

(吉田豪)で、インタビューの後半。ずーっとそういう話をし続けた後に僕の目を見ながら、「おい、俺と寝たくなってきただろ?」って……(笑)。

(一同)(笑)

(河北麻友子)すごい! 男性にまで(笑)。

(吉田豪)「なんだ、それ?」っていう(笑)。「まだ実は、男とはヤッてないんですけど、興味がある」っていう話で。

(河北麻友子)女性に飽きたぐらい、もういろいろと経験しているんでしょうね。うん。

(ホビー)「抱かれたくなってきただろう?」っていいですね(笑)。

(河北麻友子)すごい。言われたいね(笑)。

(吉田豪)そんな気、しますよ。ホテルの一室でずっとそういって話されたら。「いいかも?」っていう気になりますね(笑)。

(河北麻友子)はい。続いてお願いしていいですか?

(吉田豪)ちょっと僕、タレント本のコレクターでもあって。意外な人がモテキャラだったりするというのがあって。それをひとつ。コント赤信号の渡辺正行さん。リーダー。リーダーは実は昔、モテキャラだったんですよ。

(河北麻友子)へー! モテキャラな感じ、しない。

意外なモテキャラ 渡辺正行

(吉田豪)まあ、大物のタレントさんと付き合ったりとかしていたのが、それが関係していたとは思うんですけど、なぜかそういう本を何冊も出していて。『男を奮い立たせるいい女講座』みたいな本を出していたりとか。

(ホビー)ええっ? リーダーってそういう感じだったんですか?

(吉田豪)もう、キメキメですよ。「俺がモテ方を教えてやる」みたいなタイプだったんですけど、ちょっと最悪な本が1冊ありまして。これ、たぶんFMでは読めないんですけど。まあ、ひどいんですよ……。

(河北麻友子)なに、これ?

(ホビー)いま実際に本を見せてもらっているんですけど……。


(河北麻友子)ちょっとすごいですよね……。

(吉田豪)ちょっと、ねえ。考えられないような本を普通に出していたという。女体の神秘について書いていた……。

(河北麻友子)ちょっと、ショック。

(ホビー)イメージ、ないですよ。

(河北麻友子)うん。優しい感じのイメージだから。

(ホビー)ラ・ママのネタ見せで会う感じと全然違うんですけど。

(吉田豪)昔はこっちだったんですよ。

(河北麻友子)へー! 意外。

(吉田豪)意外な人が……実は僕、タレント本のコレクターなので。意外な人が……ちょっとサラッと言いますけども、NEW GENERATIONに全く届かないベテランの演歌歌手で村田英雄さんという方がいたんですけど。大ベテラン。昔は、どういうことかというと亡くなる直前に出す本というのが「いまだから話す女性交友談義」みたいな感じで(笑)。

(河北麻友子)へー!

(吉田豪)昔、どういう人と交際してきたとか、初体験がいくつだとか、全部自分で暴露して。

(河北麻友子)それ、暴露されて残された方、困りますけどね。

(吉田豪)まあでも、だいたい亡くなっているだろうみたいな感じで(笑)。で、いい話が女性問題でなぜ週刊誌沙汰にならなかったのかというのを書いていて。知りたいじゃないですか。

(はまやねん)えっ、読みます。

(吉田豪)「隠すから週刊誌沙汰になる」っていう、この人はそういうルールで。全員紹介したらしいんですよ。「いい女だからマスコミにも紹介してあげたい」って記者を連れて行って。「そこまで会わせたら逆に報道できなくなるんだよね」って書いているんですけど(笑)。まあ、時代が違いますけどね。

(河北麻友子)いまは絶対通用しない(笑)。

(吉田豪)昔はそういう感じだったっていうね。

(ホビー)時代ですよね。

(河北麻友子)時代ですね。

(ホビー)それこそいまなんかSNSがあるから、隠したってバレちゃいますし。こんな本が出ちゃう時代っていうのがすごいですよね。

(吉田豪)なんか意外な人が。本当に僕がこういうタレント本を好きになったきっかけっていうのは、「なんでこの人がこんな女自慢をしているんだろう?」みたいな本が多いんですよ。たとえばガッツ石松さん。

(河北麻友子)えっ?

(吉田豪)『男・石松のガッツエンターテイメント』っていう本があるんですけど。


(河北麻友子)そういう感じじゃない。

(吉田豪)あるんですよ。第5章「英雄色を好む」って、丸々そういう話だけで終わっています。

(河北麻友子)へー!

(吉田豪)丸々です。初体験は小学校5年の時(笑)。

(ホビー)ええーっ、ガッツさん!

(河北麻友子)全然興味ないんだけどー。

(吉田豪)興味ないですよね(笑)。NEW GENERATION、絶対に興味ないはずなんですよ(笑)。

(河北麻友子)全然興味ない。ガッツさんの、全然いいわー。

(ホビー)なんか「OK牧場」とかもちょっとエロく聞こえてきちゃう……。

(吉田豪)ただ、ちょっとアレだなと思うのが、「日本全国のソープを制覇」とか、だんだん話が……(笑)。

(河北麻友子)なんの話ですか?

(吉田豪)モテ自慢じゃないだろ!っていう感じで。

(河北麻友子)それはモテてるのとまた違いますよね?

(吉田豪)最終的には「世界の女 味比べ」っていう、いま国際問題になりそうなタイトルが(笑)。

(河北麻友子)たしかに。昔だからこそ出せたという。

(吉田豪)で、読んでみたら謎が解けるんですよ。さっきの日本全国のソープを制覇みたいな。海外でも、恋愛ではないです。

(河北麻友子)ああ、なるほど。いろいろとそういうお店に行くという?

(吉田豪)当時、異常なんですよ。本当にいろんな人が平気でそういうことを本にしていたんですよ。

(ホビー)昔の人ってスケベな人が多かったんですかね?

(吉田豪)スケベをオープンにしていたんですね。

(河北麻友子)だからみんなスケベだけど、それを言うか言わないかですよね。

(吉田豪)言っても問題にならない時代だったというか。これなんていま、ちゃんとした政治評論家としてやっている竹村健一さんという方がいらっしゃるんですけど。あの人が『世界の女は俺の手に』っていう本を出していて。これも気になるから読んだら、同じパターンですよ。全部あの、売買です(笑)。

(河北麻友子)なるほど(笑)。

(ホビー)全部内容はだいたい同じなんですね。

(吉田豪)怒られますよ。いまそんな本を出したら。政治評論家が。

(河北麻友子)たしかに。間違いない。

(ホビー)偉そうにいま政治を評論している人なんですから。『日本男児海を行く』じゃないですよ! サブタイトル(笑)。

(吉田豪)全く読めないですけど、こんな本を出していますからね。

(ホビー)ええっ?……もう読めないですね。これはね。みなさん黙読するしかない。メインタイトル、サブタイトル、両方読めないですよ。

(吉田豪)昭和は異常でした。

(河北麻友子)(笑)

(ホビー)昔の芸能界ってやっぱりすごいんですね。

(河北麻友子)ねえ。面白いですね。

(ホビー)いかがでした? みなさん、ここまで聞いて。

(河北麻友子)いやー、すごくない?

(はまやねん)いまが厳しすぎますよね。そう考えると。

(河北麻友子)まあ、たしかにね。

(吉田豪)みんなそう言いますよね。やっぱりベテラン俳優さんが亡くなられる直前とか、よくインタビューするんですけど。やっぱりみなさんそういうことを言っていますよ。「かわいそうだ」っていう風に。

(河北麻友子)たしかにね。

(ホビー)もうちょいユルくてもいいのになとは思いますよね。みなさん。

(河北麻友子)どうなんでしょうね。

(はまやねん)まあ、僕は結婚したんで遊びたいとは思わないですけど。

(吉田豪)(笑)

(ホビー)いちばん強い守りに入りましたよ。

(河北麻友子)ズルいね。いま全部持っていきましたよ。

(田中シングル)いちばん胡散臭い言葉や(笑)。

(ホビー)いやー、すごいですよ。芸能界モテ伝説。実は吉田さんのこの芸能界モテ伝説、これまだまだ言い足りない伝説があるということなので。この後も延長線おかわりタイムに突入でございます!

(河北麻友子)いいですねー。じゃあ8.6秒バズーカさんはありがとうございました(笑)。

(はまやねん)聞きたいんで。出たとしても、そこにいますよ(笑)。

(河北麻友子)わかりました。じゃあ、いてもいいですよ(笑)。

(はまやねん)ありがとうございます!

(中略)

(ホビー)今夜のテーマは「聞いてください、私のモテ自慢」ということで8.6秒バズーカのはまやねんさんと田中シングルさん、そしてプロインタビュアーの吉田豪さんにお越しいただいております。ここからは吉田豪さんプレゼンツ、芸能界豪快モテ伝説おかわりタイム突入です!

(河北麻友子)イエーイ! さあ、それでは最近の芸能界で吉田さんが知っているモテ伝説を知りたいんですけど。名前を全然言っていただいてもいいですし。イニシャルでもいいです(笑)。

(ホビー)言えるんですかね?

(吉田豪)言うと問題になりますよ(笑)。

(河北麻友子)あの、全然イニシャルでもいいんですけど、教えていただきたいです。

最近の若手俳優モテ伝説

(吉田豪)イニシャルでもいいなら……じゃあ最近の俳優さんでFさんという方が相当モテてらっしゃると。ちょっと有名なんですよ。15、6才でもう100人斬りいったみたいな。

(河北麻友子)ええっ? 15、6才で?

(吉田豪)最近の人なんですけど。だから、「現代の松方弘樹」ぐらいに言われている人で。松方弘樹さんは千人斬りで有名なんですけども。(その人も)1000行った説があるぐらいの人です。で、それぐらい行った結果、「美人に飽きた」っていう説があって。あまりかわいくない方と男に行ったっていう……。

(河北麻友子)ええっ?

(はまやねん)わおっ! 男、行きました?

(吉田豪)「ごちそう食べ飽きた」っていう(笑)。

(河北麻友子)だからイケメンは結局そうなんですよ。宍戸さんにしてもそうじゃないですか。やっぱりいろいろと、全部見てきて、行くところまで行って。

(はまやねん)「白米が逆に超美味い」みたいなことなんですかね?(笑)。

(吉田豪)おかずなしでも、いいコメがっていう(笑)。

(河北麻友子)すっごいですね!

(ホビー)現代にもいるんですね。だからそういう人が。

(吉田豪)ただ、そういうことをキャッチ・フレーズとかには使わなくなったっていうことですね。

(河北麻友子)なるほどね。

(はまやねん)全く押し出してはいないですよね。

(河北麻友子)でも、私たちが知らないところでは変わっていないということですね(笑)。それを前面的には出さないけど。まあ、華やかな世界ですからね。

(はまやねん)夢、ありますわ。売れてー!

(河北麻友子)いや、売れたところで……でしょう?(笑)。

(はまやねん)俺、白ごはんの味、再確認したいわ(笑)。

(河北麻友子)再確認できませーん(笑)。いやー、すごすぎますねー。

(吉田豪)芸人さんとかもまあね、いっぱいありますからね。

(はまやねん)ええっ? 芸人はいちばんないでしょう?

(吉田豪)ありますよー。

(はまやねん)いちばんクリーンな。人を笑わせたいという。

(河北麻友子)よく言うわ!

(吉田豪)これは全く名前を……イニシャルも出せないですけど、超大物のいい話があって。結婚をされた後、奥さんが掃除をされているとノートが出てきて。見たら、それまでのいろいろあった女性の名前と……みたいなものが全部リストアップされていて。

(河北麻友子)えっ……その人、嫌じゃない? えっ?

(吉田豪)かつて、ジェームス三木さんがやっていたのと同じようなことを現代でもやっている人がいたという。そしてそれが奥さんにバレた。

(河北麻友子)っていうかさ、それなんで書くの? なんの意味なの、その本は?

(ホビー)だからいつか、こういう自叙伝みたいなのを……。

(河北麻友子)出したいの?

(はまやねん)名前出すんですか、そこで?(笑)。

(河北麻友子)また再確認するのかな?

(ホビー)やっぱり経験した自分のことを書き留めておいて、後世に残したいっていうのがあるのかもしれないですね。

(河北麻友子)いや、それは嫌だな。

(はまやねん)って言いながら、「芸人さん」って言われたら、先輩やしな。

(吉田豪)超大物ですよ(笑)。

(河北麻友子)たしかに。超大物なんだ。

(はまやねん)あんなしゃべらんとこう……。

(ホビー)いつかどこかでお会いした時に。

(河北麻友子)嫌だ、嫌だ。そんな人、絶対に嫌だ。

(吉田豪)嫌ですよね。そりゃあ。

(河北麻友子)そりゃあちょっと心に……か、ちょっと番号とかでいいんじゃない?

(吉田豪)名前を書くんじゃなくてね。

(河北麻友子)リストみたいな感じで毎回更新するたびに、「100」から「101」みたいな感じで、番号。数字だけだったらまだいいんじゃないですか?

(ホビー)名前っていうのは奥さん、びっくりしたでしょうね。

(河北麻友子)嫌だ、嫌だ。その人の名前、絶対に夢に出てきちゃいそう。

(はまやねん)有名人とかいたらね。

(吉田豪)CM中にこっそりと名前を教えて差し上げます。

(河北麻友子)やったー(笑)。

(ホビー)ありがとうございます! 楽しいですね。でも楽しい時間が終わってしまうということで。最後にみなさん、告知などがあれば……。

<書き起こしおわり>

吉田豪と玉袋筋太郎 ダイノジ大谷ノブ彦を語る

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吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でダイノジの大谷ノブ彦さんについて、玉袋筋太郎さん、安東弘樹さんとともに話していました。



(安東弘樹)さあ、このコーナーでは豪さんがこれまでインタビューしてきた一筋縄ではいかない有名人の様々なその筋の話を聞いていきます。今日、豪さんに紹介してもらうのはお笑いコンビダイノジの大谷ノブ彦さんです。まずは大谷さんのあらすじとその筋をご紹介します。1972年・山口県生まれ、大分県育ち。中学生時代に現在の相方である大地洋輔さんと出会い、お互いにコサキンのリスナーであったことから意気投合。1994年に吉本興業のオーディションに合格し、コンビを結成します。コンビとしては2002年にM-1の決勝に進出。結果は8位に終わります。さらに、2005年からDJとしての活動を開始。2013年頃からはコンビではなくラジオDJとして『オールナイトニッポン』や『大谷ノブ彦キキマス!』などを担当します。

(玉袋筋太郎)やってた、やってた。

(安東弘樹)そして、吉田豪さんの取材による大谷ノブ彦さんのその筋は……その1、「たけしさんが嫌いなの、なんだっけ? 熱いやつだ!」の筋。その2、「そうだ、突っ込みはこいつらでいいじゃん」の筋。その3、嫌われ者と共鳴の筋。その4、星座ができる! 嫌われの銀河軍団の筋。その5、みんなが突っ込める、悪気ない男の筋。その6、励ました覚えはない。無邪気に笑っていたの筋。その7、「そんなこと言っていたっけな? 俺、知らねえよ」の筋。以上、7本の筋です。

(玉袋筋太郎)うん、ねえ。

(安東弘樹)これ、いっぱいありますね。

(玉袋筋太郎)いっぱいあるね、筋が。大谷は。

(安東弘樹)どういう人なんですか? これだけ見ると全然つかみどころがないというか。

(吉田豪)ざっくり言うと、こんだけ芸人の間で嫌われている人は珍しいぐらいの(笑)。よく言う人が本当にいない、珍しいタイプですね。

(玉袋筋太郎)いないよね。うん。

(安東弘樹)あの、我々が出たトークショーでもその話で盛り上がっていましたね。

(吉田豪)そうなんですよ。

(玉袋筋太郎)そうそうそう。なんなんだろうね、彼は。

(吉田豪)なかなかあそこまでの人はいない……僕は全然嫌いじゃないんですけど。僕はむしろ、「一回りしてすごい面白い! 大好き!」っていうタイプで。

(玉袋筋太郎)ああ、一周しちゃったわけね。

一回りしてすごい面白い

(吉田豪)実は今日も、だからアイドルフェス(TIF)に大谷さんが出ていたんで、一言挨拶しに行って。で、相方の大地さんというのがまた、僕が大谷さんをいじるのが大好きなんですよ。「豪さん、今日すごい楽しみにしてますよ!」って(笑)。「やっちゃってください!」みたいに、すごい喜んでいたんですけど(笑)。大谷さんは当然なにも知らなくて。「えっ、今日なんかそんなことするの!?」みたいな感じで全然わかっていないんですけど。まあ……。

(玉袋筋太郎)なんか、うちの相棒(水道橋博士)ともトラブルがあったもんね。

(吉田豪)燃えましたね。去年ですかね。絶縁ぐらいになってましたね。

(玉袋筋太郎)そうそうそう。

(吉田豪)ガチモメしています。いや、すごい人なんですよ。だから昔、大谷さんが最初の本を出した時に博士に帯文をたのんだんですよ。で、博士が帯文を書くじゃないですか。博士、業界的にも大先輩じゃないですか。大谷さんってすごい人なのが、当時ペーペーなんですけど、勝手に書き直すんですよ。

(玉袋筋太郎)それはねえだろっていう話だよ。

(安東弘樹)内容を?

(吉田豪)本人に許可取らないで、より褒めている感じで書き直して。で、博士が激怒して、その頃も絶縁状態が何年かあって。

(玉袋筋太郎)だってうちの相棒、驚いていたもん。本当に。「そういうことするやつ、いるんだ!」っつってさ。普通に驚いていたよ。

(安東弘樹)並んだわけですね。本屋さんに。

(吉田豪)そういう人なんですよ。わかりやすく言うと(笑)。

(安東弘樹)いまのでだいたいわかりました(笑)。

(玉袋筋太郎)そういうことなんだな、うん。

(吉田豪)で、このインタビュー自体は結構前にやったんですけど、実は当時、この『たまむすび』の裏番組を去年の春まで担当していた関係で、当時できなかったんですよ。今、ようやく伸び伸びと話そうという感じで。

(玉袋筋太郎)なるほど。じゃあ、その1から行ってみるか?

(安東弘樹)そうですね。まず、「たけしさんが嫌いなものはなんだっけ? 熱いやつだ」の筋。

(吉田豪)そうですね。そもそも『お笑いラジオの時間』っていう本で僕、取材を頼まれたんですけど。実はそれも最初に1回、大谷さんのインタビューを編集サイドがやっていたんですよ。そしたら、編集サイドが反省していたんですよね。「いじりきれなかった。大谷さんがなかなか突っ込ませないような空気を出していたんで、これね、吉田さんにガチでやってほしいんですよ」って言われて(笑)。「ガチを仕掛けてください」っていうオファーが来て、僕が仕掛けに行くっていう企画だったんですよ。

(玉袋筋太郎)うんうんうん。

(吉田豪)ただ、ここ何年かで大谷さんは実は突っ込みをちゃんと受ける、いじられる側になってきて。昔はいじられるのがいちばん苦手で、20年間ずっと逃げ続けた人だったのが、受け身を取るようになってきたんですよ。昔は全然いじらせなかったのが、『オールナイトニッポン』が始まる時に「いじられなかったから俺はもう無理だろうな」と思ったと。「そもそも始まる時にビートたけしさん風とか明石家さんまさん風にやっても、その人たちの1/10にも満たない。むしろ、たけしさんがいちばん嫌いだったものはなんだっけ?って考えた時に『熱いやつ』という。当時で言えばドリアン助川さん、石川よしひろさんとか辻仁成さんとか。ああいう側をやった方が浮くし、そこが隙間だということを考えてやったら、そっちがスラスラできてハマッてそっち側の人間だということがわかった」と。

(玉袋筋太郎)一応じゃあ、戦略は立てたんだね。

(吉田豪)戦略は立てているんですけど、でも、この人はだから本当に計算というか自覚がないじゃないですか。だから、たけしさんのオールナイトが大好きで、「高田文夫先生と絡めて本当に幸せだ」とか言っているんですけど、高田文夫先生にもしくじったりしているんですけど、それも自覚がないんですよね。

(玉袋筋太郎)ああー、ないのか。

(吉田豪)高田文夫先生に対して、「ビートたけしのとっておきの話、僕が教えてあげますよ」的な話をし始めちゃうんで。「はあ?」ってなるじゃないですか。

(玉袋筋太郎)だからやっぱり信じられないことを言ってくるんだな。

(吉田豪)そう。そういうモードで語っちゃうんですよ。

(安東弘樹)すごくわかってきました。はい。

(玉袋筋太郎)わかってきた。うん。

(吉田豪)で、その時に大谷さんが開発したのがまずリスナーに「ボス」と言わせるということだったんですよ。

自分のことを「ボス」と呼ばせる

東野幸治 ダイノジ大谷ノブ彦を『ボス』と呼ぶ
東野幸治さんがニッポン放送『ダイノジ大谷のオールナイトニッポン』にゲスト出演。リスナーに自分のことを『ボス』と呼ばせている大谷さんに対してこのように話してました。 (...

(玉袋筋太郎)ボスなんだ。うん。ボスの器だったのかな?

(吉田豪)これがだからどういうことか?っていうと、まずだから辻仁成さんのラジオを聞いたらハガキのことを「カード」と言っていた。で、それが面白かったと。でも、カードは恥ずかしくて言えなくて、辻さん、やっぱりすげえなとか言っていたんですけど。これがちょうど、そのインタビューが終わった時に一緒にいた編集者が言っていたんですよ。「大変なことがわかりました」みたいな。終わった後で。「さっき、言っていたじゃないですか。『(辻仁成が)ハガキのことをカードって言っていたのを僕が聞いた』みたいなこと。あれ、前回のインタビューで僕が言った話なんですよ」っていう。

(玉袋筋太郎)おおっ!

(吉田豪)それを自分がラジオを聞いた風にして、自分のエピソードとして語っていて……という。それをインタビュー記事のオチに使ったんですけど(笑)。そういう人なんですよ、本当に(笑)。


(玉袋筋太郎)おおっ、面白えな、おい!

(吉田豪)常に(笑)。

(玉袋筋太郎)だんだんわかってきた。

(安東弘樹)その大谷さんが『オールナイトニッポン』をやっていたわけですね。

(吉田豪)でも、それはたしかにハマッていたんですよ。中高生ぐらい、10代のリスナーにいちばんハマるような思春期感あふれる感じ。いわゆる中二病的な感じというか、そのモードでやっていたんで。「洋楽かっこいい!」みたいな感じとか。

(安東弘樹)「洋楽かっこいい!」ですか。

(吉田豪)洋楽をみんな、10代に聞かせるみたいな感じでやったりとか。あと、熱い話、真面目な話も混ぜたりしながらで。良かったですよ。オールナイトは。昼だとちょっと薄まっちゃった感じがしてて。

(玉袋筋太郎)なるほどな。うん。そして、その2だな。

(安東弘樹)「突っ込みはこいつらでいいんじゃん」というね。これ、どういうことですか?

(吉田豪)ええとですね、大谷さんのスタンスが変わったのはマキタスポーツさんの本で『一億総ツッコミ時代』っていうのがあって。まあ、ツッコミがだんだん世の中で多くなっている中で、あえてボケの側に行くみたいな本だったんですけど、これが結構与えた影響って大きくて。良くも悪くもだと思っているんですけど。キングコングの西野さんとかダイノジの大谷さんとかがこれを読んで自信をつけちゃったっていうのがあるんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)ああーっ!

マキタスポーツ『一億総ツッコミ時代』の影響

(吉田豪)「俺は意図的にそっちに行っている」っていう(笑)。で、意図的に行けている人と、意図しなくて行っている人がいるじゃないですか。大谷さんは意図じゃないですよとは思うんですけど(笑)。

(玉袋筋太郎)それなんだ(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ。で、WOWOWぷらすとっていう番組をマキタスポーツさんと一緒にやっていた時に「突っ込みはこいつら(見てる人・視聴者)」でいいと。

(安東弘樹)「一億」側の人たち。はい。

(吉田豪)それがどういうことか?っていうと、チョウ・ユンファが出ている『誰かがあなたを愛してる』っていうニューヨークの映画について語る回の時に「この映画はウディ・アレンよりもニューヨークを描けている」とか偉そうに言っていたらしいんですよ。大谷さんっていうのは基本、『映画秘宝』とかの受け売りでそういう風に語るのが大好きな人なんですけど。

(玉袋筋太郎)受け売りなんだよね。

(吉田豪)ライムスター宇多丸さんとかの受け売りを語るのが好きな人なんですけど(笑)。まあ、そういうことを本人曰く、佐野元春ばりに語っていたら、「大谷さんってニューヨークに行ったことがあるんですか?」って聞かれて、「いや、1回もないです」って言ったら、「ええーっ!」ってコメントがすごい数、出てきて。そこからリスナーが常に突っ込むようになっていったと。

(玉袋筋太郎)ああーっ!

(安東弘樹)なるほど。関係性がね。

(吉田豪)そうなんですよ。そういう風に関係性ができていったんで、「これをやろう」という風になっていったんですよね。

(玉袋筋太郎)これ、どうなんだろうね。『笑点』の林家三平のあの座布団。ネットで座布団がゼロになるとか。それに近いのかな? どうなんだろうね?

(安東弘樹)これは計算? どうなんだろうな?

(吉田豪)計算ではないと思うんですけど、「開き直った」が近いのかな? だからTwitterとかで大谷さんに怒る人ってすごい多いんですけど、これもある意味この関係性なんですよね。大谷さんに突っ込んでいる状態だと思うんで。で、僕が率先してその役割もやったりしてるんですよ。大谷さんがなにかを言い間違えるたびに突っ込むとか。たとえば、今日行ってきた流れでいうとアイドルで大谷さんが「最近、すごいいいアイドルがいるんですよ」って言って。Maison book girl(メゾンブックガール)っていう僕も大好きなグループがいるんですけど。それに最近、気づいて。「すごいアイドルが出てきたよ! 『メイソン』って書いてね、『マジソン』って読むんですよ。マジソンブックガール、聞いてください」みたいな。結構上から、「俺が教えてあげるよ」みたいな感じで間違えるっていう。常に(笑)。

マジソンブックガール

ダイノジ大谷 Maison book girlを語る
ダイノジの大谷ノブ彦さんがCBCラジオ『大谷ノブ彦のキスころ』の中でMaison book girlについて話していました。 (大谷ノブ彦)さあ、じゃあもう1曲。...

(玉袋筋太郎)かっこ悪い!(笑)。

(吉田豪)しかも、メジャーデビューしたタイミングならいいですけど、登場してから何年もたっているんですよ。大谷さん、基本そういう感じなんです。「また来た、大谷さん! ありがとう!」っていう。

(玉袋筋太郎)柵越えだね。

(吉田豪)「また来た!」っていう(笑)。

(安東弘樹)わかりやすいっちゃあ、わかりやすいんですね。

(吉田豪)そうです。だから本当に期待を裏切らなくて。だんだん、それが楽しみになってくるんですよ。「大谷さん、次はどう間違えるのかな?……キタッ!」っていう(笑)。完全に僕はそれですね。

(安東弘樹)それが「嫌われ者と共鳴」っていうのにつながるんですか?

(吉田豪)そうですね。

(安東弘樹)なんか嫌われぶりが尋常じゃないと。

(吉田豪)吉本内部も含めてっていう。そうなんですよ。これ、実はね、僕の大好きなエピソードがあって。とある週刊誌で芸人が嫌う芸人アンケートっていうのをやった時に、後輩芸人にアンケートを取って。当時、そんなに知名度がなかった大谷さんがぶっちぎりで1位になったことがあるんですよ。2位が品川さんで。

(玉袋筋太郎)まあ、それはわかる。

(吉田豪)で、これが、当時犯人探しが行われたらしいんですけど。僕が実は、このアンケートを取った人……週刊誌のこの記者というのが実は大谷さんの元カノで。

(安東弘樹)元カノ?

(吉田豪)元カノが立てた企画で、大谷さんがぶっちぎりで1位になったと。で、実はその人、芸人関係の仕事をやっているから、ガチで取っているんですよ。後輩のアンケート、本当に取っていて。後輩に本当に嫌われている人なんです。

(玉袋筋太郎)なんだろうね。

(吉田豪)いろんな人から聞きましたけども。

(安東弘樹)そこまで行くと、すごいな。逆に。

(吉田豪)たとえば、後輩芸人を自分のイベントに読んで。怪談イベントで、オリジナルの怪談を話してもらう。で、自分のエピソードも話したりするじゃないですか。大谷さんはそのネタをテレビで自分のネタとして語ったりとか(笑)。

(玉袋筋太郎)ちょっとちょっと。待って待って……それはいいのか?

(吉田豪)たぶんでも、それは怒る気持ちはわかるんですけど、大谷さんの中ではいつものパターンなんです。たぶんどこかで記憶が入れ替わっているんです。

(安東弘樹)あ、自分のものになっているというか。

(吉田豪)「いい話だな」と思って言っているうちに、たぶん自分の体験になっているんですよ。あの人の中ではどこかで、悪意とかじゃなくなっちゃっているんですよね。

(玉袋筋太郎)「人のものは俺のもの」だ。

(吉田豪)ジャイアンイズム(笑)。

(玉袋筋太郎)ジャイアン(笑)。そうなのか!

(安東弘樹)その、豪さんがが言う「1回まわって」っていうのはなんかわかる気がするな。

(吉田豪)「また来た!」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)なるほど。そして、星座ができる。嫌われの銀河軍団って、すごいね。これ。

(安東弘樹)これ、ねえ。今回完全にテーマになっていますけども。銀河軍団?

(吉田豪)まあ、これを言っているのが東野幸治さんが嫌われている芸人が大好きなんですよね。非常に。大谷さんとか品川さんとか。そういうののウォッチを常にしているんで。そういうものができるみたいな話を東野さんが言っていたっていう話なんですけどね。それに山里(亮太)さんぐらいまで入れてみて……みたいな話をしているんですけど。

東野幸治 ダイノジ大谷ノブ彦を語る
東野幸治さんがTBSラジオ『山里亮太の不毛な議論』にゲスト出演。『ボス』ことダイノジの大谷ノブ彦さんについて話していました。 (山里亮太)東野さん、相談が。メールが来...

(玉袋筋太郎)ああ、それは入るね。

(吉田豪)でも、山里さんはちょっとそことは違いますね。ベースに常識がありながら、卑屈さはあるけどもタイプがだいぶ違うじゃないですか。基本ジェントルで。

(玉袋筋太郎)まあ、そうだな。うん。

(吉田豪)で、また大谷さんが違うのが、僕もこのへんの方々、全員面識があるし思うのが、受け身を取る能力。突っ込まれた時とかの。やっぱり(キングコング)西野さんがすごい上手いんですよ。それは。大谷さんは本当に下手なんですよね(笑)。まだやり始めだから(笑)。やったことがなかったんで。だから、まだいじっていいかどうかの空気もまだ出ていなくて。本人も言っているんです。「まだ俺にはタブー感がある」っていう。

(玉袋筋太郎)「タブー感」?

(吉田豪)「『アメトーーク!』の好感度低い芸人にも、俺だけいなかったりする」っていうね。で、いまはそこにも嫉妬していてっていう。「なぜ俺があそこにいないのか?」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)わからねえ男だな(笑)。

(安東弘樹)ちょっと難しくなってきましたね。

(玉袋筋太郎)なんだろうな、この男は。うん。

(吉田豪)ちなみに僕は本当に大谷さんをいじり始めてから結構長いんですよ。実は大谷さんとの付き合いって僕、もう17年とか18年とかで。

(玉袋筋太郎)そんな前なの?

(吉田豪)1999年とかですね。そのぐらいで一緒になって。で、だからあの人のブログを当時からずっと読んでいて、大好きな物を間違えるんですよ。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)僕の大好きなエピソードが、根本敬さんの素晴らしい本があるんですけど。

(玉袋筋太郎)うんうん。『電気菩薩』とか『因果鉄道』。

(吉田豪)そう。『因果鉄道の旅』っていう名著があるんですよ。みんなが影響を受けた。あれをやっぱり「永遠のバイブル」って言っているんですけど、この人はブログで「『因果応報の旅』は永遠のバイブル」って書いていたりとか。なんでバイブルを間違えるんだよ?っていう(笑)。本当に、常に詰めが甘いんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)しかもかなりの間違いですね(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ(笑)。まだ銀河鉄道の方がよかったぐらいの。

(玉袋筋太郎)それでも彼は「でも、やるんだよ!」精神があるんだな。うん。

(吉田豪)そうそうそう(笑)。次、行きますかね。

(安東弘樹)みんなが突っ込める悪気ない男。

(吉田豪)本当に突っ込みやすいじゃないですか。これぐらいいろんなことがあると。で、実はこれも僕、たぶん誰よりも詳しいエピソードなんですけど。1回、オールナイトニッポンで品川さんをゲストに呼んだことがあったんです。その時に品川さんに向かって「ウィキペディアにデタラメなことが書いてある」って怒っていたことがあったんですよ。どういうことかっていうと、「自分がやっているDJイベントに呼んだ後輩のダンサーにお金を払わないって書いてあった。それは嘘なんだよ!」って言っていたんですけど……実際に払っていなかったことはみんなが証言していて、僕もそれ、目の当たりにもしているんですよ。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)この時も品川さんに聞いたら、「俺も後輩から聞いているから、『えっ?』って思ったんですよ」って言っていて。スタッフも「『えっ?』って思った」って言っていて(笑)。

(玉袋筋太郎)ほう!

(安東弘樹)じゃあ、間違いなく払っていなかったんですね?

(玉袋筋太郎)払ってないんだ。

(吉田豪)まあ、「払ってない」って言うとあれかもしれないですけど、僕が見たのが、終わった後に1時間、2時間とガチで説教をして。で、ご飯も食えなくて、500円を渡されているのを見たんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)めんどくせーやつだなー(笑)。

(吉田豪)500円は払っていた。ゼロではなかった!

(玉袋筋太郎)500円。ゼロではない。すごい!

(安東弘樹)ギャラ、だったのかな?

(吉田豪)で、本人はそれを言ったら、「俺だけが否定している」っていうね。「おかしいな。俺、ギャラあげているつもりだったのになー」って言っているんですけどね。

(玉袋筋太郎)500円。

(吉田豪)僕の考える大谷さんは、昔は払っていなくて、ある時期から払うようになったら「昔から払っていた」と本気で思えるようなタイプだろうっていうね。

(玉袋筋太郎)ああーっ。

(安東弘樹)なるほどな。嘘ではないと。

(吉田豪)嘘ではない。どこかでズレていったりはする。「それはあるかもしれない」って言っていたんですけど(笑)。

(安東弘樹)だんだんどうリアクションしていいか、わからなくなってきました。

(玉袋筋太郎)ねえ。本当だよ、これ。面白いね。

(吉田豪)ただ、でもこれが原因でこの次のにつながってくるんですよ。実は。

(玉袋筋太郎)励ました覚えはない。無邪気に笑っていたの筋だよね。これ。

先輩芸人のしくじり

(吉田豪)どういうことか?っていうと、大谷さんがちょっと先輩芸人をしくじって大変な時期があったんですよ。これ、10年ぐらい前なんですけど。「本当に死のうと思ってビルの屋上に行った」みたいなことをブログに書いたことがあったんですよ。

(玉袋筋太郎)あらららら。

(吉田豪)その、死のうと思った顛末を。で、問題の発端部分ぐらいまで書いちゃったから、当然事務所内で大問題になって。書いたブログが半分ぐらいに削除されていたという事件があったんですよ。で、当時僕、それを見た時点で「これはヤバい!」と思って即保存したんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)するね、また(笑)。

(吉田豪)「これは絶対にヤバいぞ! やっぱり!」っていう(笑)。

(安東弘樹)削除される前にね。

(吉田豪)そうそうそう。で、「面白いことになった」と思っていたら、その後、大谷さんのイベントに呼ばれた時にわかったんですけど。先輩が絡んでいるから、同業者だといじりづらいらしいんですよ、こういうことって。なんかしくじったのはわかっているけど、みんな触れないじゃないですか。で、僕はそのダイノジロックフェスの楽屋で無邪気に会うなり、「最高でしたよ、あのブログ!」って(笑)。「超面白かった! 絶対に後々、ネタになりますよ!」って言って、ずっとそれをいじっていたんですよ。

(玉袋筋太郎)うんうんうん(笑)。

(吉田豪)そしたら、本人曰く「あれはありがたかった」って言っていて。「あれはテレビではネタにならない」と。でも、その時は「そうか」と思って。要は、「チャップリンの『人生は近くで見ると悲劇で遠くで見ると喜劇』みたいなことをわかりやすく教えてくれた。自分のしくじりがあってちょっと番組に出られなくなった時に、それを後々にネタにしていくみたいな時に豪さんが引っ張り出してくれた。だから、これも行けるかな? みたいに試していた」っていう感じで、実は僕、すごいプラスになることをやっていたらしいんですよ。

(玉袋筋太郎)いい加減にね。

(吉田豪)でもこれ僕、全然わかっていなくて。その時期にとあるアイドルの人がいまして。その人が悩んでいた時で。僕も面識あったんですよ。突然、その人から連絡が来たことがあったんですよ。で、「相談に乗ってほしい」みたいな。「なんで僕?」って聞いたら、「大谷さんに相談したら、俺が悩んでいた時に豪さんに励ましてもらったからお前も相談した方がいいって言われました」って言っていて。僕、大谷さんを人生で励ました記憶はゼロなんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)「えっ、なにそれ?」って思ったら、「それだ!」っていう。無邪気に踏み込んで笑ったことを大谷さんの中では「励ましてくれた」っていうことになっているんですよ。

(玉袋筋太郎)解釈だよね。やっぱり。ものの解釈だよな。

(安東弘樹)大谷さんの解釈力がすごいですね。

(吉田豪)そうなんですよ。ポジティブにとらえるというか。これのしくじりでいろんな番組出られなくなった時期があって。で、テレビの仕事とかも少ないからDJの仕事を増やして。その結果、事務所からも疎まれて……みたいな時期だったんですよ。

(玉袋筋太郎)おおー。

(吉田豪)で、その時に僕が大谷さんに無邪気に言ったのが、ちょうど松竹芸能がその時にゴタゴタしていたので「吉本に居場所がないんですか? いまこそチャンスですよ! 松竹芸能に移籍しましょう!」って言って煽ってちょっとその気にさせたりとかしていて(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)。吉田豪ちゃんのもう手のひらの上にいるんだね。転がされているんだ、大谷は。

(吉田豪)そう。本人曰く「その気になっちゃって松竹に行こうとしたら、途中でみんなから『間違っている』と言われて気づく。『はっ、これは罠だ!』」って。

(玉袋筋太郎)「罠」(笑)。

(吉田豪)でも、こういう風になってくるとかわいげが出てくるんですよ。なんとなく。アレな人だけども、面白いじゃないですか。

(安東弘樹)だってそもそも、それを励まされたと思っているところはかわいいというか、そういう意味で言うとね。

(玉袋筋太郎)ねえ。そしてその7か。

(安東弘樹)「そんなこと言ったっけ? 俺、知らねえよ」っていう。そのままですけど。

(吉田豪)そうなんですよ。まあ、こういう人なんでいろんな過去のことをね、忘れていくんですよね。何をやったとかも。それこそだから、大谷さんのせいで僕、一時期アイドルオタの方から叩かれたりとかもよくしていたんですよ。

(玉袋筋太郎)ええっ?

(吉田豪)要は、「大谷さんがアイドルにハマッたのは僕の影響だ。だから全部お前のせいだ」っていう感じで。

(玉袋筋太郎)豪ちゃんが……。

(吉田豪)「そのせいであいつがこっちに来ちゃったじゃねえか!」みたいな(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)いや、僕のせいっていうか、しょうがないじゃないですか(笑)。すごい言われたんですよ。すぐにかぶれるんですよね。「人がいいって言うものは、いいんだろうな」みたいな感じで。ただ、大谷さんの問題は「誰から教わった」みたいなことがやっぱり薄れていくんで。で、やっぱり天才的なのが掟ポルシェっていう男がいるんですけど。この人は昔からハロー!プロジェクトが好きで、いろいろと大谷さんにも話したらしいんですよ。で、大谷さんがしばらく何年かたってから、掟さんに向かってその話をするらしいんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)ダメだよ!(笑)。

(安東弘樹)聞いた相手にそのまましちゃう?

(吉田豪)そうそうそう。「知ってる、あれ?」みたいな感じで(笑)。

(玉袋筋太郎)ちょっとちょっと! すごいね!

(吉田豪)そういう人なんですよ。だから、大谷さんの元カノがなんで大谷さんに怒っていたかっていうと、実は当時彼女はモーニング娘。のオタクだったんですよ。で、当時大谷さんはそれをすごいバカにしたらしいんですよ。洋楽とかが好きなんで。「なに? お前、アイドルなんか好きなの? ダッセー! かっこ悪い!」とか言っていたのがモーニング娘。に10期ぐらいからすごいハマッて。「モーニング娘。最高!」とか言い出して仕事とか始めたから、彼女が大激怒してたんですよ。「あいつは私のことを否定してたの!」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)そりゃ、怒りますわね。

(吉田豪)「えっ? あいつ、そうなの? あいつ、アイドル好きだったっけ?」ぐらいのことを言っていて、そんな記憶すらなくなっているという(笑)。

(玉袋筋太郎)なるほどね。

(安東弘樹)すごい能力を持っているな。

(吉田豪)すごい能力ですよ。だから、罪悪感とかなにもなく、そういうことができるんですよ。それはだから、大谷さんとラジオで共演していた脊山麻理子さんとかもそう言っていたんですよね。「大谷さんがなにかにハマると、野球でもプロレスでも、『昔から好きだった』になる」っていう。知り合って数ヶ月ぐらいでそういう話をもうするぐらいの(笑)。「私が好きだった野球チームまで、あの人の方が先に好きだったみたいなことを途中から言い出して……」みたいな(笑)。

(玉袋筋太郎)これ、脊山さんもまた脊山さんだよ。すごいね、その組み合わせは。すごいタッグだ!

(安東弘樹)この3人プラス脊山さんと掟ポルシェさんでやりましたよね。

(吉田豪)やりましたよね。イベントをね。

(玉袋筋太郎)そうだ。

(吉田豪)そうなんですよ。で、そういうことを言われても大谷さんは常に「そんなこと言ってたっけな? 俺、知らねえよ」になっちゃうっていう。「俺は嫌われても、俺は全然人を嫌いにならないんですよね」っていう。無邪気(笑)。

(安東弘樹)ああー、でもこれはそうか。「俺、知らねえよ」っていうのは嘘ではないんだ。

(吉田豪)そうなんですよ。記憶がないんですよ。

(安東弘樹)本当にその時点では、本当に言っていたこととか知らなかったことを覚えていないんですね。

(吉田豪)「俺が開発した」ぐらいのつもりになれるんですよ。全て。

(玉袋筋太郎)へー! もう始まっているんだな。何かが。何かが始まってるな。

(吉田豪)完成度は高いと思いますよ。だから嫌う気持ちも正直わかるはわかる。わかるけれども、1回「面白い」というモードに入れた方が絶対に面白い人ですよ(笑)。後輩とかで迷惑かけられたりしない限りは……っていう。

(玉袋筋太郎)ああ、まあなるほど。距離感を持ってね。でも、この番組の裏番組をやっていたわけでしょう?

(吉田豪)『キキマス!』っていうね。実は本当に、僕も最初レギュラー候補で呼ばれたことがあるんですよ。「あの、裏のTBSに月イチのレギュラーで出ていて、他局は出れないですよ」って言って断ったんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)。なあ?

(吉田豪)あの、無邪気なプロデューサーだったらしいですね。

(安東弘樹)ああ、プロデューサーも無邪気?

(吉田豪)プロデューサーがTBSラジオが好きなんで、TBSに出ているとか関係なくね。あの、TBSの公開収録とか行ってたらしいです(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)まあ、うれしいですけどね。

(吉田豪)「出せないかな?」とか言ってましたっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)俺もこの間、なんか六本木ヒルズに入っている放送局の人に「『たまむすび』聞いてます」って言われたもんね。

(安東弘樹)それは、多いです。この業界、本当にみなさんね、ちゃんとリアルなことを言ってくれますよね。僕も何回か、他局の人に言われたな。

(吉田豪)で、大谷さん自身もTBSラジオが大好きだった人なんですけど、本人曰く「俺はそっち側には入れない。だからそのカウンターになるしかない」っていうことなんですよね。

(玉袋筋太郎)はー。

(吉田豪)うらやましいっていう。まあ、「サブカル憧れ」ってよく言っているんですけど、サブカル片思い。片思いなだけで、こっちは好きなのに向こうは全然俺のことを好きになってくれない。だからちょっと違うことをやるしかないっていう。

(安東弘樹)なるほど。根は深いな。

(玉袋筋太郎)よかったよな。こいつの後輩とかじゃなくて。面倒くせえぞ、これ。

(吉田豪)本当にね、この人の後輩の人とイベントをやると、かならずこういう話になるんですよ。もうイベントを終わる時に「そうだ。大谷さんの話をするの、忘れてました」って振ったら、そこから30分延長になっちゃったりとか。「そうだ、聞いてくださいよ!」って、みんながどんどん言い始めるという。

(玉袋筋太郎)大谷ウォッチャーですよ。

(吉田豪)新ネタが次々と出てきますからね。

(安東弘樹)いやー、なるほど! 今日はお笑いコンビ・ダイノジの大谷ノブ彦さんの筋でした。豪さん、次回の登場は9月1日。お知らせはなにかありますか?

(吉田豪)ないです。いまから他局に戻ります(笑)。

(安東弘樹)気をつけて!

(吉田豪)仕事じゃないです(笑)。

(玉袋筋太郎)おつかれさんでーす! どうも!

<書き起こしおわり>

吉田豪・コンバットREC・宇多丸 全日本女子プロレス伝説を語る

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吉田豪さんとコンバットRECさんがニコ生『タマフル24時間ラジオ2017』に出演。女子プロレス初心者の宇多丸さんに全日本女子プロレスの最狂伝説を話していました。

吉田豪・コンバットREC・宇多丸 全日本女子プロレス伝説を語る

(吉田豪)なんかね、ざっくりとアイドルの話とかをした方がいいのか?っていうね。


(宇多丸)あ、ぜひね。

(コンバットREC)アイドルの話といえば、吉田さん。アイドルじゃないけど全女の話が最近、熱いんじゃないですか?

(吉田豪)そっちに行く?

(コンバットREC)それ、しないの?

(吉田豪)あ、全然なんでもいいよ。

(コンバットREC)全女の話。全女の本、読みました?

吉田豪の”最狂”全女伝説 女子プロレスラー・インタビュー集


(宇多丸)ああ、いただいているけど、まだ読んでないです。

(コンバットREC)読んでないですね。あれ、本当に面白いですね。柳沢さんの本(柳澤健『1993年の女子プロレス』)を読んでいるとすごい立体的になりますよね。

柳澤健『1993年の女子プロレス』


(吉田豪)これ、プロレスをあまり知らない宇多丸さんにどう伝わるか?っていうね。

(宇多丸)そうなのよね。

(コンバットREC)まあ、前提をこの放送でどれだけ言っていいのか?っていうのもありますよね。

(吉田豪)いいんじゃない? ニコ生だから。

(コンバットREC)じゃあ、お願いします。

(吉田豪)あ、俺が言うのね。

(コンバットREC)当たり前じゃないですか。インサイダーが言ってくださいよ。

(吉田豪)だから昔からよく「プロレスって日本も世界もあまり変わらない」みたいに
言われて。「日本が特殊だって言われているのは嘘だ」みたいに言っている人はいたんですけど、やっぱり日本は特殊なんですよ。全女が何が特殊か?っていうと、新人は基本、シュートファイト。で、新人だけじゃなくて上の方もシュートファイトが混ざる確率が……。

(宇多丸)「シュート」っていうのは本当に、ガチで?

(吉田豪)っていうか、結末が決まっていないんですよ。

(コンバットREC)試合は試合として、途中までやるんですよ。

(吉田豪)普通にプロレスとして技を受けるんですけど、途中から普通に「押さえ込みルール」によってガチンコになるんですよ。だから、チャンピオンベルトがガチンコで移動するんですよ。

(宇多丸)おおーっ!

(コンバットREC)全女っていう団体がそれを採用していたんです。

(吉田豪)で、その結果、負けた人がガチで負けて引退したりとかっていう、世界のプロレスで全くあり得ないことを普通にやっていたのが全女で。

(宇多丸)へー!

(コンバットREC)普通の団体っていうのはシュートマッチがあるとしても前座とか若手の試合ではあるかもしれないですけど、タイトルマッチみたいな大事な試合は絶対にやらないんですよ。

(吉田豪)まあ、事故として起きることはあっても、団体側はそれを奨励することはなくて。

(宇多丸)もう理念として、ドンと。

(吉田豪)で、さらに全女が狂っているのは、それを関係者が全部賭けにしているんですよ。お金をかけて……。

(宇多丸)えっ、いいんですか?

(コンバットREC)だから、ガチじゃないと賭けが成立しないじゃないですか。賭けのためなんですよ。

(宇多丸)それ、いいの? この話……。

(吉田豪)全女とかフジテレビのスタッフとかも含めてみんな賭けをしてるんですよ(笑)。画期的な団体(笑)。

(宇多丸)だからある意味、本当にガチで戦わせての。だから本当に闘技士というかさ。

(コンバットREC)そう。それをインタビューで紐解いていく本なんですよ。

(吉田豪)だから昔、ビューティー・ペアが武道館でビューティー・ペア同士のシングルマッチの対決があったんですよ。で、負けたら引退っていうのがあったんですけど。ああいうのも全部、それなんですよ。だから、どっちが引退するかわからない試合をやっちゃっていて。

(コンバットREC)しかも、まだ結構人気があったビューティー・ペアだから、辞めさせる必要なかったのに。

(吉田豪)なんだけど、「あいつらギャラ高くなったからさ、1人にしよう」みたいな(笑)。雑な発想で全部やっているんですよ。

(コンバットREC)そう。ビジネスプランとか一切ないんですよ。「あいつ、ギャラ高えな。クビにしよう。ガチで辞めさせよう」って。

(吉田豪)だから基本、25才定年制っていうのが全女の中にあって。なぜか?っていうと25才ぐらいになるとお金のことをうるさく言ってくるんですよ。中卒とか高卒でよくわかんないまま働かせている分にはいいけど、だんだん知恵がついてきて……。

(宇多丸)本当にグラディエーターじゃん!

(吉田豪)そう。「私たちは搾取されている」って気づいていろいろと言ってくる用になるじゃないですか。そういうのはガチで若手にやらせて潰して、「さようなら~!」っていう(笑)。

(コンバットREC)めんどうくさい年齢になってきたらクビにするために25才で。別に「女性としてきれいだから25まで」とか、そういうのではないんですよ。

(宇多丸)っていうかみんな、(ニコ生のコメントで)「ひでえ」「ひでえ」「うええ」って(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ。ところが、気が狂っているのがそんだけひどいこと……さらにひどいことを言われたり、ひどいことをされたり、みんなしているんですよ。なのにみんな、「とにかく楽しい団体で素晴らしかった」みたいな。

(宇多丸)それは、本音なの? それとも……?

(吉田豪)本音です。誰一人悪く言わないんですよ。

(コンバットREC)完全に洗脳されているんです。

(宇多丸)ああ、そういうことなんだ。

全日本女子プロレスの洗脳

(吉田豪)あの、聞けば聞くほど、まず最初に娑婆っ気を抜かれて間違った常識を叩き込まれて。完全に洗脳のノウハウなんですよ。で、いまだに洗脳が解けていない感じなんですよ。で、それをブル中野さんに言ったんですよ。「たぶんこれ、僕ずーっといろんな人の話を聞いて思ったのが、洗脳だと思うんです」って言ったら、「そうかもしれないですけど、この洗脳は解けてほしくないです」っていう。

(コンバットREC)(笑)

(宇多丸)ああ、「夢かもしれないけど、夢でも覚めてほしくない」と。はー! そういうあれなんだ。

(コンバットREC)というのを紐解いていく本なんですよ。副読本としては、さっき言った柳澤健さんの『1993年の女子プロレス』は結構マストで。それもメンバーは結構かぶっているから。

(吉田豪)そのぐらいから押さえ込みルールについてちゃんと聞いて。押さえ込みルールはたぶん90年代初頭のプロレス本でちょっとずつ出てきたエピソードなんですけど、それを本人に直接聞いていい時代になったのがここ最近で。

(宇多丸)だって、そりゃそうですよね。だからいま、その話を聞いて「えっ、それ本人にぶつけたの?」って。

(吉田豪)ただ、またプライドもあるから、「そこまでわかるファンに私たちは支持されたい」みたいなのもあるんですよ。「ガチンコにも勝って私たちはここまで来た」みたいな。

(宇多丸)まあ、ガチで戦うことそのものはさ、選手としては誇りでしょうから。

(吉田豪)そうなんですよ。「ただのショーじゃないぞ」っていうプライドがすごいあるんですよ。

(コンバットREC)だから全女の人の異常なプライドの高さっていうのはそのガチも強いんですよね。上の方の人はね。

(宇多丸)うんうんうん。まあ、そうですよね。強くないと勝てないわけだから。

(コンバットREC)まあ、ただ豪ちゃんの本ですごい面白かったのは、全女の人が考えるガチって、「押さえ込みルール」なんですよ。ただ、(他団体だった)神取忍の考えるガチっていうのは「潰し合いのガチ」で。そのガチ観が違うんですよね。

(吉田豪)あの、神取忍VSジャッキー佐藤っていう伝説の試合があるんですよ。ジャパン女子プロレスっていう、全女しかなかった時に秋元康さんと芸能事務所のボンド企画が絡んでやった80年代半ばぐらいにできた新興プロレス団体があって。そこで神取さんが柔道の実績をもってデビューして。で、(全女を辞めた後、ジャパン女子プロレス設立に参加した)ジャッキー佐藤がビューティー・ペアじゃないですか。で、そこは会社とモメた流れでそこがガチでやることになって。

(コンバットREC)まあ、やらざるを得ない状況になっちゃったんですよ。

(吉田豪)で、ジャッキーさんもガチはガチでやるつもりでいたっていう中で……。

(コンバットREC)両方、ガチでやるつもりでいたんですよね。

(吉田豪)神取さんに僕はインタビューに行ったんですよ。その時に神取さんが完全にジャッキーさんを潰しちゃって。で、ジャッキーさんがそのまま引退になってっていう。

(コンバットREC)もう顔がボッコボコになっちゃったんですよね。ジャッキーさんがやられて。

(吉田豪)女子プロ上あり得ないぐらいの潰し合いをしたんですけど。その時に僕が言ったんですよ。「たぶんこれ、お互いのガチ観が違ったと思うんですよ」って。女子プロのガチっていうのは普通にプロレスをやった後で最後に押さえ込みぐらいのガチで、神取さんのガチはやっぱり柔道仕込みなんで、とにかく打撃でやって関節を絞めてっていう、いわゆるいまの総合格闘技的な技術でやっちゃったんで。

(コンバットREC)打撃でボッコボコにした後で骨をへし折るっていうのが神取さんが考えるガチで。

(吉田豪)「あれ、違ったんじゃないですか?」って言ったら神取さんが「そうかも!」って言って(笑)。

(宇多丸)(笑)

(コンバットREC)それをあれから20年たってやっと気づいたっていうのが結構、あれがすごかったよね。

(吉田豪)「ああーっ、盲点だった!」って言われて(笑)。

(宇多丸)神取忍さんがすごい殺気っていうかさ。本当に殺気でっていうのはなんとなくしっていたけど、そういうあれだったんだ。


(吉田豪)神取さんはそれで伝説になって……っていう人なんですけど。

神取忍VSジャッキー佐藤


(宇多丸)でも、悪気はゼロなんですよね。

(コンバットREC)悪気ゼロ。神取さん的にはガチでやるっていうからやったのにっていう。

(吉田豪)またこの試合が相当立体的になっている本なんですよ。で、そんだけ、最初からガチだってわかっている試合だって言っているのに、ナンシー久美さんというアイドル的に売り出された方が……。

(コンバットREC)みんなに嫌われているはずのナンシー久美さんね。

(吉田豪)っていう人がいるんですけど、その人にその試合の話を振ったら、その人もジャパン女子に行ってすぐに引退したんですけど。「私、実は引退したんだけどその試合を見に行った」って言っていて。で、ジャッキーさんと仲がよかったんですけど、「試合前にジャッキーの控室におでんの差し入れに行った」って言ってるんですよ。そんな、ガチでいまから潰し合う時に。

(宇多丸)(笑)

(吉田豪)で、おでんの差し入れに行って「おでんっていうのは、ちゃんとこの器を洗って返すもんだよ」とかさんざん言って。で、試合がそうなったじゃないですか。「どうしたんですか?」って言ったら、「器を回収に行った」って言ってるんですよ(笑)。

(宇多丸)(笑)

(コンバットREC)キャラがね、みんなそれぞれ立っているんですよ。面白いですよ。

(吉田豪)そう(笑)。誰もがどうかと思うエピソードを話すという。

(宇多丸)へー! でも、すごいんですね。ちょっと狂った世界というか。

(吉田豪)完全に狂ってますよ。

(コンバットREC)でもそれを普通に放送していたんですよね。日曜日のお昼とかにね。

(宇多丸)だって普通にメジャーなね。

(コンバットREC)『マクロス』が終わった後にチャンネルを変えると全女の中継をやっていましたからね。当時。

(吉田豪)他にもだからそういう異常な試合の検証をいっぱいやっているんですよ。北斗晶さんが実は首の骨を折られて死にかけた試合っていうのもあるんですけど、その試合とかもだから、普通にやっぱり放送されていますからね。で、コーナーの2段目ぐらいからパイルドライバーで首の骨を折って。

(コンバットREC)ゴンゴンのツームストン・パイルドライバーね。雪崩式の。

(吉田豪)それが、なにがすごいっていうとそれ、3本勝負の1本目なんですよ。1本目で首の骨が折れましたと。

(コンバットREC)折れているんですよ。

(吉田豪)でも、その後も試合は続くんですよ。

(宇多丸)ええっ!? だって、立ってられないんじゃないですか?

(吉田豪)もうヤバい痛がり方、転がり方をしているのに。

(コンバットREC)誰が見てもわかるのに、止めないんですよ。

(吉田豪)2本目、3本目があるんですよ。

(コンバットREC)それを普通に放送するんですよ。

(吉田豪)で、2本目、3本目で首を攻められるんですよ。あり得ないんですよ。で、そういう話をいろいろ選手とかレフェリーとかに確認するんです。そしたら、その試合のレフェリーにもインタビューをしたんですけど、「その時に首があきらかにヤバいっていうのはみんな、わかった」と。でも、北斗が言うらしいんですよ。「首を引っ張って! 引っ張れば大丈夫だから!」って。絶対にいじっちゃいけないんですよ。首なんて。でも、「ダメだ!」「いいから首、引っ張って。引っ張れば治るから」って言われて、しょうがないから引っ張って、「治った!」って言い切って試合を始めるんですよ。

(宇多丸)本当に下手すると半身不随ですよね。

(吉田豪)完全にアウト。

(コンバットREC)だから、たまたま運がよかったんですね。北斗さんはね。

北斗晶骨折試合


(宇多丸)そんな世界だったんだ。まあ、女子プロは危ないっていうのは聞いたことがあるけど、もともと精神性としてそういう。技だけじゃなくて。へー! 知らなかったわ。

(吉田豪)だからいまの女子プロレスとは全く別物のプロレスがその時代には存在していて。

(コンバットREC)まあ全女というところにはあって。でもその全女と対抗戦を90年代にやることになって。他の団体もそれを垣間見ていくことになるんですよね。

(吉田豪)全女っていうのは選手同士を焚き付けて。わざと「あいつがこんな悪口を言っていたぞ」とか嘘を吹き込んで、本気で仲悪くさせて。それをバチバチの戦いにさせて。

(宇多丸)ガチ戦いをよりガチの戦いにするために(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ。そういうことをしょっちゅうやっていたんですよ。で、それを対抗戦の時に他団体にも応用したんですよ。他団体に明らかに仕掛けてひどい試合をするとかを平気でやっていたんですよ。

(宇多丸)でもやっぱり、そうすると総スカンじゃないけど……。

(吉田豪)大変ですよ。だからモメるに決まっているじゃないですか(笑)。

(コンバットREC)秒殺試合とかやってましたからね。

(吉田豪)そう(笑)。

(宇多丸)「どうなってんだよ?」ってさ。「プロレスだろ、おい!」って。

(吉田豪)対抗戦で4対4かな? を、やった時に全員2、3分で負けて次々と控室に戻ってくるのを見て社長が激怒みたいな。「どうなってんの、これ?」みたいな。「こんな話じゃないのに……」みたいな。

(宇多丸)へー。でも、当時はそういうのはそんなに表に浮上していない話だったんですか?

(コンバットREC)でも、見ていて異常なことが起きているのは我々にもわかって。やっぱりみんながわかるようになった契機がブル中野の4メートルギロチンですね。やっぱりね。

ブル中野 金網4メートルギロチン


(吉田豪)も、そうだし。北斗VS神取戦もそうだし。明らかに知っているプロレスとフォルムが違うっていう。

(コンバットREC)まあ、ただ僕は北斗さんに関してはあんまり選手としては、そんなに……なんですよね。あの、口のプロレスの天才っていう感じがして。試合自体は危ない技をいっぱいやるけど、そんなにすごいレスラーかな?って。身体能力はすごい高いよね。

(吉田豪)そう。身体能力がすごい高いのは聞いていて。

(コンバットREC)ただ、体の表現力はあまりない人だなっていう印象はありましたけどね。

(吉田豪)異常な身体能力だったことはみんな言っていたんで。で、神取さんと一緒にこの前一緒にベントをやってそのお話を振ったら、「へー。全然感じなかった!」って。(しゃべり方が)気持ちいい(笑)。

(コンバットREC)北斗さんはね、言うほど体の表現力がある人じゃないなと思いましたけどね。ただ、マイクはすごかったね。

(吉田豪)プロレスの天才だね。

(コンバットREC)マイクがすごい人っていう感じ。マイクが。あとは、危ない角度で落としているだけで。

(吉田豪)いま、ニコ生で言っていい話がここまで出かかっているんですけど、どうしよう?

(コンバットREC)なんすか? 言ってくださいよ。

(吉田豪)イベントで聞いた話。

(コンバットREC)だってこれ、別に1回きりでしょう?

(吉田豪)絶対なんかに貼られたりするよー!

(宇多丸)タイムシフトがあります。

(吉田豪)大好きな話。

(コンバットREC)ここだけロフトプラスワンルールで。

(吉田豪)まあ、じゃあ1個言っちゃいます。あんまり拡散しないでくださいね。フワッと、あんまり説明しないで言います。北朝鮮で新日本プロレスがプロレス興行をやった時に、全女も協力したんですよ。そこでいろんなカップルが生まれたという話があって。

(コンバットREC)そっちの話かよ!

(吉田豪)で、北斗さんと(佐々木)健介さんがそこで結ばれたみたいな話があって。で、いろんな話があった時にある関係者とか選手から聞いたエピソードで。そのホテルにいた時にいやらしい声が聞こえてくると。それをまずキャッチしたのがホーク・ウォリアーで。「大変だ!」って選手みんな呼びに行ったらしいんですよ。「大変だ! ○○○が!」って(笑)。それで、トーテムポールみたいな感じでみんな、壁に5人ぐらい頭を並べて盗聴していたらしいんですよ。いい話だなーって(笑)。すいませんでした、はい。

(コンバットREC)(笑)

(吉田豪)以上です、はい。

(コンバットREC)まあでも、面白い本なんでね。すごい面白い本なんで。柳澤さんの本と一緒に読んだ方がいいですよね。『1993年の女子プロレス』と。その1冊は絶対に読んだ方がいい。

(宇多丸)そうなんだ。全然、ちょっと後回しになっていて。

(コンバットREC)柳澤さんの本との違いは、柳澤さんの本も同じインタビュー集なんですけど。柳澤さんの方は……。

(宇多丸)まあ、「表」というか。

(コンバットREC)いや、表でもないです。全然表でもないです。軸足がレスラーにあるんです。レスラーがその時、その無茶苦茶な状況でどう生きたかを聞いているんですよ。で、豪ちゃんの本は最終的に全部「松永」に落ちるっていうか。

(吉田豪)松永ファミリーというのがその狂った団体をやっていて。

最狂・松永ファミリー

(コンバットREC)経営者の……豪ちゃんの話はレスラーが最終的に話す話が全部経営者に落ちていく話で。柳澤さんの本はレスラー本人の矜持とかに落ちていく本で。同じ人に同じ話を聞いているのに、落ち方が違うんで。両方読むと、結構立体的になるんじゃないかなと思いますね。

(宇多丸)いやー、全然知らなかったです。なるほどね。

(コンバットREC)ぜひぜひ読んでほしいですね。

(宇多丸)なるほどね。『1993年の女子プロレス』と『吉田豪の”最狂”全女伝説 女子プロレスラー・インタビュー集』というね。

(コンバットREC)これ、面白いんで。ぜひ読んでほしいですね。

(吉田豪)その発売記念でイベントを何回かやっているんですけど、イベントで出る話も全部面白いんですよ。まだまだ知らない話がどんどん出てきて。

(コンバットREC)ああ、そういえばこの前、ロフトプラスワンでイベントやっていたじゃないですか。影かほるさんが来たやつ。

(吉田豪)影さんのエピソード、最高だったよ!

(コンバットREC)あれ、なに? 教えてよ。

(吉田豪)1個だけ。言っていいのかな?

(コンバットREC)なんか最後、すごい面白かったんでしょ? 影さんがいろいろと言って。

(吉田豪)全女末期の話を1個すると、全女っていうのが1回倒産とかをして、選手がドーッといなくなった頃にZAP-IとZAP-Tっていう覆面レスラーが出てきたんですよ。それは伊藤薫と渡辺智子っていう中堅どころの選手で。

(コンバットREC)まあ、どっちも中野のぶるちゃんで働いてるんですけど。

(吉田豪)それに無理やりマスクをかぶせて試合をさせた感じだったんですけど。それが、最初に試合に乱入したんですけど、誰にも言っていなかったらしいんですよ。リング上で戦っている選手にも、誰にも言ってなくて。知っているのは関係者2人だけ。そういう段階で。で、突然乱入しても、誰も気づかないじゃないですか。まず、乱入しようとした瞬間に2階席から花火を投げて。みんなの視線をこっちに向けた瞬間に、何の事情も知らないまま覆面の選手が2人上がって試合を破壊する。

(宇多丸)本当にただの暴漢だと。

(吉田豪)そう。選手も激怒するじゃないですか。それどころか、松永ファミリーも激怒したらしいんですよ(笑)。

(コンバットREC)なんでやらせているやつが知らないんだよ!(笑)。

(吉田豪)で、そのZAPっていう覆面選手を……当時、松永ファミリーはもうおじいちゃんですよ。松永社長とか。そうなった後で、その覆面選手を羽交い締めにして「テメー、なんてことしやがるんだ!」って言って絞めて。「ち、違うんです! 違うんです! 私は言われてやっただけで……」っていう(笑)。

(コンバットREC)乱入は成功しなかったの?

(吉田豪)いや、乱入は成功したんだけど、終わった後で「テメー、何者だ、この野郎!」って。

(宇多丸)試合にならないじゃないですか。

(コンバットREC)松永ファミリーっていうのはおじいちゃんだけど、もともど柔拳っていうボクシングと柔道が戦うガチンコの試合をやっていた人たちなんです。

(吉田豪)だから、「とにかくなんかあったらガチでやりゃあいい」っていう発想なんですよ。

(コンバットREC)松永ファミリーはすごい強いんですよ。

(宇多丸)「松永ファミリー」って名前がもうヤバいよ(笑)。

(吉田豪)興行でヤクザとモメたら、ヤクザとやっちゃえばいいみたいな発想の人たちなんで。

(コンバットREC)そう。ヤクザと戦っちゃう人たちなんですよ。

(宇多丸)ああ、そうか。なんか話を聞いているとそういう筋の人かと思うけど、そうじゃなくて。

(コンバットREC)筋の人とも格闘技で戦っちゃう狂ったファミリーの人たちなんですよね。4兄弟なんですけど、狂った兄弟なんですよ。で、豪ちゃんの本はその4兄弟がなんだったのか? みたいなところに割と落ちていく本なんですよ。まあ、4兄弟というか会長(松永高司)に落ちるよね。

(吉田豪)そうだね。

(宇多丸)でも本当に誰も知らない乱入で来たらね、「警察呼んで!」ってことじゃないですか。

(吉田豪)そうそう。「暴漢が突然入ってきた!」っていう。

(コンバットREC)面白かったのが、その豪ちゃんの本を読んだ人の感想っていうのが豪ちゃんのリツイートかなんかでTwitter見ていたら入ってきたんですけど、「現代の松永ファミリーって秋元康じゃないの?」っていう。

(吉田豪)あれはいい。

(コンバットREC)あれはいい返しだったね。要は、女の子同士を閉塞感のある状況で特殊なルールで争わせているっていうこの鬼畜っぷりってこれこそ秋元康さんがいまやっていることなんじゃないですか? みたいな感じだったね。

(吉田豪)みんな、どうせヤラセだろ思っている中でガチが混ざっている感じっていう(笑)。

(宇多丸)たしかに、たしかに。っていうかまあ、ガチだからね。

(コンバットREC)女同士のガチを見て楽しんでいる卑劣なやつみたいなね。

(宇多丸)いや、見てるじゃねえか。だって。俺ら、見てるじゃねえか(笑)。

(吉田豪)ガチ最高派じゃないの(笑)。

(コンバットREC)いやいやいや、やめてよー。

<書き起こしおわり>

吉田豪 指原莉乃から聞いた杉作J太郎の評価を語る

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吉田豪さんがニコ生『タマフル24時間ラジオ2017』に出演。コンバットRECさん、宇多丸さんに実際に直接指原莉乃さんから聞いた杉作J太郎さんに対する評価を話していました。

吉田豪・コンバットREC・宇多丸 全日本女子プロレス伝説を語る

(吉田豪)この前、指原さんのインタビューをしたんですよ。

(コンバットREC)さっしー。豪ちゃん、最近さっしーといい関係じゃないですか。

(吉田豪)それはJさんだよ。杉作さんが指原さんといい関係なだけ。

(コンバットREC)ねえ。ずいぶん懐かれているよね。

(吉田豪)無茶苦茶面白かったですよ。インタビュー自体が面白かったんですけど。この前、『真夜中』っていう番組で杉作さんと僕とかが出て。その後、杉作さんが準レギュラーになる流れになったんですけど。番組中で「杉作さんは私がここ最近で会った中でいちばん面白い」って言うぐらいに指原さん、絶賛していたんですよ。

『真夜中』で共演


(宇多丸)うんうんうん。

(吉田豪)「それがわかったのが素晴らしい」って言ったら、「いや、それどころじゃないです。私が芸能界に入ってからいちばん面白い人です。杉作J太郎は」って(笑)。感動しましたよ! そんな視点を持っている人なんだ!っていう。

(コンバットREC)まあ、実際にさ、我々界隈でいちばん面白い人なのは間違いないじゃない。

(吉田豪)間違いない。

(宇多丸)面白いから集っているわけじゃない。

(吉田豪)そして、その面白さをさんざん伝えようとしてきたけど、それがまさかあそこに届くとは思っていなかったじゃないですか。

(コンバットREC)まあ、それが理解できるのがすごいよね。

(吉田豪)そう!

(宇多丸)まあ、頭いいんでしょうね。

(コンバットREC)我々はすぐわかりますけどね。あの人が面白いのは。それがわかるのがすごいですよね。

(宇多丸)じゃあ、あれだ。男の墓場改め、コリーダだっけ?

(吉田豪)「センチメンタルコリーダ」(笑)。

(コンバットREC)そんなこと言ってんの? 知らない。

(宇多丸)男の墓場改め、センチメンタルコリーダに(笑)。

(吉田豪)ヒロインになる可能性、ありますよ!

(コンバットREC)ちょっと知らない。説明が足りない。もうちょっと……。

(宇多丸)えっ、知らない? もう男の墓場じゃないんですよ。

(コンバットREC)男の墓場プロ、やめたの?

(吉田豪)最近のJさんの変化はまずそれと……。

(コンバットREC)それって、松下からパナソニックへ変化みたいなこと?

(吉田豪)まあ、そんな深い意味もないけど。それと、あとJさんがスマホを持ち歩かなくなって。「最近、Jさんがつかまらないんです」っていう報告がすごいきて。

(コンバットREC)えっ、センチメンタルコリーダっていうの? 知らないんだけど。

(宇多丸)まあ、それも「いま、そこですか?」っていう感じなんだけど。「もうね、男とかそういう時代じゃない」みたいな(笑)。

(吉田豪)(笑)

(コンバットREC)それは性もポリコレ的な?

(吉田豪)まあ、そういう時代ですからね。

(宇多丸)そうそうそう。

(コンバットREC)Jまで、ついに始めた。まあ、ある意味窮屈だよね。Jまでそういうことを言い出すのは。

(宇多丸)窮屈っていうか、「まあ、それはそうですよね」っていうね。だからセンチメンタルコリーダの方がいいですよ。

<書き起こしおわり>

Base Ball Bear小出祐介と吉田豪 小出恵介騒動の影響を語る

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Base Ball Bear小出祐介さんががニコ生『タマフル24時間ラジオ2017』に出演。宇多丸さん、吉田豪さん、コンバットRECさんと小出恵介さん逮捕騒動の影響について話していました。


(コンバットREC)そしてなによりね、小出さんが無事保釈されたということで……。

(小出祐介)違う、俺じゃないですよ!

(吉田豪)違いますよ! 違う小出さんですよー!

(コンバットREC)違うんですか?(笑)。

(宇多丸)その話、好きだね。

(吉田豪)この人ね、本気で間違えてた。ちょうど一緒にいて……。

(コンバットREC)だって「子供が好きな小出さん」って俺、1人しか知らないから。

(宇多丸)好きじゃないよ! 別に(笑)。

(吉田豪)『17才』っていう曲を作っているだけ!

Base Ball Bear『17才』


(小出祐介)そうですよ。

(宇多丸)しかも『17才』って……あんた、なんでも人のことをロリコン呼ばわりして!

(吉田豪)ちょうど一緒に……杉作さんと僕とコンバットRECが一緒にいた時に僕がスマホを見てたら「小出恵介、捕まったよ!」って言ったら、「えっ、Base Ball Bearの?」って言い出して(笑)。

(小出祐介)ちょっと!(笑)。

(コンバットREC)すいません(笑)。

(吉田豪)「違うよ!」っていう。

(コンバットREC)でも正直、1回こっきりの放送だからおうかがいしますけど、小出さんはあの報道を見てどう思われたんですか?。

(一同)(笑)

(吉田豪)正直、Twitterで人違い、相当多かったじゃないですか。

(小出祐介)いや、めっちゃあったと思いますけど。

(コンバットREC)あと、予感はあったんですか? 「間違えられるだろうな」みたいな。

(小出祐介)いや、それはありましたよ。前々から「名前が似ている」というのはずっと言われていたので、それはあるなと思いましたけど……。

(コンバットREC)よりによって。

(小出祐介)完全に面識がない完全な他人だから、「似てますね」とか言われても正直困るっていう……。

(宇多丸)しかもさ、名前だから。字面だけだから。別にルックスとか何も似ていないしさ。

(小出祐介)だから、リアクションのしようもなくて。

(吉田豪)「ああ、そうですね」しか言えない。

(小出祐介)そこで俺が騒ぐ方が逆に変なんで。

(吉田豪)だからスルーを選ぼうと。

(小出祐介)そうです、そうです。

(宇多丸)「違う! 絶対に違う!」って(笑)。

(コンバットREC)逆にあんまりすると「怪しい」みたいになりますよね。

(吉田豪)だからでもその時に「ただね、こっちの小出さんも『17才』っていう曲を作っているんですよ」って言った瞬間、杉作さんが「……それはもう、犯人かもしれませんね」って言って(笑)。

(小出祐介)Jさん!

(吉田豪)という結論に至ったという(笑)。

(小出祐介)勘弁してくださいよ(笑)。

(吉田豪)「そこまでは重ならないですよ」っていう(笑)。

(小出祐介)(笑)

(コンバットREC)俺と杉作さんの間では「まあ小出さんかな?」って一瞬思っちゃったっていう話ですね。あまりにも出来すぎてる話なんで。

(小出祐介)まあまあ、そうですね。話としてはね。

(宇多丸)こいちゃん、すいませんね。せっかく忙しいのに。

<書き起こしおわり>

吉田豪と小出祐介と宇多丸 アイドルネッサンス『前髪がゆれる』EPを語る

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Base Ball Bear小出祐介さんがニコ生『タマフル24時間ラジオ2017』に出演。宇多丸さん、吉田豪さんが小出さんが制作したアイドルネッサンス『前髪がゆれる』EPを絶讃していました。


(吉田豪)そして素晴らしい、アイドルネッサンスを。

(小出祐介)これ、僕が4曲を。

(宇多丸)アイドルネッサンスはいままで……。

(吉田豪)カバーしかやらないグループだったのがはじめてオリジナルを作って。それが全部小出さんの作品で。



(小出祐介)そうです。

(宇多丸)この4曲がまたさ、違う角度からやっているのがいいですよ。

(吉田豪)全曲素晴らしい。

(小出祐介)ありがとうございます。いや、そんなに褒めてくれるとは。

(吉田豪)超よかった。

(小出祐介)ありがとうございます。じゃあ、これもぜひ聞いてください。よろしくお願いします。

(吉田豪)名盤です!

(小出祐介)『17才』もカバーしています。アイルネ。

アイドルネッサンス『17才』


(宇多丸)もともと17才のカバーから。

(吉田豪)そこからのつながりで。

(小出祐介)そうです。小出恵介は関係ないです。

(吉田・REC)(笑)

(宇多丸)でも真面目な話、『交感ノート』とか。あの音が薄いところがいいなと思ったら、インタビューを読んだら音をちゃんと抜いたっていう。「大正解!」みたいな。

(小出祐介)ギターを全部切ったんですよね。

(宇多丸)そうそう。ちょっと4つ打ち風なんだけど、このクールさがたまらんっていう。歌詞も最高でございます。

アイドルネッサンス『交感ノート』


(小出祐介)ありがとうございます。

(吉田豪)そんな小出さんが、今日は?

(小出祐介)今日は、『ほんとにあった!呪いのビデオ』を(笑)。

(宇多丸)そんな小出さんが(笑)。

<書き起こしおわり>

吉田豪 真木よう子を語る

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吉田豪さんが2008年6月にTBSラジオ『ストリーム』の中で真木よう子さんをインタビューした際の模様について話していました。



(吉田豪)先週ですかね。真木よう子さんの特集をやると言っておきながら逃しちゃいましたけども。今週末に『hon-nin』が出るということで。

(小西克哉)『hon-nin』という季刊誌。

(吉田豪)松尾スズキ責任編集っていうか、プロデュースの本ですけども。

(小西克哉)そこにインタビューが載るということで。

(吉田豪)今回は巻頭が真木よう子さんの大特集ということで。で、インタビューもしたんですけども。

(小西克哉)いま、来ている女優。

(吉田豪)小西さんは知らなかったみたいですけど。

(小西克哉)俺は知らなかった。なんかすごい巷では来ているんですか?

(吉田豪)いや、もうだってどの雑誌を見ても出てますよ。

(小西克哉)サブカル界では?

(吉田豪)も、そうだし、普通の一般誌。雑誌の露出が尋常じゃないんですよ。

(小西克哉)でも僕、写真集は見ていますよ。

(吉田豪)そこだけ見てるんですか(笑)。まあ、すごいですからね。

(小西克哉)本屋行ったらあったの。でもテレ東の深夜の水曜日の番組。『週刊真木よう子』。これは知らなかったな。

(吉田豪)まあ『月刊真木よう子』が売れて、それも絡めたような『週刊真木よう子』っていういろんな人が……脚本&監督を毎回変えてやっているような番組がいま始まっていて。

『週刊真木よう子』


(小西克哉)1回完結の番組。

(吉田豪)で、毎回真木よう子さんが主役でやっているんですけど。とにかく本当にいまものすごいサブカル界&一般世界の両方から好かれている……ただ、その『週刊真木よう子』とかもそうなんですけど、人脈的には完全にサブカル界なんですよ。『月刊真木よう子』も1冊目が売れて2冊目が出たんですけど、そのカメラマンがリリー(・フランキー)さんで。

(小西克哉)うん。

(吉田豪)で、テレフォンショッキングもリリーさんの紹介で出ていて。4月から始まったその『週刊真木よう子』も原作リリーさんとかすぎむらしんいち、いましろたかし、福満しげゆきとか。要はマニアックな方面の方々。で、脚本も長塚圭史、宮崎吐夢、せきしろ、タナダユキとか。本当にもうそっち側の方々……出演なんかは掟ポルシェとかですからね。

(小西克哉)ああ、そうみたいね(笑)。掟さんも出ていたっていう。

(松本ともこ)中村達也さん、すごいじゃないですか。

(吉田豪)もう、いきなりですよ。シャブ中の中村達也が……みたいな(笑)。演技は下手だけども凄みだけは伝わってくるっていう(笑)。

(松本ともこ)怖いもん(笑)。

(吉田豪)とかで、さらに主題歌はスチャダラパーなんですけど。このPVでは杉作J太郎先生ともベッドシーンで共演っていう。

(小西克哉)ベッドシーンで共演なんですか?(笑)。

(吉田豪)まあ、それぐらいの人なんですよ。そっち側。

(小西克哉)じゃあ豪ちゃんの周りのサブカル系の人の中ではディーバ?

(吉田豪)そうです。だから、いままで小泉今日子だの渡辺満里奈だの緒川たまきだの、そっち側の人って代々いたわけじゃないですか。

(小西克哉)ああ、このへんの人ってやっぱりサブカル系ディーバと言っていいわけだ。

(吉田豪)まあ、そのサブカルの世界に愛される人たち。その人たちがプロデュースしたりなんだってする人たち。その系譜にいるんですけど、決定的に違うんですよね。

(小西克哉)真木よう子さんは?

(吉田豪)何かっていうと、本人にそういうものに全く興味がないんですよ。

(小西克哉)サブカル的世界に?

(吉田豪)うん。こんだけ愛されているんだけど、その人も知らないっていうか。僕がだからインタビューでそういう話を振っても、「サブカルってなにかわからない。サブカルで代表される人って誰なんですか?」て真顔でどんどん質問をされるんですよ。

(小西克哉)そうですよね。この番組は「サブカル、サブカル」って言っているからあれだけど、でも普通のラジオのリスナーも「サブカル」って言われても……「サブカルチャー」って言わないと。「サブカルチャー」ってまた言い直さなくちゃいけないから。

(吉田豪)でもいま「サブカル」っていう看板を背負っているのって本当、みうらじゅんさんとか松尾スズキさんぐらいですからね。僕らもまだ背負わせてもらえてないぐらいの世界で(笑)。

(小西克哉)ああ、そうなんですか?(笑)。まだその暖簾分けは?

(吉田豪)されていないですね。あの代で終わっているぐらいの感じになっていますね(笑)。

(小西克哉)まあ、あの代で終わっちゃうんじゃないの?(笑)。

(吉田豪)本当にまあ、現在は「サブカルはない」って言われているぐらいの時代なんですけど。本当に僕がいちいち説明しなくちゃいけないんですよ。「たとえばあなたの周りで言うとリリーさんであったりとか……」って。言わなきゃいけないぐらいの状態で。

(小西克哉)そうだよね。「マイカル」と間違っちゃうかもしれないもんね。

(吉田豪)それはいないでしょう(笑)。ホモ雑誌の『さぶ』と間違えたりとかね、ありそうですけどね。

(小西克哉)それはないと思うよ(笑)。

(吉田豪)で、その福満しげゆき先生とか、そういうので原作をやっているから、「そういう(原作の)漫画、読みました?」って聞いても、本当にキョトンとするんですよ。キョトンとして無言で、「この人、なに言ってんだ?」っていう顔で見つめられたりとかして(笑)。

(小西克哉)ああー。またあの眼力に見つめられたらでも弱いでしょう?

(吉田豪)っていうかまあね、「この人はそれでいいんだ」っていう世界なんですよ。「あなたは何も知らないでいい」っていう。

(小西克哉)ああ、そうなんだ。

(吉田豪)だから要は、そういうような漫画の原作とかでドラマをやっているんだけど、この人が好きな漫画っていうのは男兄弟に囲まれて育ったせいで、好きな漫画は『SLAM DUNK』と『ろくでなしBLUES』、そして『すごいよマサルさん』っていう。だから少年ジャンプ。しかもバカ系っていう(笑)。

(小西克哉)(笑)。サブカルって言えない……そうだよね。体育会系だよね。

サブカルではなく、体育会系

(吉田豪)体育会系。男漫画なんですよ。だから女子だったらまだこれが『ジョジョ』であったりとか『DEATH NOTE』とかそういうキャラ萌え系の方に行きそうですけど、そっちじゃないんですよ。完全なオス&バカな世界。

(小西克哉)オス&バカ(笑)。

(吉田豪)で、「本当に子供の頃からみんなでよく『ろくでなしBLUES』の真似をして、ヤンキー口調に憧れて、お兄ちゃんとよく言い合っていた」って言っていたんで。

(小西克哉)なんかわかんないけど、ヤンキーだったような匂いはするんだけど。

(吉田豪)まあ、中卒ですからね。

(小西克哉)それは、そういう感じなの?

(吉田豪)中卒で、仲代達矢の無名塾に行っているぐらいなんで。

(小西克哉)無名塾に行っていたんだね。

(吉田豪)無名塾に行って仲代達矢と大喧嘩して辞めてますからね。

(小西克哉)大喧嘩?

(吉田豪)ハートも強いんですよ。そしてその後、和解もしていないっていう(笑)。

(小西克哉)それはすごいね! どうして喧嘩するの?

(吉田豪)これはまあ有名な話なんですけど、合宿で日課になっている持久走を早めに終わらして集合場所で待っていたら、サボっているもんだと思って間違えた仲代さんに説教されて。で、ブチ切れて、「私は走ったのになんで怒ってんだよ!」みたいな感じで、それっきりっていう(笑)。

(小西克哉)やっぱり男だね。性格は。

(吉田豪)男です。本当にオスですよ。家庭環境のせいもありますけど、完全にオスです。

(小西克哉)無名塾の周り、俺も走ってるんだけど、会わなかったな。

(吉田豪)そうですか。怒られない?(笑)。

(小西克哉)怒られない(笑)。まあ、俺は自分で走ったから。ああ、そう。

(吉田豪)本当に男なんです。だから、なまじビジュアルもこうでスタイルもいいせいですっごい女子に見られているけども、完全なオスですね。で、もともとだから勉強が大嫌いで。小学校の時にみた安達祐実主演の『REX 恐竜物語』の影響でこの世界に入ったっていう。触発されたのがそこっていう時点で信用できるんですよね。



(小西克哉)(笑)

(吉田豪)これ、かつて麻生久美子さんが「映画鑑賞が趣味だ」って言っていたけども、実際に見るのはハリウッド超大作ぐらいで全然見ていなくて。最初に見ていたのは丹波哲郎の『大霊界』みたいな。

(小西克哉)よりにもよって丹波哲郎先生ですか(笑)。

(吉田豪)そういうの、言ってもらえると信用できるじゃないですか。「なんだ、早く言ってよ!」みたいな(笑)。

(小西克哉)なるほど。だからあの方、麻生久美子さんもサブカル・ディーバと言っていいんでしょう?

(吉田豪)そうですね。比較的。

(小西克哉)そういった人から好まれるよね。

(吉田豪)すっごいハードルが下がってくれるわけじゃないですか。で、彼女もそうなんですよ。プロフィールもやっぱり趣味は映画鑑賞になっていて。雑誌とかだと聞いたこともないイランとかの映画とか、頭よさそうなのをいっぱい紹介していて。「ああ、ちゃんとした人なんだろうな」って思っていたんですけど……でもなんか周囲の人に聞き込んだら、「好きな映画は『トゥルー・ロマンス』と『ベティ・ブルー』。これだけだ」って言っていて。まあ本当に、命知らずというか。そして恋愛に命をかけるというか。すごい人柄が出るようなチョイスで。

(小西克哉)うんうん。

(吉田豪)その話をいろいろと振っていたら、「私、その2作品、そんな好きじゃないんですよ」って言っていて。「じゃあ、いまはなんなんですか?」って聞いたら「『エイリアン』です!」っていう(笑)。

(小西克哉)オリジナルの『エイリアン』?

(吉田豪)オリジナル『エイリアン』。

(小西克哉)シガニー・ウィーバーの。

好きな映画は『エイリアン』

(吉田豪)その時点でもう「素晴らしい! 信用できます!」って。「趣味 映画鑑賞」って言っているいま日本を代表する女優が「好きな映画は『エイリアン』」。

(小西克哉)(笑)

(吉田豪)「いい!」っていう。

(小西克哉)あのさ、「趣味 映画鑑賞」って書いたら次に書く「たとえば……」っていうのはやっぱさ。

(吉田豪)フランス映画とかになるじゃないですか。ミニシアター系ですよね。

(小西克哉)それも変だけどさ、なんかそういう文法がいつの間にかできているところがあるよね。

(吉田豪)『エイリアン』ってドーンと出たらその時点でもう合格じゃないですか。

(小西克哉)その次に角川映画とかを挙げた日には、どうなんだと思うよね。

(吉田豪)それでいいはずなんですけど。で、そう言ったら「プロフィールに『趣味 映画鑑賞』って書いたのは、事務所ですよ。私はそんなこと、全然言ってないもん。映画なんか全然見ないですから」って(笑)。

(小西克哉)あんま基本は見ないんだ。

(吉田豪)で、「雑誌でああいう風に(作品名を)挙げているのも、そういう仕事が来たから『しょうがない。どうしよう?』と思っていろんな人に聞いて回って。自分の尊敬する人の好きな映画を聞いたら、この人が好きだって言っていたからこれはいい作品だろうっていうことで挙げただけで。自分のセンスは信じられない」っていう。まあ、そんな感じの人なんで。だから昔、「夢は松田優作みたいになること」って語っていたことがあるんですけど。

(小西克哉)それは男気あふれる?

(吉田豪)男気あふれるなと思っていたんで。って言ったら、「でもね、それも本当に私、松田優作さんの作品なんて1本も見ていないんですよ。なんか友達がそう言っていたから、かっこいいらしいから言ってやろう」みたいな(笑)。本当にぼんやりしているんですよ(笑)。

(小西克哉)でもそういうの、正直に言うんだ。

(吉田豪)そうなんですよ。だから、そういう上げ底というか。中身は本当にそうなんですよ。で、そういうことは聞いてみると嘘はつかないし。で、そういう風に音楽界でも愛されているけど、前に『東京フレンズ』っていう映画に出た時に「この作品で得たものは大塚愛という友達」って。この間『HEY!HEY!HEY!』でも一緒に出ていましたけど。仲がいいのが大塚愛で、最近買ったCDがYUIだったりとか。すごい普通なんですよ。

(小西克哉)普通っぽいですね。

(吉田豪)で、さらにYUIの話をしていたら、「そのYUIさんのCDと『すべらない話』のDVDを買って。今日、これすごい楽しみと思って帰ろうとしたらタクシーに忘れちゃって。超ショックで。タクシーに連絡しても、『もうない』って言われてショックでショックで。友達に泣きながら電話して。そしたらその友達が全然興味を示さないで、『ああ、そう』みたいな感じで。それも腹が立って。なんで私がこんな傷ついているのに、わかってくれないんだ!?」みたいな(笑)。

(小西克哉)「そんなもん、レアなもんじゃないからまた買えばいいよ」みたいな。

(吉田豪)そうなんですけど。「そんなの、声を大にして言ったらみんな、くれますよ。それ」って(笑)。そんな感じの人なんですよ。

(小西克哉)かわいいところ、あるよね。そういう。

(吉田豪)で、そういう風に話していても「本当に男ですよ」みたいな話で。で、インタビューでも坂本龍馬の言葉を引用したりもしていたんですよ。

(小西克哉)それはどっかの雑誌でっていうことですか?

(吉田豪)そうです。で、「『お~い!竜馬』をいま読んでいる」とかも言っていて。「龍馬好きなんですか?」って言ったら、「いや、別に。でもね、あのへんの時代はすごい好きです」って言っていて。「ああ、幕末とか好きなんですか?」って聞いたら「幕末とか戦国とか、大好きですよ! 一瞬でいいから行ってみたいですよね、あの時代に」とか。

(小西克哉)ああ、そのへんは興味があるんだ。

(吉田豪)すんごい好きなんですよ。「いつも死と隣合わせの状態で。そういう状態に行きたい! 戦国に行きたい!」っていう。

(小西克哉)まさにいまとは対極だよね。たしかにね。

(吉田豪)本当になんか、「オス」と言っても現代のオスじゃないんですよ。その時代のオスで。だから軽い気持ちで「じゃあ、好きな武将とかいますか?」って聞いたら、「織田さんとか、超好き!」って(笑)。

(小西克哉)「織田さん」(笑)。

(吉田豪)信成かと思いましたよね(笑)。

(小西克哉)ああ、足を上げてクルクル回る人ね(笑)。「織田さん」って言われても……普通、織田さんって言わないよね。面白いよね(笑)。

(吉田豪)「名言!」って思って。

(小西克哉)あのへんの人って、「漱石」とは言うけど、「夏目さん」って言われてもなんか漫画評論家の方かと思っちゃうもんね。

(吉田豪)ですよね(笑)。そっちですよね。

(小西克哉)織田さんってすごいね。「課長 織田」みたいな(笑)。

(吉田豪)あっさり言いますからね。

(小西克哉)だって織田さんって……織田さんが好きだっていうのはどういうところなんですか? 雰囲気はわかるけど。

(吉田豪)「あのね、何回も思ったことがあるんですよ。いろんな現場で過酷な状況にあうたびに、『織田さんだったらどうするだろう?』って……」っていう(笑)。

(小西克哉)(笑)

(吉田豪)そう思うと、乗り越えられるらしいんですよ。「織田さんだったら」って。

(小西克哉)でも、織田さんのたとえば本を読んでいるわけじゃないでしょう? 勉強嫌いだから。

(吉田豪)いや、「勉強は嫌いなんだけれども、あの時代の話はすごい面白い」って言っていて。

(小西克哉)そういうのは、誰かの口伝えに聞いたことがあるのかな?

(吉田豪)漫画とかで読んでいるのかどうかはわからないですけど。織田さん勉強中ではあるみたいです。「織田さんはヤバい」っていうことで。

(小西克哉)「織田さんはヤバい」(笑)。

織田さんはヤバい

(吉田豪)だから、「あれ、ホトトギスが鳴かなかったら真木さんはどうします?」って聞いたら、本気で悩みだしたんですよ。「どうしよう……殺すかな? でも、殺すのはいけないな。だって、鳴かないだけで。かわいそうですよ。ホトトギスってちっちゃいカナリヤみたいなやつですよね? それを殺しちゃうのは……放っとくかな? でも、ダメだ! それじゃあ、織田さんになれない。殺そう!」って決意したりとか(笑)。

(小西克哉)織田さんになるために(笑)。

(吉田豪)「私は織田さんにならなきゃいけない」みたいな。

(松本ともこ)「放っておくかな」って(笑)。

(小西克哉)「放っておくかな」と。織田さんは黒人も好きだったみたいだからね。

(吉田豪)ああ、そうなんですか?

(小西克哉)黒人の補佐官がいたっていう説があるぐらいで。

(吉田豪)「そういうの好きなんだったら、たぶん三国志とかも好きですよ」って言ったら、「ああ、それね、そういう風に言われるんだけど、全然知らなくて」って言っていて。「『三国志が好きだ』って言ったら、本当に男たちが『信用できる!』って言いますよ」って言ったら、「マジで? 調べとく!」って(笑)。

(小西克哉)(笑)

(吉田豪)信用できるなー!っていう(笑)。

(小西克哉)つまり、いろいろと出てるのは事務所の情報のあれだったっていうことなの? 映画鑑賞とかさ。松田優作とか。

(吉田豪)まあ本人もそういう風に背伸びをしていた時期もあったりとか、周りに影響されたりとか。「私の言うことを信用しちゃいけない」とか結構言うんですよ。恋愛の話とかもなんでも話してくれて。まあ、ほぼカットになったんですけど。「本当にね、私が女だったら私とは絶対に付き合わない」って言っていて。「信用ができない。嘘ばっかりつくし、裏切るし」っていう。まあ、そういうような人なんですけど……だから、異性としては信用できないけど、同性としては信用できるというか。同じ男として見ると、本当にすごい信用ができるという人なんですね。

(小西克哉)うん。

(吉田豪)で、ちなみにイジマカオルさんっていうちょっと有名なカメラマンの方がいて。その人が女優さんの理想の死に方を撮るという。「どんな死に方をしたいですか?」って聞いて、それを再現して撮るみたいなことをやっている人なんですけど。で、それが真木よう子さんの時はボツになったという話を聞いたんですよ。「なんでボツになったんだろう?」って思って聞いたら、理想の死に方は「爆死」って答えたんですよ(笑)。それ、写真に撮れないじゃないですか。

(小西克哉)それは撮れない(笑)。

(吉田豪)「えっ、だって散り散りになったところを撮ればいいじゃないですか。木片とかそういうのを作って」「いや、それあなた、いないじゃないですか!」「いないですよ。でもそれ、誰かに作ってもらって、爆死で」って(笑)。

(小西克哉)でもさ、死に方のその写真自体って難しそうなもんじゃない?

(吉田豪)いや、普通に刺されて死んでいるとか。

(小西克哉)ああ、刺されたりね。そういうのを撮るんだ。

(吉田豪)山の中で倒れたりとか、そういういろんな死に方を。死に顔を撮るみたいなのがあるんですよ。死に顔を撮るような企画なのに、爆死だと死に顔を撮れないんですよ。

(小西克哉)でも圧死なんか、大変じゃない?

(吉田豪)圧死も選ばないですよ、たぶん(笑)。

(松本ともこ)女優さんですよね。それを選ぶのは。

(吉田豪)女優さんですよ。きれいな死に方ですよ。

(小西克哉)ああ、そうか。きれいな死に方という前提があるから。

(吉田豪)当然ですよ。首吊りとか選ばないですよ、普通。硫化水素とか、選ばないですよ(笑)。

(小西克哉)でもその企画自体も変な企画だけどね。

(吉田豪)変なんですけど、それをどうやるか?っていう。

(小西克哉)でも爆死ってすごいね!

(吉田豪)かっこいいですよね。で、「どうしてか?」って聞いたら、「私は残したくない」って言っていて。「生きた証を残したくない」って言っていて。変わった発想なんですよね。でも、この仕事をやっていたら、残るじゃないですか。

(小西克哉)戦場カメラマンになるしかないんじゃない?

(吉田豪)まあね、『地雷を踏んだらサヨウナラ』にするしか。

(小西克哉)地雷踏んだら体は吹っ飛ぶしね。

(吉田豪)だから、「なんでこの仕事を選んじゃったのか?」みたいな話なんですけど。どんどん残っていくわけじゃないですか。

(小西克哉)全く逆のことだよ。

(吉田豪)「消したい仕事とか、ありますよね?」って聞いたら、「ある!」って。『ベロニカは死ぬことにした』っていうこの人の代表作なんですよ(笑)。

(小西克哉)(笑)

(松本ともこ)私、それ原作も大好きで。それで評価されたんでしょう?

(吉田豪)そうです。それでブレイクしたんですよ。「なんでですか?」って聞いたら、あれで脱いでいるんですよね。

(松本ともこ)ああ、そうか。

(吉田豪)で、それがだからいまでも雑誌でどんどんどんどん取り上げられたりして。それにすごい怒っていて。「だって変な人たちが『おっぱい見える』とか……気持ち悪い!」って(笑)。男らしい。

(小西克哉)ああ、そうなんだ。そこを抹殺したいんだ。

(松本ともこ)なるほどねー。

(吉田豪)で、ちなみに「芸能界で友達がいない」とも公言していて。「友達がいないって、誰か合いそうな人はいないんですか?」って聞いたら、(『ピューッと吹く!ジャガー』や『すごいよ!!マサルさん』の漫画家の)うすた京介さん。その人とだったら仲良くなれるかもしれないと思っていて。実は僕のインタビューの直後がその人との対談っていう、『hon-nin』の連続企画だったんですよ。

(小西克哉)ああ、なるほど、なるほど。

(吉田豪)で、うすたさんの取材の前に言っていたのが本当にこの人(真木さん)は猫タイプで。気まぐれな。で、「犬みたいな人間は信用できない」ってそういう話を散々していたんですよ。で、うすたさんの対談に入った瞬間……本当に声も低いしボソボソとしゃべるタイプで、現場では全然しゃべらないとかそういう人なんですけど。うすたさんが来た瞬間にもうニッコニコで、声が2オクターブ上がって。照れながらもすっごい楽しそうにしゃべっていて。さらに言うのは、うすたさんが犬好きだって聞いた瞬間に「私も犬、大好きなんです~」っていう(笑)。

(小西・松本)(爆笑)

(吉田豪)「ああ、やっぱりこの人、異性としては信用できない」っていう(笑)。

(小西克哉)その通りだね(笑)。ああ、人間的にいろいろとなんか見えてきた感じがしました。

(吉田豪)でも、いいですよね。

(小西克哉)ああ、なるほど。いまサブカル界のディーバと言われている真木よう子さんでございます。この真木よう子さんのインタビューが載っている『hon-nin』、6月7日(土)に発売ということですね。ということで月曜日、本日のコラムニストはしゃべる墓荒らし、吉田豪さん、ありがとうございました。

(吉田豪)どもです。

<書き起こしおわり>

明石家さんま×吉田豪 NetflixインタビューCMまとめ

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NetflixのCMでついに吉田豪さんによる明石家さんまさんインタビューが実現! 以前から、「(さんまのまんまなどで)会えてはいるけどインタビューできていない。大好きだけど、取材を受けてもらえないのがさんまさんで……」と話していた豪さんの願いが叶った!


ということで、YouTubeで公開されている明石家さんまさんインタビューの動画をズラッとまとめてみました。

人間、明石家さんま。「NETFLIX」の話


人間、明石家さんま。「好かれたい」の話


これはさんまさんの車に乗りながら豪さんがインタビューしています。ハンドルのマークからベンツであることはわかりますが、なんとこの車、かつて27時間テレビでたけしさんにペンキまみれにされたゲレンデワゴンなんだそうです!


あんなにひどいことをされた車を大事にまだ乗っているなんて、さんまさんすごいわー!


人間、明石家さんま。「座右の銘」の話


人間、明石家さんま。「賞」の話


人間、明石家さんま。「結婚したころ」の話


人間、明石家さんま。 表参道 Ver.1 & 2



表参道でファンに神対応するさんまさん。そういえば、吉田豪さんが以前にこんなツイートされてました(笑)。

人間、明石家さんま。「謝りたい」の話


人間、明石家さんま。「確率論」の話


人間、明石家さんま。「感動を笑いに変えて」の話



以上、いまのところ公開されている動画10本をまとめてみました。こんな面白いものをCMで見せてくれるNetflix、すごいなー! 以前、町山智浩さんが話していたこのお話を思い出してしまいました。
町山智浩 Netflixの日本クリエイター支援の影響を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でNetflixなどによる日本の映画・アニメのクリエイター支援とそれがもたらすであろうパラダイムシフトについて話していました。 ...
Netflixさん、会員限定でいいので、このインタビューのもっと長いバージョンも見せてください! お願いします!

吉田豪 矢沢永吉の人間的魅力を語る

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吉田豪さんがSBSラジオ『IPPO』に電話出演。矢沢永吉さんの人間的魅力について話していました。



(桑原秀和)今日はSBSラジオは矢沢1 Day Specialとして矢沢永吉さんを特集しているんですけども。吉田さんは矢沢さんを過去に何度かインタビュー、取材をされていると思うんですけども。

(吉田豪)そうですね。3回ぐらい。はい。

(桑原秀和)実際にお会いになった矢沢さんってどんな印象ですか?

(吉田豪)「最高!」の一言ですよ。

(桑原秀和)最高(笑)。

「最高!」の一言

(吉田豪)僕の持論で「世の中には永ちゃんを大好きな人と永ちゃんをよく知らない人しかいない」っていうのがあって。そして、会えば確実に好きになりますね(笑)。

(桑原秀和)どうですか? その大好きになる魅力って。やっぱり直接会って深まりました?

(吉田豪)すごい単純な話だと、表情とか動きだけで最高なんですよ。最近、田中邦衛化が著しいと思っているんですけど(笑)。

(桑原秀和)(笑)

(吉田豪)もう顔の動きと手の動きとかだけでもう……それが目の前で動いているだけでも、「最高!」って言いたくなるんですけど。発言も本当にいちいちいいし。うん。あれは好きになりますよ。

(桑原秀和)なんか20代の頃の永ちゃんのインタビューといま、67才ですけども。インタビュー内容とか話している内容、変わらないですもんね。

(吉田豪)一貫している部分もすごいあるし、そしてすごい昔のことをすごいフレッシュにも話すし。あれだけ、死ぬほど取材を受けている人のはずなのに、ものすごい新鮮そうなんですよね。

(桑原秀和)そうですか。それはどこから来ているんですかね?

(吉田豪)こっちなんてパブリシティーで取材しているわけじゃないですか。で、僕が最初に取材した時は、それこそライブのDVDが出た直後で。だから、話の途中で「そういえば、DVD見てくれました?」って聞かれて。見ているに決まっているじゃないですか。「もちろんです」って言うと、「おおっ、見てくれましたか!」みたいな。リアクションが異常にデカいんですよ(笑)。なんでそんなにうれしそうなんだろう?っていう(笑)。

(桑原秀和)本心からリアクションしてくださっているんですよね。きっと。

(吉田豪)本心なんですよ。それが驚くんですよ。なんでそれができるのか。

(桑原秀和)それがまた、魅力なんでしょうね。

(吉田豪)惚れますよ、そりゃあ。あれをやってくれたら。僕、よくネタにしているんですけど、本当に初対面の挨拶一発でやられちゃって。

(桑原秀和)そうですか(笑)。初対面の挨拶一発。

初対面の挨拶一発でやられる

(吉田豪)最初、宝島社の『Smart』っていうファッション誌での取材で。編集者が名刺を出すじゃないですか。その名刺を見て「おおっ、宝島! 懐かしいねえ!」って始まって。「俺、宝島がものすごいでっかい雑誌だった頃さ、キャロル時代にインタビューを受けたことがあるんだよ! そん時さ、『なに言ってもいい』っていうから、芸能界がいかに汚い社会で、裏で金を掴ませて女を抱かせてひどいことをやっている』とか言ったらさ、全部そのまま載っちゃったから、『ヤザワ知~らない~!』って言ったんだよね。ヨロシクぅ!」っていう(笑)。掴みから完璧じゃないですか(笑)。

(桑原秀和)すごいですね(笑)。それを全部載せるのもすごいですけどもね。

(吉田豪)気持ちいいんですよ。フレーズのキレがいい。で、その日は写真撮影でも感動して。なかなか出てこないんですよね。スタジオで撮っていて、発売したばっかりの永ちゃんの新譜がずーっと流れている中で、永ちゃんがコンセントレーションを高めていくんですよね。で、高めて高めて高まった瞬間に控室の扉がバーン!って開いて、もう出来上がった永ちゃんが出てきて。あとはポーズの指定とかも一切させないで、ひたすら曲に合わせて踊りまくるっていう(笑)。

(桑原秀和)すごいですね!(笑)。

(吉田豪)飛び上がったりだとか。それにカメラマンが食らいついていくっていう。「これ、いつもこうなんですか?」って聞いたら、「その直前の取材が対談だったんであまり動けなかったので、いつもの倍、動いています」って言われて(笑)。「すげえ!」って。

(桑原秀和)でも、その心を作るとか、気持ち、集中力を高めるっていうのはすごいんですね。

(吉田豪)ですね。

(桑原秀和)そして、僕が気になったのが、オーストラリアで部下に騙されて30億円を超える詐欺被害にあった事件、あったじゃないですか。ああいった失敗にも立ち向かっていく。あの姿っていうのはすごいなと思って。

(吉田豪)だから、実は僕の周りってプロレスとか格闘技の興行に手を出して10億円ぐらいの借金を背負ったような人っていうのがゴロゴロいるんですよ。それを見るたびに、本当に矢沢永吉すげえと思いますからね。

(桑原秀和)普通、その億単位での借金を背負ったら、もう自分の人生どうしよう? なんて真っ暗闇になりますよね。なんなんですかね?

(吉田豪)当然、大変な思いはしたはずなんですけど、いま見るとダメージが一切見えないんですよ(笑)。そのすごさですよね。

(桑原秀和)それも力に変えてしまっているような感じですもんね。

(吉田豪)だから、普通そういう失敗をしたら、もっといろいろと手堅くなると思うんですよ。その後で、いま赤坂にODENスタジオっていうスタジオを作って。ものすごい、日本一デカいぐらいのスタジオを。そういうのをやるのにも、普通もっと慎重になるはずじゃないですか。

(桑原秀和)はい。

(吉田豪)聞いて爆笑したんですよね。本当にものすごいデカいスタジオだから、いろんなアーティストがそこでコンサートのリハとかをやっているんですよ。で、コンサートのリハ用に、トレーラーとかそういうのでセットを運び込んでのリハとかをやるらしいんですけど、スタジオの前の道が狭すぎてトレーラーが入れないんですよ(笑)。

(桑原秀和)(笑)

(吉田豪)そういう詰めの甘さとかも含めて、最高!っていう(笑)。

(桑原秀和)なるほどね。音楽には繊細できっちりしているのに、そういうところは(笑)。

(吉田豪)1回しくじったらもうちょっとね、慎重になりますよ!っていう(笑)。

(桑原秀和)すごいですねー。改めてですけど、吉田豪さんから見た矢沢さんの最大の魅力ってどうですか?

(吉田豪)なんだろうな? エピソードが本当に誰から聞いてもいい話が出てくる感じっていうか。僕、Twitterで娘さんとの交流があるんですよ。娘さんの話す話も大好きなんですよね。お父さんが突然、青山通りを歩いていたら、「最高の親子丼、見つけたんだけど。ほしいか?」って聞かれて。「食べたい」って言ったら、なか卯の親子丼を買ってきてくれたとか(笑)。

(桑原秀和)(笑)

(吉田豪)最高じゃないですか。エピソードが全部(笑)。

(桑原秀和)すごいですね(笑)。

(吉田豪)で、娘さんが最近、結婚されたんですよね。ギターウルフっていうバンドの元メンバーと結婚して。で、実は旦那さんの最初の取材をしたのが僕なんですよ。その時に、僕が「矢沢永吉さん、知ってますか?」って聞いたら、「よく知らない」って答えて僕が怒ったっていう話があって、娘さんが最近書いていて(笑)。「ああ、そんなこと、あったわ」みたいな(笑)。伏線がちゃんと張られて(笑)。

(桑原秀和)いやいや、吉田さんのその取材の人数とか内容もすごいですね。

(吉田豪)なんかつながっていくんですよね。そうやって、どんどん。

(桑原秀和)面白いですね。そうなると。なるほど。ありがとうございました。今日は朝から。

(吉田豪)はいはい。

(桑原秀和)吉田さん、私も『情熱大陸』、吉田さんが出ていたのを見ていまして。ずっと保管させていただいておりますので。また吉田さんに近づけるようにがんばります(笑)。

(吉田豪)いえいえ。

(桑原秀和)今日は吉田さんに矢沢永吉さんについて語っていただきました。ありがとうございました。

(吉田豪)はい。どうもー。

<書き起こしおわり>
吉田豪 矢沢永吉を語る
吉田豪さんがTBSラジオ『小島慶子キラ☆キラ』で2009年10月に話したトークの書き起こし。矢沢永吉さんにインタビューした際の模様を話しています。 (小島慶子)で、今...
吉田豪が語る ジョニー大倉と矢沢永吉
吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』に緊急電話出演。亡くなったジョニー大倉さんについて、玉袋筋太郎さん、小林悠さんに話していました。 (小林悠)ロックバンド キャロ...
吉田豪 キャロルを語る
吉田豪さんがニッポン放送『上柳昌彦・松本秀夫 今夜もオトパラ!』に出演。キャロルと矢沢永吉さん、ジョニー大倉さんについて語っていました。 (上柳昌彦)さあ、電リク。今...

吉田豪 真木よう子騒動黒幕説を語る

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吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で玉袋筋太郎さんに近況を紹介。真木よう子
さんクラウドファンディング騒動の黒幕疑惑などについて話していました。



(玉袋筋太郎)豪ちゃん、どうよ?

(吉田豪)どうよ? いろんな騒動に巻き込まれている感じはありますけどね。

(玉袋筋太郎)ああ、そう?

(安東弘樹)騒動に巻き込まれている?

(吉田豪)巻き込まれていますね。真木よう子さんの騒動とかね。吉田豪黒幕説が流れて……(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

吉田豪黒幕説

(吉田豪)ずーっと「違いますよ」って丁寧に説明しているのに、「名前が上がった関係者は誰も釈明しない」みたいなことを書かれて。ずっとしてますよ、僕!っていう(笑)。見てよ!っていう。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)豪さん、ちょいちょい黒幕になりますよね。

(吉田豪)そうなんですよ。

(安東弘樹)なんなんでしょうね。この黒幕感ね。

(吉田豪)関わってないですよ。僕、真木よう子さんは9年前に1回取材して、それっきり1回も会っていない、なんの交流もない人なんですよ。

吉田豪 真木よう子を語る
吉田豪さんが2008年6月にTBSラジオ『ストリーム』の中で真木よう子さんをインタビューした際の模様について話していました。 (吉田豪)先週ですかね。真木よう子さ...

(玉袋筋太郎)どっちかって言ったら、真樹日佐夫さんとか。

(吉田豪)そうですよ。とか、真木蔵人さんとか、そっちですよ。「まき」違いですよ!

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(玉袋筋太郎)「まき」違い。ポール牧とか(笑)。

(吉田豪)たぶん最後に取材しているの、僕ですからね(笑)。

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(安東弘樹)実際にそうなんですね(笑)。

(玉袋筋太郎)そうなんだよ。

(吉田豪)そっち側ですよ。

(安東弘樹)最近はさんまさん相手に。1秒で豪さんってわかる声で。

(玉袋筋太郎)「あっ、豪ちゃんだな!」って。

(吉田豪)昨日、なんか地上波で(CMを)やっていたみたいですね。サッカーの試合の最中に。

(安東弘樹)まさに見ました。はい。広がっていきますね。豪さん。

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(玉袋筋太郎)広がってきてるよ、豪ちゃん。

(安東弘樹)でも、なんか豪さん、そっちに行ってほしくないっていうのもあるんだよな。「そっち」ってどっちかわからないですけど(笑)。

(吉田豪)それ、福山雅治さんにも言われたんですよ(笑)。「あのね、豪さんが僕の知っている豪さんじゃなくなっている気がする」みたいな(笑)。「あなたが言うか、それ?」っていう(笑)。

(安東弘樹)たしかに、たしかに(笑)。

(玉袋筋太郎)「お前が言うな、福山が!」と。うん。いいね、いいねー。

(安東弘樹)広がってきましたよ。豪さんもね。

(玉袋筋太郎)あとさ、豪ちゃん。ケンドー・カシンの本、読んだ?

(吉田豪)まだ全然、頭の方だけです。

(玉袋筋太郎)いやー、あれはちょっと……面白いよ。

(吉田豪)ヤバいですか? まだ大学時代の話ですけども。

(玉袋筋太郎)いや、あの人は変わった人だよ。

(吉田豪)あの人もストッパーがない人ですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)ないな。ケンドー・カシン。あ、ごめんごめん。その話しちゃって。いや、ちょっと衝撃的だったんだよ。俺、読んで。

(吉田豪)了解です。

(玉袋筋太郎)うん、すごかった。

<書き起こしおわり>
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